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京太郎「戒能さんに約束を取り付けたぞ!」 京太郎(明後日は早く仕事を終わらせないとな……) 京太郎「さて、夕方になったな。今日のご飯は薄墨さんだったような……」 初美「その通りなのですよー!」ババーン 京太郎「げぇっ!関羽!」 初美「誰が関羽ですか、誰が」 京太郎「ノリですよ、ノリ」 初美「京太郎は時々何を言ってるかわからなくなるのですよー」 京太郎「はは……それで、何か用ですか?」 初美「ご飯ができたから呼びに来たのですよー。 私の部屋で食べることになってますから行きますよー」 京太郎「わかりました。今日のご飯何ですか?」 初美「焼き魚と味噌汁ですよー。私手作りですよー!」 京太郎「そりゃあそうでしょうね……」 初美「むーっ!反応が薄い!やっぱり京太郎は胸のある女の子にしか優しくないんですねー!」 京太郎「何でそんな話に!?」 初美「だって、はるるとかにはよく構うのに私には全然じゃないですか……」グスッ 京太郎「え、ええー」 初美「おかしいですよ!扱いが違いますよ!はっちゃん、こんなに可愛いのに!」 京太郎「本当に可愛い娘は自分で可愛いなんて言わないと……あ、はいすいません」 初美「謝罪と賠償を請求するのですよー!」 京太郎(ど、どうしよう……何かしないとっ!) 初美「がーーーー!!」 京太郎(と、とりあえず……!)ダキッ 初美「ふぇ?」 京太郎「落ち着いて下さい。騒ぐと、その……服がはだけて見えるんですよ……」 初美「あっ。きょ、京太郎はエッチなのですよー!」ポコポコ 京太郎「そういう意味じゃなくて。薄墨さんは女の子なんですからもっと慎みを持ちましょう」 初美「京太郎に慎みなんて言葉を言われるなんて……」 京太郎「俺のことをどう思っているんですか」 初美「人たらし」 京太郎「ひどっ!と、ともかく、薄墨さんはちっちゃくて可愛いですよ?」ナデナデ 初美「ううっ、人を子供扱いして!私の方が年上なんですからねー」 京太郎(その体格で年上ってのは信じられんな……) 初美「私だって、大きくなりたかったよ……」ボソッ 京太郎「大きくなりますって。きっと。まだ成長途中ですよ、俺達」 初美「きょ、京太郎……?」 京太郎「だから涙目にならないで下さい。薄墨さんはいつもみたいに笑ってる方が素敵なんですから」 初美(そういう所が人たらしなのですよー……) 京太郎「きっと、良い人が見つかりますって。薄墨さんの全てを好きでいてくれる人が」 初美「本当ですかー?」 京太郎「ええ。この後、薄墨さんは急成長するかもしれませんしね。 そしたら、男もよりどりみどりですよ」 初美「えへへ……照れますねー」 京太郎(別の意味で心配だけどなぁ……何か騙されそうで) 京太郎「それよりも、夕食は大丈夫なんですか?」 初美「あ、そうでした!すっかり忘れていたのですよー!」 京太郎「皆、もう集まっているんですよね。ならまたせちゃ悪いですし早く行きましょうか」 初美「そうですねー。そ、それと……」 京太郎「ん?」 初美「いつまで私は抱きしめられてたらいいんでしょうかー?」 京太郎「ああ。すいません。抱き心地がよかったもので」 初美「私は抱き枕じゃないんですからねー」プンプン 京太郎(本人の目の前では言えないけど小柄で抱き心地がいいんだよなぁ) 京太郎(美味しかった……悔しいけど、和では薄墨さんに軍配が上がるか) 京太郎(俺も負けてはいられないな!) 京太郎(さてと、もう夜だ) 京太郎(メールでもするか……) 京太郎(こんな時間に起きてるのは……誰かいないかな?) 京太郎(染谷先輩は忙しそうだしなぁ……) 京太郎「んー、どうしよう」 京太郎(そういえば、モモがいたな……) 京太郎(懐かしいな。長野にいた時はよくメールしたっけ) 京太郎(最も、今ではそれも途切れちゃったけどな) 京太郎(俺がモモの声も姿も認識できなくなったから) 京太郎(あの日、今までの俺が壊れた日から) 京太郎(彼女の姿を見つけられなくなった) ――― 桃子(……京太郎) 桃子(あの日から、私の姿は京太郎に見えなくなった) 桃子(声をいくら張り上げても、彼には聞こえない) 桃子(何かがあったんだ、京太郎に) 桃子(そうでなきゃあんなボロボロな姿になる訳ないっすよ) 桃子(もう、私達はメールでしか通じ合えない) 桃子(それが辛くて、私は逃げた。京太郎のメールを返さなくなった) 桃子(好きなのに。傍にいたいのに。話したいのに) 桃子(どうして) 桃子(私と京太郎の間はこんなにも開いているんだろう) 桃子(メール……京太郎からか)ピピッ 桃子(私が返信しないのに。たまに、彼はメールを送ってくる。 自分がまだ大丈夫だっていう証明をする為に) 『元気にしてるか?俺は何とかやってるよ。 今は親の都合で鹿児島にいるんだ』 桃子(そっか……鹿児島にいるんだ) 桃子(私の姿が見えていたら……京太郎と盛り上がっていたんだろうな) 桃子(京太郎。私、諦められないっすよ……) 桃子(だって、京太郎のこと……まだ好きなんすもん) 桃子(離れたくないよ……もっと、一緒にいたいよ) 桃子(早く、私を見つけてよ、京太郎) ――― 京太郎(よしっと。これでオッケー) 京太郎(確かにモモとのメールは前に比べると格段に減った。 毎日のメールも途切れちまった。返信もない。 だけど、俺は一週間ごとをめどにメールをモモに送る) 京太郎(つながりはまだ消えていないって伝える為に。 俺はまだ大丈夫だよって) 京太郎(いつか、彼女の姿を見つけて……伝えたい) 京太郎(縁はまだ切れちゃあいないぜって) 京太郎(今なら……気持ちが落ち着いた今なら) 京太郎(俺は彼女の姿を捉えて、見つけることができるだろうか) 【朝】 京太郎(……あー。携帯握ったまま寝ていたのか) 京太郎(今は届きそうにないけど……絶対に見つけるから) 京太郎(見つけた時、お前はまだ……俺のことを友達だと言ってくれるか) 京太郎(否定されても、俺は諦めない。やり直せるって信じてるからさ) 京太郎(さて、起きて準備しないとな……) 京太郎(なぁ、モモ。俺は、前みたいに自然に笑えているかな? 楽しいことを心から楽しいって言えてるかな?) 京太郎「顔を洗いにウオッシュメーン」 小蒔父「はっはっは、朝から上機嫌だね」 京太郎「おはようございます。朝食作りですか?」 小蒔父「まあね。君の方は確か……友人と出かけるんだったね」 京太郎「はい。なぜか、追求がすごかったです……」 小蒔父「休みだから君と一緒にいたいんだよ、皆。 君はどうも私達にまだ壁があるからね」 京太郎「すいません……」 小蒔父「謝ることじゃない。君が何を抱えているかはわからないが、時間をかけて解決していくといい」 小蒔父「それに、困った時は大人を頼るものだよ。私が言えた立場ではないが」 京太郎「ありがとうございます。お気持ちは受け取っておきます」 小蒔父「うむ、精進し給えよ。きっと、いつかは君の中の雨も晴れるさ」 京太郎「雨は、まだ晴れそうにないですがね……」 小蒔父「そこで相談なんだが。そんな晴れない雨を晴らすのに、うちの小蒔はどうだい?」 京太郎「何度も言わせるな、俺は衣と添い遂げる」ババーン 小蒔父「なお、添い遂げられない模様」 京父「「HAHAHA!!!」」 京太郎(そもそも衣さんが了承してくれる訳ないんだよなぁ……。 あの人には感謝しきれないくらいの恩があるからそれを返さないことにはな) 小蒔父「添い遂げられないなら、無理やり奪えばいいのさ」 京太郎「いやいやいや。彼女、超お嬢様ですよ?」 小蒔父「愛に身分は関係ないからな!」 京太郎「うおっ、大人の貫禄!」 小蒔父「まあ、ジョークはともかくとして」 京太郎「ジョークだったんすか、今の……」 小蒔父「選択肢を間違えてはいけないよ。間違えたらバッドエンドだからね」 京太郎「は、はぁ……」 小蒔父「要するにだ、自分が後悔しないように行動すればいいのさ」 小蒔父「そうすれば、いつか君の中の雨も晴れるさ」 京太郎「小蒔父さん……」 小蒔父「友達と出かけるんだろ?楽しんでこいよ」 京太郎「はい!」 霞「……は、入り込めないわ。ぐぬぬ……」 初美「男の友情ですよー……ううっ」 春「私達は蚊帳の外」 巴「まあまあ。こういうのもありでしょうに」 小蒔「ごはんまだですかー」 京太郎「さてと、オフ会に行くぞ!」 京太郎(服装は……まあ、大丈夫だろ。たぶん……) 京太郎(超弩級少女さんかー。どんな人なんだろうなー) 京太郎(こういうのって始めてだからわくわくしてきたぞ!) 京太郎(よっしゃ、出発だー!) 京太郎「~~~♪」 小蒔「……」コソコソ 小蒔(ううっ、本当はこういうことはよくないんだけど……) 小蒔(どうしても気になっちゃったから付いてきちゃったよ~) 京太郎「というか、俺はどうして西郷公園を待ち合わせ場所にしてしまったのだろう) 京太郎(いや、西郷隆盛像は一度見てみたかったし、目印にもなるからいいけどさ) 京太郎(細かいことは気にしないってことでいいか) 小蒔(京太郎さん、何だかいつもより嬉しそう) 小蒔(やっぱり、家ではくつろげていないのかな……)グスン ???「ダルい……」 ???「こらっ!路上でだらけちゃ駄目!} ???「まあ、付いてきただけでもすごいよ……シロ」 ???「キリキリアルケ!」 ???「今日はトヨネの初オフ会が成功するようにサポートする為に来たんだからね」 ???「シッポリムフフ!」 ???「そんな如何わしい言葉を使っちゃ駄目だよ、エイちゃん!」 ???「ニホンゴ、ムズカシイネ!」 小蒔(あの人達も待ち合わせなのかな?) 京太郎(と、到着したぞ……一応十分前に来たから誰もいないと思うけど) ???「ううっ、緊張するよー」ソワソワ 京太郎(うわー、大きな女の人だなあ。それに、綺麗だ……) 京太郎(どうせどっかのイケメン彼氏とデートの待ち合わせだろ、くそっくそっ!) 京太郎(格差がひどいよ、格差が-!) 京太郎(さてと、それじゃあ超弩級少女さんを待っているかー) 小蒔(あ、止まった。待ち合わせでしょうか?友達だって言ってたから男の人だと思いますが……) ???「ダルい……もう無理」 ???「ぎゃー!シロが寝だしたよ!」 ???「うーん、この調子じゃサポートは無理そうかな?」 ???「オカシイ!ユルサレナイ!」 ???「とりあえず、シロの介護組とサポート組に別れた方がよさそうだね……」 小蒔(一人は寂しいです……やっぱり霞ちゃんとかと一緒に行けばよかったよぉ) 京太郎「~~~~♪」 『着きましたー。今どこにいますかー』 ???「あわわわわっ」 『えっと、西郷隆盛像の前にいるよー』 京太郎「えっ」クルッ ???「まだかなー、まだかなー」 京太郎「……えっ」 京太郎(おいおい、落ち着け須賀京太郎。あの人が超弩級少女さんだって? ジョークにしちゃあ笑えないぜ) 京太郎(あんな綺麗な人が来ちゃったなんていうノリでオフ会に来るのが普通なのか!? オフ会怖っ!そして、天国だなあ!) 京太郎(現実逃避してる場合じゃない、どうする? ファーストコンタクトはどんな切り出し方でいけばいい?) 京太郎(こうしている間にも待ち合わせ時間は迫っている……! いつまでも待たせるわけにはいかないしなー) 京太郎(ハギヨシさんだったらさらっといい言葉が浮かぶんだろうなぁ) 京太郎(いやいや、普通に行こう。普通に) 京太郎(むしろ、奇をてらった方が変になるだろ) 京太郎(落ち着け、俺。噛むなよ、絶対に) 京太郎「あのー」 ???「わっ!な、何か用かなー?」 京太郎「すみません。あなたが超弩級少女さんですか?」 ???「へ?ということは、貴方が……?」 京太郎「はい、葵・トーリです」 京太郎(何となくでつけた名前だけど気に入ってるんだよなー) ???「あ、わ。私が超弩級少女ですっ」ペコリ 京太郎「いやいや、そんな深く頭を下げなくてもいいですよ。 俺の方が年下ですし」 超弩級少女「えへへ……こういうの初めてで緊張しちゃって」 京太郎(うわぁ……なんだ、この小動物的な人は……可愛過ぎないか) 京太郎(ヤバい、顔が赤くなってきた) 超弩級少女「それじゃあ、どこか行こうかー。 それとも、このまま一緒に飛行機に乗っちゃう?」 京太郎「もう、からかわないで下さいよ……」 超弩級少女「ごめんね。ちょっと、楽しみにし過ぎてて」シュン 京太郎(これは敵わないな……純真すぎるっていうかさ) 京太郎(今まで会ったことのないタイプの人だからどうもいつも通りに喋れないし) 京太郎(ここは、男の俺が頑張ってエスコートしないとな) 小蒔(…………えっ) 小蒔(女の人……?) 小蒔(京太郎さんは友達だって言ってましたけどこれって……) 小蒔(デート?) 京太郎「ということで街中まで来ましたけど」 豊音「うん、そうだねー!東北と違って熱いよー」パタパタ 京太郎(白のワンピースと麦わら帽子は反則だろおおおおおおおお!!!) 京太郎「というか、姉帯さん?」 豊音「ん、何かなー」 京太郎「その、本名とか出してもよかったんですか?」 豊音「大丈夫だよ-!須賀君は信用できるしー」 京太郎「そう言われるのは嬉しいですけど……。他のオフ会では安易にしちゃ駄目ですからね!」メッ 豊音「うん、わかったよー……」シュン 京太郎(くっそくっそ!流れに乗りきれないっ!頑張れ、俺っ!) キャッキャウフフ 小蒔(……京太郎さん、楽しそうだな) 小蒔(思えば、私……京太郎さんのこと全然知らない) 小蒔(彼の好きな食べ物。どんなことが好きか。こ、好みの女の子とか) 小蒔(一緒に暮らしているのに、私は遠いよ) 京太郎「とりあえず、ご飯食べませんか?もうお昼も近いですし」 豊音「そうだねー。ちょーわくわくしてきたよー」 京太郎「ははは、大げさですね」 豊音「大げさじゃないよっ!私、地元を出たのが今回が初めてだから」 京太郎「そうなんですか?」 豊音「うん!だから今日は楽しもうねー」ニコッ 京太郎(や、やばい……身体と言動のギャップがすげえ) 京太郎(これが、ギャップ萌えか!!) 京太郎「は、はい!それじゃあ、食べる所は……」 京太郎「普通のファミレスにしましょうか」 豊音「そうだねー!」 京太郎「サイゼリ……」 豊音「鹿児島にはサイゼリヤはないんだよー」 豊音「岩手にもないんだよー」 豊音「……」グスン 京太郎「何か、ごめんなさい」 豊音「いいよぉ、そんなに気を使わなくてもー」 京太郎「いやいや、女の子を泣かせるのは俺としちゃあ不本意でして」 豊音「お、女の子?」 京太郎「そうでしょう、姉帯さんは女の子ですよ?」 豊音「そっかー。女の子かー」 豊音(今まで、この体格だから女の子扱いされたことがなかったのに……) 豊音(ちょーうれしいよー!須賀君はいい人だなー!) 京太郎「とりあえず、いつまでも外にいるのはなんですし、入りましょうか」 小蒔(……いいなぁ。私も出会った時みたいに京太郎さんと遊びに行きたいなぁ) ???(うーん、まさか相手が男の人だったなんて。悪い人でなければいいんだけど) 小蒔(あっ、ファミレスに入った) ???(追いかけないと!) ゴチーン 小蒔「きゃっ」 ???「す、すいません!大丈夫ですか?」 小蒔「はいっ、そちらこそお怪我はありませんか?」 ???「うん、こっちは大丈夫。ああっ、早く追いかけないと!」 小蒔「そうでした!こっそり付いて行かないといけないんです!」 「「えっ」」 京太郎「普通ですねー」 豊音「その普通こそがいいんだよー!」 豊音「こうやってファミレスでご飯を食べるの初めてだから……緊張するよー」 京太郎「友達とは行かないんですか?」 豊音「田舎だからねー……」 豊音「学校の近くの坂が大変なんだよー」 豊音「通うのにも一苦労だし、途中の道には蜘蛛が多かったよー……」 豊音「でもでも!近くの道の駅のわさびソフトクリームはおいしいんだよ!」 豊音「めがね橋とかもすごいんだよー!」 京太郎(こうして話してると、姉帯さんのことが徐々にわかってくる) 京太郎(天真爛漫で明るい人だ。だけど……影があるんだ) 京太郎(まるで、捨てられるのを怖がっている子犬のように) 京太郎(……関係ない。せっかく仲良くなれた人なんだ。 そんなことで区別をつけるなんてアホらしい) 小蒔「という訳で京太郎さんはいいひとですよっ!」 塞「そっか。よかったー、神代さんが言うなら信用できるかな」 塞(こんな所であの、神代小蒔に会えるなんて。すごい偶然だな) 塞(シロ、大丈夫かなあ。胡桃達に任せてきたけど……心配だ) 塞「そしたら、後は安心かな。私がついていかなくても」 小蒔「えっ」 塞「ん?どうかしたの?」 小蒔「その、私は京太郎さんが心配で」ゴニョニョ 塞「へー。その、須賀君って子のことがよっぽど好きなんだね」 小蒔「ふえっ!!!」ボンッ 塞「ああもう!可愛いなあ!その純真さがシロ達にもあればなぁ」 小蒔「そ、そのっ、私は京太郎さんのことをそういう好きではなくて! い、いや、好きなんですよ!でもでも!それは友達としてで!」 塞「はいはい。だけどさ、そうやって焦ってると説得力がないよ?」 小蒔「だって……!京太郎さんが最近構ってくれないんですもん」プクー 小蒔「お父さんとは仲がいいのに、私とはあまり話してくれませんっ」 小蒔「私、嫌われてるんでしょうか……」 塞(どうしようか?安易な答えは出せないしなぁ) 塞「……あのさ、神代さん」 小蒔「何でしょうか?」 塞「私は須賀君のことをよく知らないからその問いには答えられない」 塞「そもそも、それを問いかけるのは私じゃないよ」 小蒔「でもっ!もし嫌な顔をされたら怖くて……!」 塞「そうだね。だけど、神代さんはそのまま答えを聞かなくてもいいの?」 塞「前に出ないと、始まらないよ?」 塞「そんな顔しないでよ、もう……抱きしめたくなっちゃうじゃない」 小蒔「臼沢さん……京太郎さん、ちゃんと答えてくれるでしょうか」 塞「んー。見た感じそういうのには誠実そうだしちゃんと答えてくれるんじゃないかな? 神代さんが好きになった人はそういうのを茶化す人ではないでしょ」 小蒔「はい……京太郎さんはそんな人じゃありませんっ」 塞「きっと、彼は笑ってくれるよ?神代さんのことも見てくれる」 塞「だからさ、勇気を出してみようよ」 塞「相手の心を読める魔法があったら楽なんだろうけど。そういうのはズルだよね? わずかな勇気を振り絞ることが本当の魔法だと思うんだ、私」 小蒔「私、頑張って聞いてみますっ。京太郎さんに!」 塞「その意気だよ、頑張れ」 小蒔「そ、それと……明日、私も……今日みたいなことをしたいなーって誘ってみようかと」 塞「へぇ~、デートに誘うんだ?」 小蒔「そ、そういうことじゃありません!」 塞「照れるな照れるなっ。いいねー、青春だねー」 小蒔「もうっ、臼沢さんは!それを言うなら今の京太郎さん達だって……デートじゃないですか」 塞「ないない。だって、あの二人……今日が初めて会った日だよ? メールでのやり取りを結構してたから始めてって言うには語弊があるけど」 小蒔「そ、そうなんですか?」 塞「そうなんです。うちのトヨネは簡単には渡さないよっ」カッ 小蒔「ふふふ、臼沢さんって何だかお母さんみたい」 塞「ええっ!?」 小蒔「でも、よかったぁ……デートじゃなくて。 京太郎さんが他の人と仲良くしてると、何だかむず痒くて」 塞(……うーん、友達としてじゃなくて。 一人の女の子として須賀君のことが好きになりかけてるんじゃないかなあ) 京太郎「腹ごしらえをすましたことだし外に出ますか」 豊音「そうだねー。うー、やっぱり熱いよー」 京太郎「そりゃあ鹿児島ですしね」 京太郎(さて、どうしよう……) 京太郎「アイス食べません?熱いから冷たいものが食べたくなっちゃいますよね」 豊音「わーーーー!!ちょーいい提案だよー!」 京太郎「ちょうどいいことに、そこの公園にアイスの露天があるみたいですよ」 豊音「うん!食べるよー!」ピョンピョン 京太郎(ヤバい、可愛い……クソッ、惑わされるな! 出会ってすぐの人に恋をする程軽い男手はないぞ、俺は!) キャクガキタデー 京太郎「アイス二つで。俺はチョコミントで。姉帯さんはどうします?」 豊音「バニラー!」 京太郎「じゃあ、バニラ一つとチョコミントで」 アイスヤデー 京太郎「ありがとうございます。それじゃあ向こうのベンチに座って食べましょうか」 豊音「うん!」 小蒔「アイス……」 塞「私達もたべよっか」 小蒔「はい!」パアア 塞(いつのまにかにトヨネのサポートから神代さんのサポートになってるような……。 まっ、いいか。何だかほっとけないし) 京太郎「んー、美味いですねぇ!」 豊音「冷たくて気持ちいいよー!」 京太郎「俺のはミント系ですからね、食べててすっきりしますよ」 豊音「いいなぁ……」 京太郎「……いや、これ食べかけですし」ペロペロ 豊音「……うー」ジーッ 京太郎「そんなに見つめないで下さいよ。姉帯さんのやつ、溶けますよ?」 豊音「だって食べたいんだから仕方ないよー!」 京太郎「はぁ……俺の食べかけで良ければいいですけど、まさか」 豊音「いるー!いただきまーす!」パクッ 京太郎「いるなんていわな……えっ」 豊音「おいしいよー!」 京太郎「あ、は、はいどうも」 京太郎(お、おいおいおいおいおい!なんだこの無防備な生き物は!!!) 豊音「須賀君も私のバニラ食べる?」 京太郎「あ、その俺は」 豊音「いらないの?」シュン 京太郎「つ、謹んでもらいましゅっ!」 京太郎(噛んだ……恥ずかしい) 豊音「はい、どうぞー」 京太郎(ええい、もう勢いで行くんだ!)アムッ 豊音「おいしいー?」 京太郎「噛んだ舌に染みていひゃい……」 豊音「須賀君はおっちょこちょいだなー」 京太郎「む、姉帯さんに言われるとは」 豊音「それは失礼だよー!私だってやる時はやるんだよ!」 京太郎「例えば?」 豊音「んー……」 京太郎「ああっ、無理に考えなくていいですよ!」 小蒔「美味しいですよ、臼沢さん!」 塞「うんうん、よかったね」 塞(もう完全に神代さんと一緒に遊んでるだけのような……) 小蒔「今度は皆で来れると嬉しいですっ」ニコニコ 塞(まっ、いいか。ファミレスの時と違って思い詰めた様子はないし) 塞(それにしても、トヨネ大胆すぎだよ!あれじゃあ……か、間接キスじゃない!) 塞(須賀君も顔が真っ赤じゃない!見ているこっちが恥ずかしいよ!) 京太郎「アイス、美味しかったですね」 豊音「そうだねー!口の中がひんやりしてるよー!」 京太郎「次はどうしましょうか?」 【路上】 豊音「うわー、これちょーかわいいよー」 京太郎「どうしたんですか?」 豊音「これだよ、これー」 京太郎「アクセサリーですか、ふむ……」 ???「へえ、嬢ちゃんかわいいな!」 豊音「そ、それほどでもないですよー」テレッ 京太郎(なんだ、この紫ヘアーの眼鏡野郎は……) ???「まあまあ!見るだけでいいからさ! お前らが始めてのお客さんなんだよー!」 京太郎「そりゃどうも。だけど、俺達は冷やかしみたいなもんですよ ???「そういうなって!今ならサービスでゲームもあるしよ!」 京太郎「……はぁ」 ???「当てたら景品をやるからさ、なっ、やっていけって!」 京太郎「それじゃあちょっとだけ……」 ???「決まりだな、よしじゃあよく聞いとけよ」 ???「ここに七枚のトランプがある」 ???「嬢ちゃんは俺にわからないよう一枚引くんだ」 ???「それを俺が当てれるかどうかってゲームさ。簡単だろ?」 ???「もし外れても「自閉症で貧血気味のひよこ」のぬいぐるみをやるからさ」 豊音「ちょーかわいいよー!」 京太郎(ええっ) ???「それじゃあ引いてくれ!」 豊音(うーん、どうしよう……) 豊音「これだよー!」 ???「そいつでいいんだな?」 豊音「うん!」 ????「じゃあ当てるぜ……!そいつはスペードの2だ!」 豊音「ハズレだよー!ダイヤのクイーン!」 ???「チッ……外れたか。しゃーねー、サービスだもってけ!」 京太郎「これは……ペアペンダント?」 ???「おう。可愛い彼女連れてるからよ、お似合いじゃないかってさ」 京太郎「べ、別に彼女じゃ!」 豊音「そ、そうだよー!まだそういう関係じゃないよー!」 ???「はっはっは。いいからもらっとけって。いい思い出になるかもしれねーだろ」 京太郎「そこまで言うなら……」 豊音「有りがたくもらうよー!」 ???「おう、デート頑張れよー!」 京太郎「そういえば、アンタ名前は?もし機会があったらまたよらせてもらうよ」 ???「おう、俺か?俺は浅月香介っていうんだ。まあもう出会うこともねーだろうから覚えなくてもいいぞ」 京太郎「そ、そうっすか……」 浅月「そうそう。それじゃあデート、楽しめよー」 京太郎「うーん、もう少しで夕方だな」 豊音「もうちょっとしたら帰ろうかー」 京太郎「それじゃあ、最後に……」 京太郎「そうだ、高台に行きませんか?」 豊音「ふぇ?」 京太郎「俺、いいとこ知ってるんです。綺麗な夕焼けが見れるとこ」 豊音「それは楽しみだよー!」 京太郎「そこなら静かなので落ち着いて話せると思います」 豊音「それじゃあ、エスコートをお願いしますっ」ペッコリン 京太郎「任されましたっと: 塞「神代さん、二人共移動するよ?」 小蒔「zzz」 塞「こんな所で寝たら駄目だよ!」 小蒔「ふぁっ!ごめんなさい、私……突然意識を失うことがあって」 塞「それって大丈夫なの?」 小蒔「多分……」 塞(天然さんってレベルを通り越しているよ!) 【高台】 豊音「うわぁ……綺麗」 京太郎「すごいっすよね、ここ。何故か誰もいない穴場らしいですよ」 豊音「そうだね、ここだったら夕焼けを見ながら静かに話せるよー」 京太郎「それじゃあ、第一回『ぼっち』オフ開催を祝して」 豊京「「おつかれさまでしたー」」 京太郎「あはは……改めて考えると何をやっているんでしょうかね、俺達」 豊音「ぼっち同士でも仲良くなれば-ぼっちじゃないよー」 豊音「一人よりは二人、仲がいい友達が増えることにこしたことはないよー」 京太郎「姉帯さん……」 豊音「それに、部活仲間以外は友達いないしねー、私」 京太郎「それなら俺も負けてはいませんよ……なんて言ったって」 京太郎「なんて、言ったって……」 京太郎(最初は、傷の舐め合いだった) 京太郎(イジメにあって、部活をやめて。不登校になって。 俺はネットのチャットに逃げた) 京太郎(ぼっちが使うチャット。通称ボッチチャット) 京太郎(そこで、俺は姉帯さんと出会った) 京太郎(姉帯さんも他の人とは違う体格と、引っ込み思案な性格から誰も話す人がいなかったらしい) 京太郎(最も、部活仲間とは良好な関係を築けているそうだから俺よりはましなのかもしれないが) 京太郎(ただ、そこで姉帯さんと仲良くなって……こうしてオフ会なんてするようになったのは嬉しいかな) 京太郎(一人は、寂しいから。どんなに強がっても、誰かとつながっていたかったから) 京太郎(俺には、姉帯さん含むチャットの皆とモモぐらいしか友達がいなかった。 だから、依存してしまった。チャットをしている時はダチに裏切られたことを忘れられた) 京太郎(本当に、信頼出来る友達が……欲しかったんだ) 豊音「須賀君」 京太郎「……何ですか」 豊音「いいこいいこ」ナデナデ 豊音「ここなら誰もみてないよー」 豊音「だから、泣いていいんだよー。おねーさんが胸を貸してあげるよ!」 京太郎「あね、たいさん」 豊音「うん、大丈夫。私は離れないよー」 京太郎「すいません、少し……胸を借ります」 豊音「どんとこいー!」 塞(…………) 小蒔(…………) 塞(私、トヨネがクラスでぼっちだったなんて知らなかった……ちゃんとやっていけてるって安心してた) 塞(悔しいなあ……私、友達失格だよ。トヨネのこと、しっかりと見てなかった) 小蒔(京太郎さん……) 京太郎「ごめんなさい、姉帯さん」 豊音「大丈夫だよー。これぐらいお安い御用だよー、あわっ」ガタッ 京太郎「わあっ」 ドシーン 京太郎(いたたた……) 豊音(ううー、痛いよー) 京太郎「だ、大丈夫ですか?」 豊音「う、うん……」 京太郎(おいおい。この体制ってまるで、俺が姉帯さんを押し倒しているみたいじゃないか!) 京太郎(それに……) 豊音「その、ね……須賀君」 京太郎「あ、姉帯さん」 京太郎(ヤバい、何だかヤバい……!) 豊音「顔、近いよー」 京太郎(姉帯さんの顔がこんなにも近くに!) 京太郎(まるで、キスしてるみたいじゃねえか!) 京太郎(ここが人気のない所でよかった……誰かに見られてたら誤解されることになっちまう!) 小蒔(…………えっ?京太郎さんと姉帯さんが、き、キスしてるのですか?) 塞(え、えっ。ちょ、ちょっと待って。お、といといtkたgらえwgれさ) 霞「姫様、何処にいるのかしら」 春「朝早くから誰にも言わずに出ていって心配」 初美「何処かの変な男に絡まれてないといいのですがー」 巴「心配し過ぎですって。携帯だって持っているでしょうし。」 霞「それでも、心配なのよ。京くんも朝から何処かへ行っちゃうし」 春「友達と遊びに行った」 初美「今頃、楽しんでるんでしょうかねー」 巴「私達はその間姫様を捜すのに大変……よよよ」 春「一応、近くの高台に来てみたけど……」 霞「誰もいな…………えっ」 春「なに、これは」 初美「……」 巴「あちゃー……どっかに消えた姫様を捜してたらこんな場面に出くわすなんてね。 きょーちんもやることやってるんですねぇ」 霞「友達、だって言ってたわ……」 春「嘘、嘘、嘘」 初美「やっぱり、京太郎は噓をついていたってことですかー? 友達じゃなくて、彼女とデートだったんですか?」 霞「だ、だって……違うわよ。これは夢よ、そうに決まってるわ」 春「違う……京は私のこと迎えに来てくれるって言った」 初美「私をかわいいっていっておきながら結局は大きい人が好きなんですかー…… お世辞だったんですかー……」 巴(あ、あれっ?皆顔が怖いですよ?) 巴(って、あんな所に姫様が!顔面蒼白じゃないですか、もう!) 巴(というか、間が悪すぎですよ、私達!) 小蒔(……やっぱり、私なんかより姉帯さんの方が良かったのかな) 小蒔(私、好きになってもらえる女の子じゃなかったのかな……) 小蒔(痛い、痛いよ……胸が痛い) 小蒔(京太郎さんが幸せになることは喜ばしいことなのに……どうして) 小蒔(それに、私と京太郎さんは友達なんだからっ!友達だから応援しないとっ) 小蒔(応援、しないと……いけないのにっ)ブルブル 小蒔(涙が止まらないよぉ……何で、何で止まらないの?) 小蒔(とも、だちなのにっ!) 小蒔(何で、姉帯さんのことを妬ましいなんて思っちゃったの!?) 霞(…………嫌われていたのかしら) 霞(思えば、彼は私を避けていた) 霞(デートに誘っても、彼は断った9 霞(それからずっと、私を避けていた) 霞(彼は私と一緒に行動しようとしなかった) 霞(参ったなぁ……私、そんなことにも気づかないで) 霞(ごめんなさいごめんなさいごめんなさい) 霞(ごめんなさいごめんなさい近くによってごめんなさい) 霞(君のことを――好きになってごめんなさい) 霞(私には、彼を好きになる資格なんて、なかった) 霞(私程度が割り込める仲じゃなかった) 霞(私では彼を受け止めることが、無理なのね) 霞(……嫌な女ね。私は) 霞(彼女のことが妬ましいなんて思ってしまう) 初美(思えば、彼は私のことを最初から見ていた) 初美(我儘にも付き合ってくれて、いい人だなーって思ってました) 初美(彼と友人の関係でこれから付き合っていくんだなーって) 初美(そ、それに……私のことを可愛いって言ってくれましたし!) 初美(でも、やっぱり違ったんですねー) 初美(大きな人が一番なんですね、京太郎は) 初美(私とも最近はあんまり話しませんし) 初美(最初の時も巴だけには優しかったですよー……) 初美(小さいから、駄目なのでしょうか……) 初美(妬ましいですよ) 初美(……私だって、好きで小さい身体になったんじゃないのに) 初美(神様を宿さなければ……代価を払わなければ……!) 初美(京太郎と一緒に仲良く歩けたんですか?) 春(京は私のことをちゃんと見てくれるって言った) 春(可愛いって。私の笑う顔が好きだって) 春(でも、京の見てる方向は違っていた) 春(その方向の先には私はいなかった) 春(私は、彼の対象から外れてた) 春(いつか、振り向かせる。そう、誓ったのに) 春(挫けちゃった……京のこと、まともに見れない) 春(妬ましいよ、あの人が。京の視界に入ってるあの人が) 春(好きなのに。彼のことが) 春(嫌だよ……まだ、告白もしていないのに諦めるなんて) 京太郎「そ、その……近いっす!」 豊音「えっ、えっと、ごめんねー……」 京太郎「いや、その何というか!謝るのは俺の方でして!」 豊音「そんなことないよー。私がたおれちゃったのがいけないんだよー」 京太郎「違いますって!俺のほうが体重預けちゃったのが!」 豊音「もう、こういう時は素直におねーさんに謝らせなさいー」 豊音(……それに須賀君、あったかくてちょっとよかったし) 京太郎「……それじゃあおあいこってことで」 豊音「あはは、じゃあそうしようー」 豊音「それで、いつまでもこの体制だと恥ずかしいんだけどなー」 京太郎「ああっ!すいません!」ガバッ 豊音「須賀君は大胆なんだよー」 京太郎「もう、からかわないでくださいっ」 霞「あらぁ、もう逢引はおわったのかしらぁ」ユラリ 京太郎「わああぁぁあ!!!?」 豊音「お、お化けだよーーーーー!?」 霞「誰がお化けよ、失礼ねッ」 春「……」ガリッガリッ 初美「……」ピキピキ 巴「いやぁ、お熱い所に遭遇してしまいましたねー」 京太郎「ええっ!何でここに!」 巴「それはこっちの台詞ですよ。それにしても、きょーちんもやることやっているんですねぇ」 京太郎「へっ」 霞「見ればわかるわ……その人と京くんは付き合っているんでしょうっ!」 春「妬ましい……」 初美「私には可愛いといっておいて結局は大きな人ですかー!」 豊音「そ、その……そういうお付き合いはまだ……」テレテレ 京太郎「違う!論点違いますよ!」 京太郎(何かすごい誤解をされているぞ……!どうにか誤解を解かないと!) 京太郎「巴さん、違うんですよ!」 巴「へっ?」 京太郎「いや、姉帯さんとはそういう関係ではなくて!」 巴「でも、押し倒していたじゃないですか」 京太郎「それは俺の体重を支えきれなくて姉帯さんが倒れてしまったんです」 京太郎「第一、姉帯さんとは初対面ですよ。俺はそんなに手は早くありません」 巴「ふんふむ……」 京太郎「信じて下さいよ……」 巴(うーん、確かに冷静に考えるとそうとも感じますね) 巴(泣きながら姉帯さんを抱きしめてたのは保留として) 巴(きょーちんは変なとこはありますけど意外と純情ですしね) 巴(……言ってることが最もですね。ひとまず、場を収めますか) 京太郎「巴さん!」 巴「もう、そんな泣きそうな顔をしないで下さいよ……全く、仕方がないですね」 京太郎(ああ、巴さんから後光が!) 巴「とりあえず、落ち着きませんか?私達は外野から見ていただけですし」 巴「何が正しいか、正しくないか。自分の中でじっくりと考えましょう」 巴「それでも、納得ができないならきょーちんがちゃんと受け答えしてくれますよ。ね?」 京太郎「はい、当たり前ですよ」 京太郎(巴さん……!今なら巴さんに掘られてもいい!) 巴「どうですか、皆さん。気持ちの整理はつきましたか」 霞「確かに……」 初美「頭に血が上っていたんですよー」 霞「まだ、完全に信じた訳じゃないけれど」 初美「少しぐらいは信じてもいいかもしれませんねー」 京太郎(巴さんには後でお礼をしなくちゃならないな……) 春「……待って」 京太郎「えっ」 春「私は納得していない」 春「こんな人気のない所で男女二人きり……怪しい」 春「躓いて転んだとはいってたけど本当に?そんな偶然が私達が丁度通った時に起こる?」 春「加えて。昨日遊びに行くことを聞いた時、京……ごまかしていた」 京太郎(だって、ボッチオフ会なんて言える訳ないだろ!) 春「答えて。どうして、昨日はなあなあでごまかしてたの?」 京太郎「正直に言います、ボッチオフ会なんですよ」 春「えっ」 京太郎「…………」 春「えっ」 京太郎「二回も言うなよ!!!」 春「そ、その……ごめん」 京太郎「だから言いたくなかったんだよ!」 京太郎「お前、遊びに行くわー、えー何しにー、ボッチオフ会ー!なんてニコニコ言えるほどメンタル強くねぇよ!」 豊音「須賀君、よしよし。泣かないでー」 京太郎「あ、ありがとうございます」 霞(その立場は私のはずなのに)イラッ 春「……確かに言いづらかったのはわかった」 春「でも、抱き合ってたのは否定出来ないよ」 春「私の目を見て」 京太郎「おう」 春「……」ジーッ 京太郎「…………」 春「…………」 京太郎「…………」 春「……もう。仕方ないなあ」 京太郎「はるる!」 春「そんなにまっすぐ見つめられたら……信じるしかないよ」 春「京のこと、信じるよ。でも、浮気は駄目」 京太郎「そういう関係じゃないから!というかさらっと浮気とか何言ってるんだ!?」 春「冗談。鹿児島ジョーク」 京太郎「真顔で言うなよ……こんな時だから動揺するだろ」 豊音「よかったねー。須賀君ー」 京太郎「はい、疑いが晴れてよかったです」 豊音「それは私が彼女じゃ嫌だってことかなー?」シュン 京太郎「いえ、そういうことじゃありませんよ!姉帯さんは魅力的な女性ですし!」 豊音「そ、そうかなー。照れるよー」 春「……やっぱり、上手く丸め込まれた気がする」 霞「何だか態度が違うしね……」 初美「ぐぬぬ……」 豊音「えへへー、須賀君はいい子だねー」ダキツキー 霞春初「「「!!!!」」」 京太郎「ちょ、姉帯さん!?」 豊音「んー。どうかしたかなー?」 京太郎「その、当たってますって!」 豊音「あ、ごめんねー。いつもシロ達にやっているのと同じことしちゃって」 京太郎「……まあ、その。悪い気はしませんけど」 春(私の黒糖スペアがなくなるレベル) 巴(そういえば、戒能さんとのデートについて今話題に出したら……いやいやしませんけど) 霞「ともかく、京くんのことについては解決ということでいいかしら?」 京太郎「元から解決するような問題じゃありませんよ!」 巴「あはは……」 霞「それにしても、姫様は何処に行ったのかしら……」 小蒔「…………」 塞「えっと、そのまま立ち去ってもよかったの?」 小蒔「はい、京太郎さんの言ってることが正しいってわかりましたから。 それに悪いのは信じることができなかった私です……」 塞「いやいや。重く考えすぎだって。人間誰にでも間違いはあるんだからさ」 小蒔「ですが……」 塞「神代さんは考え過ぎ。もっと楽にしないといつか壊れちゃうよ?」 塞「例えば……」 シロ「ダルい……」 胡桃「こらっ!もうたっぷり休んだでしょう!」 エイスリン「キョウイク!キョウイク!」 塞「……あそこまで楽にしなくてもいいけどさ」 塞「肩の力抜いて自然体で行こうよ?そうしたら須賀君も振り向いてくれるよ?」 小蒔「わ、私はそういうことじゃ」 塞「素直になろうよ。ねっ」 小蒔「臼沢さんっ」 塞「ごめんごめん、からかい過ぎちゃったか。でも、言ってることは私の本心だから」 塞「後悔しないように頑張って。もし、トヨネが神代さんのライバルになったら味方になれそうもないけどさ」 塞「ね?」 小蒔「はい!その、ありがとうございますっ」 塞「いいっていいって。神代さんってば見ていて危なっかしいからね」 小蒔「ええっ!」 塞「私がいなかったらどうしていたのさ」 小蒔「それは、その……」 塞「ごめん、責めるつもりじゃないんだ。ただ、無闇に突っ走ると怪我しちゃうから心配なの」 小蒔「……ふふっ。臼沢さんってお母さんみたい」 塞「おか……!まあ、おばあちゃんよりはいいけど」 小蒔「私、臼沢さんと仲良くなれてよかったです!相談にも乗ってくれて……嬉しかった」 塞「そこまで感謝されるとこっちが恥ずかしいよ……」 エイスリン「ア!サエ!」 シロ「やっと、見つけた……」 胡桃「何言ってるの!シロがだらけてたからでしょ!」 塞「それじゃあ、私はここで。最後にもう一つ」 小蒔「……?」 塞「須賀君を狙うなら早めにした方がいいよ」ニヤッ 小蒔「もう!臼沢さんったら!」 京太郎「それじゃあ、俺は姉帯さんを送ってきます」 霞「私達も一緒に行くわ」 京太郎「いえ、俺一人で十分ですよ。ただ送るだけですし」 豊音「全員分のサインももらったよー!ちょーうれしいよー!」 春「送り狼」ボソッ 霞「縁起の悪いこと言わないで頂戴!」 初美「最後までしまらないですねー」 巴「私が収めなかったら酷いことになっていたじゃないですか、もう」 京太郎「その件については後でお礼をするとして……」 豊音「それじゃあ、お世話になりましたー」ペッコリン 霞「何だかいい子過ぎて眩しいわね……」 春「汚れてる証拠。ヨゴレメーター待ったなし」 初美「私は純粋ですけどねー」ドヤッ 巴「はいはい、一度家に戻りますよー。姫様が帰っているかもしれませんし」 ゾロゾロ 京太郎「さてと、それじゃあ送っていきますね」 豊音「うん!」 京太郎「今日はすいませんでした。色々と俺のせいで迷惑をかけて」 豊音「そんなことないよー。須賀君のおかげで楽しかったもん」 京太郎「そう言ってもらえて光栄です」 豊音「ふふっ。ねえ、須賀君」 京太郎「なんでしょうか?」 豊音「須賀君は八尺様って知ってるかなー」 京太郎「八尺様……?それはどういった意味でしょうか」 豊音「説明するとねー。とある村に封じられていた妖怪……まあ呪われた子供みたいなものかなー」 豊音「八尺様は成人前の若い男の人を狙って近づくんだよー」 京太郎「そ、それと俺に関係があるんですか」 豊音「まあまあ。最後まで聞いてよー。その八尺様はね、若い男の人を食べちゃうんだ」 豊音「全部、心も。身体も」 京太郎(な、なんだろう……なぜだか悪寒が) 豊音「ねえ、須賀君」 京太郎「は、はい」 豊音「その八尺様の外見は知ってるかなー。知らないよねー」 京太郎「え、ええ。八尺様自体初耳ですし」 豊音「外見はねー」 京太郎(なんでだろう……寒気がする。鹿児島なのに、いつもだったら半袖でも熱いくらいなのに!) 京太郎(怖い。今の姉帯さんは、どこか怖い) 京太郎(まるで――獲物を狙う、狩人みたいで) 豊音「白のワンピースと帽子をかぶった長身の女性なんだよー」 京太郎「あっ」 ざしゅり。 豊音「――なーんてね」 京太郎「えっ」 豊音「冗談だよー。須賀君、顔真っ青だよー」 豊音「ざしゅり、なんて自分で言っちゃったけど似合わないなー」 豊音「もー、須賀君ったら震えちゃって可愛いなー」 京太郎「は、はは……驚かさないで下さいよ。架空の妖怪なんですよね、八尺様って?」 豊音「その答えは須賀君にお任せするよー」 京太郎「全く、肝が冷えましたよ……」 豊音「ちょっと驚かせてみたかっただけだよー、もう!」プックリ 京太郎「マジで勘弁して下さいよ!本気で怖かったんですからね!!」 豊音「あははっ。それでさ、もう一ついいかなー」 京太郎「はい?」 豊音「もし、八尺様が。呪われた子供が。本当にいたとするよ?」 豊音「才能を妬まれて、暗い暗い中に閉じ込められて」 豊音「人肌が何よりも恋しい子供。いずれは破滅が決まっている子供」 豊音「ねっ、須賀君はどうするかな?」 豊音「その子と出会った時、君はどうする?」 京太郎「俺は……」 京太郎「その子と友達になりますよ。一人ぼっちは寂しいですからね…」 豊音「そっか……」 京太郎「えっと、姉帯さん?」 豊音「トヨネ」 京太郎「えっ」 豊音「トヨネって呼んでほしいなー」 豊音「ひらがな3つでと・よ・ね」 京太郎「いや、それはわかりますけど」 豊音「だめかなー」シュン 京太郎(その顔は卑怯でしょう、もう!) 京太郎「わかりました。その、トヨネさん」 豊音「うん、京太郎君!」 京太郎(うーん、トヨネさんが喜んでいるから言わないけど……一瞬、本気で怖かった) 京太郎(まるで、悪霊を相手にしているような) 京太郎(気のせいだよな……) 豊音「これで京太郎君ともっと仲良くなれるよー」 京太郎(まっ、いいか……この笑顔が見れるならば安いもんだ) 京太郎(それにしても、呪われた子供、八尺様、か) 京太郎(もし、本当にいたとしたら……俺は迷わず手を差し伸べることができるだろうか) 【神代家】 京太郎「只今帰りましたー」 初美「おかえりですよー。ご飯はできてますよー」 京太郎「そうですか。小蒔さんは見つかりましたか?」 初美「心配ご無用ですよー!家に帰っていました!」 京太郎「よかった。もし迷子になって夜の街をさまよっていたらと思うと……」 初美「ぞっとするようなこと言わないで下さいよー」 京太郎「すいません……」 初美「もう、京太郎はデリカシーが無いのですよー」 京太郎「デリカシー関係ありますか!?」 初美「細かいことはノーウエイノーウエイ」 京太郎「何で戒能さんの口癖が!?」 初美「ノリですよー」 京太郎「ノリなら仕方ないですね」 初美「それじゃあ、ご飯はできてるんできてくださいー。今日は姫様も一緒ですよー」 【はっちゃんの部屋!】 「「「「「「いただきます!」」」」」」 初美「今日は特製はっちゃん印の炒飯ですよー」 春「んまい」 小蒔「お腹が空きましたー」 霞「あらあら。小蒔ちゃんは食欲旺盛ね、うふふっ」 巴「さすが、はっちゃん」 京太郎「うん、おいしいです」 初美「料理に関しては京太郎と毎回勝負してますからねー」 京太郎「薄墨さんが突っかかってくるだけだと思うが……」 初美「そういう減らず口をする京太郎にはお仕置きですよー」 京太郎「えっ」 初美「はい、あーん」 霞「なっなななっ」 京太郎「え、えっと」 初美「罰ゲームなのですよー」 京太郎(そんなことよりも見えてるよぉ!!!) 初美「どうしました?早く食べないと冷めちゃいますよー」ニヤニヤ 春「思わぬ伏兵……!」 初美「あーん」 京太郎(ええい、もうなるようになれっ!) 京太郎「じゃあ、頂きます!」ングング 初美「どうですかー」 京太郎「そりゃあ美味しいですけど何で突然」 初美「乙女の秘密ですよー」 京太郎「なんなんすか、それって」 初美「詮索は身を滅ぼしますよー?」 霞「きょ、京くん!あ、ああああ」 初美「もう一度、あーん!」 霞「ううっ」グスン 巴(はぁ……何だかんだでかすみん、初心ですからねぇ……照れが出てるんでしょうけど) 京太郎「美味しいですよ」 初美「当然ですよー!」 春「割り込めない」 小蒔「春ちゃん、春ちゃん!」 春「あーん」 小蒔「これで京太郎さん達とお揃いですよ!」 春「うん。並んだ」 巴「何がですか!?」 ワイワイガヤガヤ 京太郎(楽しいなぁ……すっげー楽しい) 京太郎(長野にいた頃では考えられないくらい、楽しい) 京太郎(こんな時間がずっと、永遠に続けばいいのに) 「「「「「「ごちそうさまでした!」」」」」」 京太郎「ふぅ……食べた食べた」 初美「完売ですよー」 巴「皆疲れていたからか、たくさん食べてましたね」 霞「結局できなかったわ……」 春「ヘタレ」ボソッ 霞「あら、なにか言ったかしら」ゴゴゴ 春「霞は裏表のない素敵な人です」 霞「よろしい」 小蒔「……」ウズウズ 京太郎「そういえば、小蒔さん」 小蒔「ひゃ、はい!」 京太郎「どうしたんですか?何だか、そわそわしているみたいですけど」 小蒔「そ、そのですね」 小蒔(落ち着く、落ち着くのです!) 小蒔「京太郎さん!」 京太郎「は、はい!」 小蒔「明日、仕事が終わったら私に付き合って下さい!」 京太郎「ええっ!!」 巴(ほほー。姫様もといこまきんも大胆になりましたねー) 小蒔「そ、その……駄目ですか?」 京太郎「お、おう……」 京太郎「明日じゃないと駄目なんですか?」 小蒔「えっ」 京太郎「えっと……明日はそのちょっと駄目でして」 春「それってデ」 巴「はいはい、これ以上話をややこしくしない」 霞「あら、明日は何か用事でもあったのかしら?」 初美「連日私達を放っていくんですかー……」 京太郎(ど、どうしよう……?小蒔さんは何だかウルウルしてるし……) 京太郎(どうする、俺ぇ!) 京太郎「明日だけはダメなんです!許してください!何でもしますから!」 霞「ん?」 春「今何でもするって」 初美「言いましたよねー」 京太郎「小蒔さんだけですよ?」 巴「巫女なのに欲望には忠実ですねー……」オチャズズー 春「それが自慢」ニコッ 巴「自慢になりませんからね」 小蒔「えっと、その……なんでもしてくれるって本当ですか?」 京太郎「ええ。常識の範囲内であれば。はっはっは、俺が嘘を着いたことがありますか」 巴(あるでしょうに……しかも聞かれないと何も言わないし) 小蒔「じゃあ、そのですね……」 京太郎「どうぞ、いくらでもかかってきて下さい!」 小蒔「皆ともっと仲良くしてほしいのですよ!」 京太郎「へっ」 小蒔「京太郎さん、やっぱりどこか私達に対して遠慮している部分があるように思えるんです」 小蒔「一緒に暮らすのは夏の間だけかもしれませんけど……」 小蒔「それでも、友達ですからっ」 京太郎「とも、だち……?」 小蒔「はいっ!」 京太郎(友達……友達か) 京太郎(どうしても、友達っていう言葉に拒否感が生まれてたのをバレてたのかな) 京太郎(昔から仲が良かった友達は友達じゃなかった) 京太郎(そう、思っていたのは俺だけだった) 京太郎(だから怖かった。仲良くなるのが。一歩先に踏み込むのが) 京太郎(今でも怖い。裏切られたらなんて思ってしまう) 京太郎(そんなことあるわけないってわかっているのに) 京太郎(……トラウマになっているんだろうな) 京太郎「……ははっ」 京太郎「俺達はもう仲がいいじゃないですか」ニコッ 京太郎「小蒔さんに言われなくても仲良くするつもりです」ニコッ 京太郎(嘘だ) 京太郎「そもそも、こんな風に一緒に食卓を囲んでる時点でオッケーといいますか」 京太郎(怖い) 京太郎「小蒔さんが心配するようなことではありませんよ」 京太郎(痛い) 京太郎「小蒔さんは自分のことをしっかりと考えて下さい」ニコッ 京太郎「俺なんかに構ってると悪い虫に引っかかっちゃいますよ?」 小蒔「それに関しては大丈夫ですっ!京太郎さんがいますから!」 京太郎「いや、ですから……」 巴「諦めた方がいいですよー。こうなった姫様は頑固ですから」 京太郎「みたいですね……」 小蒔「嫌なんですか?」ウルウル 京太郎「わ、わかりました……できるだけ努力してみます」 小蒔「はいっ!」 霞(小蒔ちゃん……立派になって)ホロリ 春(さすが姫様) 京太郎(はぁ……ここまで言われたら断れる訳ないだろ) 京太郎(まともに見ていられない……余りにも真っ直ぐすぎて) 京太郎(思わず逸らしてしまうくらいに) 【自部屋】 京太郎「……さてと。どうするか」 京太郎(明日はデートだし早めに寝るかな) 京太郎(でも、少しぐらいは大丈夫だよな?) 京太郎(咲からメールがきてる…) 『京ちゃん返事をしてよ京ちゃん京ちゃん京ちゃん京ちゃん! 私は別に京ちゃんを馬鹿にした訳じゃないんだよ。 京ちゃん返事をしてよ京ちゃん京ちゃん京ちゃん京ちゃん きょうちゃんきょうちゃんきょうちゃんきょうちゃんきょうちゃん 京ちゃん京ちゃん京ちゃん京ちゃん京ちゃん! 私待ってるから京ちゃんのこと。信じてるから京ちゃん京ちゃん京ちゃん!!! きょうちゃんきょうちゃんきょうちゃんきょうちゃんきょうちゃん。 だって、京ちゃんのことを嫌いになるわけないよ! ずっと昔から京ちゃんを見てきたんだからっ。えへへ……ずっと昔は言いすぎかな? でも、京ちゃんのことを見ていたのは本当だよ?だって京ちゃんはいつも私に優しくしてくれたからね。 今でも京ちゃんの籍は麻雀部に残ってるんだよ?まだ戻れるし一緒に麻雀を打てるからっ! 今度は私が麻雀を教えてあげるね、絶対に京ちゃんを強くしてあげるから! だから返事をしてよ、京ちゃん!京ちゃん京ちゃん京ちゃん京ちゃん京ちゃん 京ちゃんと一緒にまた登校したいな、京ちゃんのお部屋で本とか読みたいな お願い返事をしてください、きょうちゃんきょうちゃんきょうちゃんきょうちゃんきょうちゃん きょうちゃんきょうちゃんきょうちゃんきょうちゃんきょうちゃん きょうちゃんきょうちゃんきょうちゃんきょうちゃんきょうちゃん きょうちゃんきょうちゃんきょうちゃんきょうちゃんきょうちゃん』 京太郎「……そうかよ」 京太郎「まだお前は友達面してんのかよ……!」 京太郎「畜生っ、舐めてんじゃねぇぞッ!!!」 京太郎(絶対に、許すもんか) 京太郎(俺は一生許してなんかやらねーからなっ!) 京太郎(むかつくったらありゃあしないぜ) 京太郎(最後に、送るか) 『二度と送ってくるな』チャクシンキョヒッ 京太郎(チッ、嫌な気分だぜ……) 京太郎(なぁ、神代さん) 京太郎(俺は長年仲が良かった友達に手ひどく裏切られた) 京太郎(それでも、俺に――友達になれというのですか?) 京太郎(俺は、貴方達と仲良く出来るんでしょうか?) 京太郎(本当に――――信じてもいいんでしょうか?) 京太郎(わかんないっすよ……怖いっすよ……!) 京太郎(畜生……信じたいけど、素直に信じられないんだよ!!!)
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ゲームオーバーにより「良子さんと船に乗った最初の場面」よりコンテニューされました 京太郎「――はっ!」 良子「ど、どうしたんだ。顔色が悪いようだが」オロオロ 京太郎「だ、大丈夫ですよ。ちょっとめまいがしただけで」 京太郎(何だろう、この船……すごい嫌な予感がするぞ) 京太郎(まるで。実際に事件が起きたような) 良子「とりあえず、開演にはまだ時間がある」 京太郎「うーん、どうしよう」 京太郎「あれは……高遠遙一!と思ったらスーパー弁護士!」 北岡「何だい、俺をそんなに見つめて?生憎と男色の気はないんだよね」 京太郎(うわぁ、なんだこの人。すっげーナルシストみたいだぞ) 北岡「それよりも、横にいるお嬢さん。よかったら一緒にご歓談でもいかがです?」 良子「ノーセンキューです」ギュッ 京太郎「ちょ、どうして手を握ってるんですか」 良子「シャラップ」 京太郎「それって、ロシア語!?」 良子「英語に決まってるだろ……」 北岡「頭が痛くなる会話だね」 良子「ともかく。エスコート役は間に合ってるんで」 北岡「はぁ、つれないお嬢さんだなあ。それじゃあその子、彼氏ってわけ?」 良子「な。ななななな」ボンッ 京太郎「ちょ、どうしたんですか!」 北岡「どうなのさ。コブ付きじゃないなら俺にもチャンスがある訳だし」 良子「か、彼氏です!ええ、それは寸分の狂いなく彼氏です!」 京太郎「え、ええええええええええええええええ!?」 北岡「おいおい、この子びっくりしてるけど本当なの?」ニヤニヤ 京太郎「ちょ、りょ」 良子「お前は黙ってろっ!」 北岡「いや、それならいいんだけどさぁ。本当なのか証明がほしいわけよ」 良子「証明なんてある……手をつないでるし」 北岡「それぐらい、友達とだってやるでしょう」 京太郎(否定はできない) 良子「か、彼氏だから」 北岡「え~」 京太郎「無理がありますって」 良子「無理じゃない、やればできる!」 北岡「やれば、子供がうまれるよね。うわー、大胆だね。こんな所でやるのかい?」 京太郎「アンタ、それ以上煽るなよ!?つーかやんねーよ!」 京太郎「つーか、めんどくさい人だな!」 北岡「おいおい、それは言い過ぎってものよ」 京太郎「だったら、煽らないで下さいよ。この人乗せられやすいですから」 北岡「君も大変だねぇ」 良子「何を話してるんだ、全く!」 北岡「それじゃあ、彼氏さん」 京太郎「彼氏じゃないですって」 良子「彼氏だから!彼氏だから……」ギュッ 京太郎「ちょ、強く握りすぎですって!というか何で涙目なんですか!」 良子「うるさい、京太郎が悪いんだっ」 京太郎「いつもの外面クールは何処に行ったんですか」 北岡「キスぐらいしてやればいいじゃない。減るもんじゃないし」 京太郎「減りますよ!」 良子「……」グスン 北岡「キスしてみたら?それがきっかけでゴールインできるかもよ?」 京太郎「しませんって!」 良子「……京太郎」 京太郎「どうかしましたか・」 良子「私とじゃ、嫌なのか?」 京太郎「えっ」 良子「私とはしたくないのか?」 京太郎「ちょ、良子さん?」 良子「そんなに魅力がないか、私は……」 京太郎「ちょ、これはどういうことですか!?」 北岡「知らないよ、王子様らしくキスでもすればいいじゃない」 京太郎「え、えー」 良子「京太郎、答えてくれ」 京太郎「嫌じゃないですよ!」 良子「本当か」パアア 京太郎「嘘はつきませんよ、俺は」 京太郎(それが嘘だけど) 良子「よかった……」 北岡「あーあー、お熱いことで。俺は退散させてもらうよ」 京太郎「結局、何しに絡んできたんですか」 北岡「ん~、からかったら面白そうだってこと。それと一つ忠告をね」 北岡「……やっぱりいいや。それじゃあ、邪魔したね」タッタッタ 京太郎「……ろくな人じゃないなぁ」 良子「よかったぁ」 京太郎「良子さんはまだ現実に戻らないしどうしたもんかなぁ」 京太郎「さてと、後少し時間があるけどどうします?」 良子「……なぁ、京太郎」 京太郎「どうしました?」 良子「あ、あのな。すっげーどうでもいいことなんだけどさ」 良子「あの時、キス……してくれてたら――」ボソボソッ 京太郎「ちょっと聞こえませんってば」 良子「な、何でもない!」 京太郎「変な良子さんだなあ」 良子「とりあえず、船を探索しようか」 京太郎「まあ、暇つぶしになりそうですし」 良子「それにしても、この船には嫌な空気が漂っているな」 京太郎「さすが傭兵イタコですね」 良子「ノーウエイノーウエイ、あり得ないから」 京太郎「あはは……」 良子「どうかしたのか?」 京太郎「いや、何か光ってるものがあったような……」 良子「そんなものはないですねー」 京太郎「おっかしいなあ、カードの束みたいなのがあったと思ったのに」 良子「疲れてるんじゃないか?たるんでるんですよ、京太郎は」 京太郎「割と鍛えてるんですけどねぇ……」 良子「鍛えてる人は自分で鍛えてるなんていわ……うわっ」ズッテーン 京太郎「ちょ、引っ張らなおわっ!」ドッテーン 良子「いったた……大丈夫か?」 京太郎「お、俺は大丈夫です……」 良子「そ、そうか……」 京太郎「どうかしましたか?」 良子「その、だな……態勢が……」 京太郎「ん。ああ、乗っかってましたかすいません」 良子「い、嫌な訳じゃなくて!京太郎なら……って私は何を言ってるんです!?」 京太郎「……」 良子「……」 京太郎「……えっと」 良子「な、何だ?」 京太郎「ど、どきますね」 良子「なっ!?こ、ここまで迫っておいて!」 京太郎「まあ、確かに(たまたま)押し倒しちゃいましたけど」 良子「こ、こんな所ではダメだ、ダメなんだぞ!」 良子「まずはお友達から始めないといけないんですよ!」 京太郎「どうしたんですか?敬語とタメ口が混ざって変なことになってますよ?」 良子「だって……京太郎が人目を憚らず押し倒すから……」 京太郎「それは良子さんが悪いんですよ(俺を巻き込んだ的な意味で)」 良子「ええっ!そ、そんなに欲求不満だったのか!?」 京太郎「どうしてそうなるんですか!!」 京太郎(ヤバい、良子さん気が動転して変になっている……!) 京太郎(唯でさえ街中で処女宣言する人だ、ここで選択肢を間違えたら……どんなことになるのやら) リーンゴーン 良子「京太郎、似合ってるかな?」 京太郎「ああ、そのウエディングドレスが絶妙に良子さんと合っていて……綺麗です」 良子「ふふっ……ありがとう」テレッ 京太郎「良子さん、俺……」 良子「あの時、京太郎が私を」 京太郎「わーわー!その話はストップです!当時は若かったんですから!」 良子「いーやだっ」 京太郎「……ホント、かないませんよ」 京太郎(結婚!?この年で!?いやいやいやいや、学生結婚する気ねーから!!!) 京太郎(ヤバい、良子さん、ヤバい) 京太郎(このままだったら幸せな結婚をして終了になっちまう!) 京太郎(どうにか乗り切るぞ!!) 京太郎(いや、そこまで良子さんも馬鹿ではないはずだ) 京太郎(ここはあえてプロポーズ的な言葉を冗談っぽく言ってみればいいんじゃねェか!) 京太郎(そうと決まれば……!) 京太郎「良子さん」 良子「は、はいっ!」 京太郎「すいません、押し倒しなんてしたりして……ですが、仕方がなかったんです」 京太郎「良子さんのことが気になって仕方なかったんです(心配的な意味で」 良子「そ、そんな……!」 京太郎「ふと思い浮かべると良子さんが出てきて……(処女宣言的な意味で」 良子「そ、そこまで私は京太郎を追い詰めていたのか……」 京太郎「だから、すいません。でも、この気持ちは本物ですから!(行き遅れを心配する的な意味で」 良子「……京太郎は、私でいいの?」 京太郎「ええ、良子さんが幸せをつかむまでは逃げませんよ(心配ry」 良子「私で良ければ……お願いします」 京太郎「……はい!」 良子「まさか、年下に告白されるなんて……でも、京太郎はハルの想い人で……。 これって、略奪愛?うあああああああっっ!!!」 京太郎「ど、どうしたんですか……」 良子「さ、さっきのやつやっぱりなし!保留だ、保留!」 京太郎「は、はい。俺は別にいいんですけど」 良子「そうしよう!それがお互いの為だ!」 良子「ハルに黙って京太郎と付き合うなんて不義理だし」ボソッ 京太郎(な、何だかよくわからないけどややこしくしちゃった?) 京太郎(何か、良子さんがそわそわしてるけど気のせいだよな) 良子「……♪」 京太郎(何故か、すっげー機嫌が良いし) 京太郎「怖い……」 良子「どうかしたか?」 京太郎「いえ、何でもないです。それよりも、リサイタルの開始時刻が近いですね」 良子「そうだな、それじゃあ逝くとしようか」 京太郎「はい」 京太郎(何だか、嫌な予感がするんだよ……) ギギギ 京太郎「……!?」 京太郎(今、鏡に何か!ば、化物が映っていなかったか!?) 京太郎「き、気のせいだよな、うん!」 良子「ほら、独り言を喋ってる暇があったら早く逝くぞっ」ギュッ 京太郎(……何でだろう。良子さんの背中を見てたら。もし、ここで手を離したら――) 京太郎(もう、会えない気がしてしまったなんて) 【客船・廊下】 京太郎「時間が経つのって速いですねー」 良子「そうだな、何だかんだで開演時間だ」 京太郎「さっさと席を捜して座りましょう」 良子「それには異存はないけど……」 京太郎「どうかしましたか?」 良子「いつまでこの手を握っているつもりだ?」 京太郎「嫌ですか?」 良子「嫌じゃないけど……まだ、彼氏彼女でもないのに」ボソッ 良子「こ、こういうのはもっと節度を持ってだな」 京太郎「大丈夫ですよ、良子さんの手……柔らかくて握り心地がいいんで飽きません」 良子「そういうことを言ってるんじゃない!」 良子「その、恥ずかしくて……」 京太郎(あれは……脱獄囚の浅倉威!どうしてこんな所に!) 浅倉「……おい」 京太郎「は、はい!」 浅倉「この船に北岡秀一って野郎がいなかったか?」 京太郎(あの胡散臭い弁護士かーーーーーー!!!!) 京太郎(ど、どうしよう!ここで北岡さんを売るべきか?) 京太郎(ぶっちゃけ、あの人にはいい思い出もないしなぁ) 良子「きょ、京太郎……」 京太郎(良子さんをこれ以上怖がらせるわけにもいかないし) 京太郎「船の外に行きましたよ」 浅倉「そうか……あの野郎」ダッダッダッ 京太郎(と、とっさに嘘をついたけど大丈夫だよな?) 北岡「助かったよ、もう~」 京太郎「って、アンタどこから出てきたんですか」 北岡「隠れていたんだよ、あのストーカーから」 北岡「それよりも、礼を言うよ。いや、助かった」 京太郎「まあ、あんな脱獄犯と一緒の船は嫌ですし」 北岡「全くだよ……俺の優雅な休日が台無しになっちゃうじゃないか」 京太郎(やっぱり、正直に言った方がよかったかな) 北岡「ともかく。助けてもらったわけだし。一つ忠告というかアドバイス」 京太郎「はい?」 北岡「巫女服の女の子には近づかない方がいいよ」 北岡「あの娘、ヤバいから」 京太郎「えっ!それってどういう」 北岡「とりあえず、俺は言ったからね。それじゃ、リサイタルを楽しもうじゃないか」 京太郎「……」 京太郎(巫女服の女の子……?) 京太郎「巫女服の女の子……?」 良子「もしかして、ハル達がここに?」 京太郎「それだったら……まずいんじゃないんですか?」 京太郎「胡散臭い北岡さんのいうことを聞くのは、ちょっと引っかかりますけど」 北岡「ちょっと」 良子「とりあえず、捜してみるか」 初美「誰を捜すんですかー」 京太郎「巫女服の女の子ですよ、ちょっとやばいらしいんです」 巴「どんな風に?」 北岡「とりあえず、ヤバいってこと。近寄りたくないねー」 初美「怖いですよー!」 巴「私達以外で巫女服なんていたかしら?」 京太郎「そうですね、巴さん達以外は……」 良子「いない……」 北岡「はずだよね……」 初美「???」 巴「???」 京太郎「げぇっ!!!!!」 北岡「どうして、いきなり遭遇するかなあ」 京太郎「ちょ、待って下さい。まさか……」 北岡「この娘達だよ……」 良子「むぅ……」 初美「何かあったんですかー」 巴「それよりも、もうすぐ始まってしまいますよ?」 京太郎「ああ、こっちの話です、こっちの」 北岡「それじゃあ、俺はこれで」 京太郎「ちょっと、待った」 北岡「何?吾郎ちゃんが待ってるから早く行かないと」 京太郎「行かせません。ここまで来たら一蓮托生です」 北岡「俺、関係ないよねぇ!?」 京太郎「浅倉をここに呼んできてもいいんですよ?」 北岡「ぐぬぬ……」 京太郎「ということで、ボディガード役をお願いします」 初美「よくわかりませんけど、どういうことなんですかー」 京太郎「はっちゃんは俺がずっと一緒にいるってことですよ」ニッコリ 初美「え、えっ!!」 初美「そ、そんな!いきなり告白なんて早すぎるのですよー」 初美「でもでもー!ちょっとだけですよ?ちょっとだけ、嬉しかったり?」 初美「えへへ……悪い気はしませんよー」 京太郎「何を言ってるんですか、はっちゃんが危ない目にあったらどうするんです?」 初美「大丈夫ですよー、私は強いですからー」 京太郎「強くても、女の子じゃないですか」 初美「そ、そういうことを言うのは禁止ですよっ!」 京太郎「いや、だって」 初美「だっても、いやもありませんー!どっちかというと京太郎の方が心配なのですよー」 京太郎「俺のことはいいんです。それよりも、はっちゃんが無茶したら嫌なんです」 初美「むむむ」 京太郎「可愛い女の子なんですから」 初美「……そ、そそそいうことをさらっと言わないで下さい!」 京太郎「本当のことじゃないですか」 初美「だーかーらー!」 京太郎「はっちゃんかわいい」 初美「ううっ」 京太郎「はっちゃん痴女可愛い」 初美「ううううううっ……ってちょっと待って下さい、今余計なのが」 京太郎「はっちゃんは可愛いなあ!」ナデナデ 初美「撫でただけでごまかせると思わ……えへへ」 京太郎(ちょろっ!) 初美「しょ、しょうがないですねー、京太郎は。ここは年上の余裕を見せますよ、存分に撫でて下さい!」 京太郎「自分が撫でられたいだけじゃないですか、それ……」 初美「違いますー、そんなことありませんー」 京太郎「という訳で」ニギッ 初美「ふぇっ!」 良子「……!」 京太郎「とりあえず、手をつなぎましょうか」 初美「な、何でですかー!」 京太郎「繋ぎたいから、じゃダメですか」 初美「ダメですよー!私はそんなに軽くはありませんよー!」 京太郎「ぎゅっぎゅっぎゅー」 初美「うきゃあああああ!誰が強く握れって言ったんですか!」 京太郎「俺」 初美「頭、おかしいんじゃないですかー!」 京太郎「いやいや、そんなことはないですよ?」 初美「疑問形!?」 良子「……」イライラ 北岡「な、何か嫌な空気じゃない?」 巴「……そーですねー」イライラ 北岡「ちょ、ちょっとどうすんのよ、これ」 良子(まさか、あんな小さな娘に寝取られるなんて!) 良子(ひどいですよ、これ!こんなに早く捨てられるのは!) 巴(なーんか、いい気分はしませんねー……) 巴(いつもは私を頼ってくるくせに) 巴(私のことを女として見てないんですよ、きょーちんは) 北岡「何が気に食わないのかな?」 巴良子「「ぜんぶ!」」 キャッハウフフ 京太郎(何か、後ろが騒がしいけど気のせいだよな) 初美「……こんな辱めにあうなんて」 京太郎「手をニギニギしただけじゃないですか」 【長野某所】 桃子(……ふぁ) 桃子「眠いっすねぇ……」 桃子(ちょー眠いっす。ずっと、布団にくるまっていたいぐらいに) 桃子(朝なんてなくなればいいっすよ。学校に行ってもつまらないし) 桃子(もっと他の人と話せって言われてるけど無理なものは無理っすよ) 桃子(どうせ見えないし……最初から見えてたのは『』だけだったし) 桃子「……あ、あれ?」 桃子(おかしいっすねぇ、何か忘れてるような) 桃子(誰の、名前だった?その人は私にとって大切な――) 桃子(とりあえず、携帯でもチェックしますか。どうせ、メールなんて先輩達以外はないでしょうけどー) 桃子(んー。今日も誰も……あれ、このメールは) 桃子(すが、きょうたろう?だれっすかねぇ) 桃子「すが、すが……すがきょうたろう?だ、れ……?) 『モモには手を出すな――』 『俺と友達になろう』 桃子「あ、あっ、ああっ……」 桃子「何で、忘れてたの?京太郎のこと……!」 桃子「大切な、大切なものなのに!私の宝物なのにっ!」 桃子「嫌、嫌ぁ!嫌っすよ!忘れるなんて!」ガシガシ 桃子「怖い、怖い……!繋がりだけじゃなくて、記憶も消えちゃうんすか?」 桃子「思い出せない、思い出せないっすよ……京太郎!」 桃子(どんな顔だったか、どんな声だったか、どんな出会いだったか) 桃子(全部、消えちゃうよぉ……持ってかないでよぉ!) 桃子(助けて、京……た、ろう?) 桃子(きょうたろう、ってだれ?だれ?大切だったっけ?) 桃子(……あ、ぁ。また、忘れてた) 桃子(きょうた、ろう……きょうたろう。きょ、う、た……ろう?) 京太郎「はい、反省していまーす」 巴「全然反省の色が見られないのは気のせいでしょうか?」ホッペツネーリ 京太郎「いたっ、痛いです巴さんっ」 良子「自業自得ですよ、私というものがありながら」 京太郎「そ、そんなぁ……」 初美「えへへー」ツヤツヤ 良子「見なさい、このとろけ切った顔。うらやま……ふん。なんて、ひどいことを」 京太郎「ただ、撫でてただけなんですけどねぇ」 北岡「……もうさっさとミラーモンスター倒しちゃえばいいかなぁ」 北岡(そうしたらこいつらと別れられるし) 北岡「はぁ、頑張るか……」 京太郎「ん、どうしたんですか?」 北岡「いや、原因を解決しようかなぁって。俺も早く不安の種取り除きたいし」 北岡「あ、勘違いするなよ。お前たちの為にやるんじゃないからね!」 北岡「たまたまだよ、ちょっと気が向いて俺の利益になりうるからやるだけで」 北岡「それじゃあ!余計な真似はするなよ!ほら、さっさとリサイタル会場に行きなよ!」ダッダッダッ 京太郎「何だったんだ……?ま、まあ解決してくれるならいいのかな?」 巴「?どうしたんです」 京太郎「いや、北岡さんが頑張るって」 巴「へぇ……」 初美「京太郎-!」 京太郎「わわっ、後ろから抱きつかないで下さい!」 良子「ちょ!それは私の!」 京太郎「私の?」 良子「何でもない!」 京太郎「リサイタルですよ!」 初美「わーい!」 良子「ちょっと待て」 巴「というか、おかしいですよ!」 初美「何がですかー?」 良子「自分の席に戻るんだ!京太郎の膝の上に座るんじゃない!」 初美「えー」 京太郎「はっちゃんは尻をスリスリしないで下さい。後、暑苦しいです」 京太郎(ロリコンじゃなくてよかった……!ロリコンだったら絶頂射精だぜ!) 巴「はいはい、はっちゃんは元の席に戻ろうねー」 初美「いやですー!皆一緒に聞くんですー!」 巴「わがまま言うんじゃありません」 初美「ううっ……」ズルズル 良子「やっと、行ったか……」 京太郎「嵐みたいでしたね」 京太郎「うーん、美しい旋律でしたね」 良子「そうだな……」 京太郎「どうかしましたか?」 良子「いや、あのアイズとかいう少年がこっちを見てたような……」 京太郎「気のせいじゃないですか」 良子「そうだよな……錯覚だろう」 京太郎「そうに決まってますよ」 初美「京太郎-!」ダキッ 京太郎「うわあっ!飛びかからないで下さいよ!」 初美「フフーフ!」 京太郎「いやそんなどっかの武器商人みたいな笑い方をされても」 初美「まあまあ、こまかいことはいいっこなしですよー」 京太郎「全く、年下にしか見えないっすよ、そんなんじゃ」 初美「それは困りますね、私はお姉さんですから」 良子「……」イラライライラ 良子(何だ、何だ何だ何だ!やっぱり京太郎は小さい方がいいのか!) 良子(そりゃあ、私は京太郎よりはオールドウーマンだ!もう高校も卒業してる!) 良子(でも、まだ若いって言い張れるぐらいの年齢ではあるはずだ!) 良子(……やっぱり、小さい方が優しくしてくれるのか?)ジワッ 巴「あー、やっぱり」 京太郎「わ、巴さん」 巴「もう叱る気もなくなりましたよー」 京太郎「すいませんすいません」 巴「まあ、いいんじゃないでしょうか?ただこのことが家に残ってる三人に聞かれたらやばそうですけどね」 京太郎「ええっ!」 巴「はぁ、口止めしておきますよ。きょーちんはほったらかしにしてたら刺されて死にそうですし」 京太郎「そんなバカな」 巴「ありえるから言ってるんです。まあ、少しは自重してくださいね?」 巴(まあ、少しはモヤモヤしますけど……きょーちんですし) 巴「それよりも、リサイタルは終わりましたよ?」 京太郎「ですねー」 良子「ちょ、いつまで京太郎の背中に乗ってるんだ!」 初美「いつまでもですよー」 京太郎「すごく……重いです」 初美「女の子に重いは失礼ですよー!」 京太郎「とは言っても……」 初美「京太郎は帰るまでこのままー!」 京太郎「恥ずかしすぎるんで止めて下さい!」 良子「ええい!私のことを忘れるな!ドントフォーゲーット!」 巴「どうするんですか、この状況……」 京太郎「という訳で出ましょうか」 良子「そうだな……」 初美「うりゃーーー!」 巴「いつまで乗っかかってるんですか、はっちゃんは……」 初美「そりゃあもう――死ぬまで、ですかねー」 京太郎「それだったら、俺はずっとこのままじゃないですか!」 初美「えへへー」 巴「うーん、まとめ役が私しかいないのは大変ですね……」 良子「ナチュラルに私がハブられてる!?」 京太郎(町中で処女発言する人はまともじゃないと思う) 初美「ねー、京太郎ー」 京太郎「どうかしました?」 初美「この後、時間ありますかー」 京太郎「突然、どうしたんですか?」 初美「な・い・しょ!ですよー!」 京太郎「良子さんとデートです」 初美「そうですかー……それなら仕方ないですね」ヒョイット 京太郎「えーっと、はっちゃん?」 初美「それじゃ、デートが終わった後――近くの高台まで来て下さい」ボソッ 京太郎「……?」 初美「巴ー、帰りましょうかー」 巴「はいはい。それじゃ、きょーちん。残りのデート、楽しみなさいよ?」タッタッタ 京太郎「何だったんだ……?」 良子「でででででででで、デーーーート!」プシュー 京太郎「こっちはこっちで真っ赤だし……」 京太郎(疲れるなぁ……) 【夜道】 京太郎「落ち着きました?」 良子「う、うん」 京太郎「とりあえず、良子さんはもっと落ち着くべきです」 良子「仕方ない。すっげーびっくりするのは、やめられないとまらない」 京太郎「かっぱえびせんですか」 良子「あれ、美味いよね。私はよく食べるよ」 京太郎「色々な味が出ますけど、最終的にはノーマルに落ち着くんですよね」 良子「そうだね……」 京太郎「…………」 良子「ね、京太郎」 京太郎「なんです?」 良子「君はさ……遠くに行かないよね?」 京太郎「突然、どうしたんですか」 良子「何だかね。さっき、初美と話していた時……京太郎が遠くに行っちゃうって錯覚がしてね」 良子「だから、聞いてみたくなった。それだけ」 京太郎「……」 京太郎「いつまでも、ここにはいませんよ」 京太郎「俺は……今まで逃げていたものとケリ、つけなくちゃいけないですし」 京太郎「その結果、俺がどうなろうとも……」 京太郎「スジは通す。それに、何人か『お礼』をしなくちゃいけない奴等がいるんで」 京太郎「だから――今の環境は続かない」 京太郎「夢は覚めるんすよ。幸せであろうとも、不幸であろうとも」 京太郎「本来は、俺はココにいてはいけないっすからね」 良子「そんなことは、ない」 京太郎「あるんですよ、そんなこと」 京太郎「だから、いつかはお別れです」 良子「……っ!夢なんて覚めなくてもいいだろ!」 良子「ずっと、ずっと!幸せに浸っていればお前は救われるだろう!」 京太郎「どうしたんです、突然……」 良子「…………清澄高校だったな、京太郎が通っているのは」 「やっと、見つけたよ。京ちゃん」 咲「その先は言わなくていいですよ」 良子「お前は……?」 京太郎「…………どうして」 咲「嫌だなぁ、京ちゃんが言ってたんじゃない。鹿児島に転校するって。 だから、追いかけてきちゃった♪」 咲「心配したよ、すっごく。すっっっっごく」 京太郎「……お前が」 咲「久しぶりの京ちゃん~。ふふっ、変わらないね」 京太郎「ここにいるっ!咲ッ!」 咲「何度も言わせないでよ、もう。お・い・か・け・て!来たんだよっ!」プックリ 京太郎「んな訳、な」 咲「あるんだよ、京ちゃん♪」 咲「そうだよねっ、京ちゃんが心配で心配でね。皆で来たんだよ」 「須賀君……会いたかったです」 「来たじぇ……京太郎」 「まさか、こんな所で再会するなんてね」 京太郎「…………」 良子「京太郎……?」 京太郎「すいません、行ってください」 良子「でも……!」 京太郎「早くッッッ!」 良子「っ」ビクン 咲「あれれ、どうしたの?まるで、私達が敵みたいな反応だよ」 京太郎「……黙れ」 良子「……一体、何があったの?」 京太郎「言えません。とりあえず、行ってください。できるだけ、遠くへ」 良子「……わ、わかった」タッタッタッ 京太郎「……久しぶり、とでも言えばいいんですかね」 咲「そうだね。それよりも、敬語やめてよ」 京太郎「どの口が言いやがる……」ギリッ 咲「まあまあ、落ち着いてよ。ね?」 京太郎「……っ!」 久「須賀君とは一度こうして話しておきたいと思ってたのよ」 京太郎「そうですね、俺もケリ、つけなきゃって思っていましたよ」 優希「京太郎!違うんだじぇ!あれは!」 京太郎「何が違うってんだよ。ま、いいさ。どっちにしろケリ、つけなくちゃいけなかったんだ」 京太郎「改めて、言わせてもらいます。どんな事情があろうとも、元の関係には戻れない」 京太郎「それだけは、はっきり言っておきます」 咲「京ちゃん!」 京太郎「別に俺じゃなくてもいいじゃないですか。ほら、今となっては人気じゃないですか。麻雀部」 久「それは……」 まこ「そこまでにしときんしゃい」バッ 京太郎「染谷先輩……!」 まこ「こうして、直で会うのは久しぶりじゃな。元気そうで嬉しいぞ」ニカッ 京太郎「はい!染谷先輩こそ!」ニカッ まこ「とりあえず、どっちも冷静になるべきじゃろ」 まこ「全く、いきなり出ていったと思ったら……お前さん達はそんなに煽りたいんか?え?」 咲「違いますよ!」 まこ「違わんじゃろっ!いきなり、会って何を話す? 京太郎がお前さん達のことをどう思ってるか知らんとは言わせんぞ?」 まこ「ったく……もっと落ち着いて行動しろって言ったじゃろ」 咲「……」 まこ「京太郎もじゃ。いきなり、喧嘩腰だと話せるもんも話せないじゃろうが。 冷静になってよく考えんしゃい」 京太郎「……すいません、熱くなりすぎました」 まこ「それでいい。まあ、いきなりじゃったから無理はないがな」グルッ 京太郎「……染谷先輩?」 まこ「ほれ、行け。ここは任せておけ」 京太郎「いいんですか?」 まこ「いいに決まっとる。落ち着いてからゆっくり話すぞ」ニカッ 京太郎「はい、ありがとうございます」ダッダッダッ 咲「あっ……!」 まこ「悪いが、ここは通せんなぁ。通りたかったらわしを倒してから行きィ」 咲「……!」 久「まこ!」 まこ「ま、これがわしの立場での。どっちも感情ばかりが優先していかんのぅ。 もっと、先を見通してから行動せい」 まこ(京太郎も、冷静になれば話し合いのテーブルにはつくじゃろ。 それまでは、わしが何とかしないといけんからなぁ) まこ(はぁ……嫌な立ち位置じゃ) 京太郎「……」 京太郎(俺は……、俺は……どうしたいんだ?) 京太郎(仲直り、したいのか?報復したいのか?) 京太郎(わからねぇ、わからねぇよ!染谷先輩……!) 京太郎(どうしても、アイツラの顔を見ると……憎くて、憎くて) 京太郎(アイツらが憎い、でも……もっと憎いのは――自分だ) 京太郎(俺がもっと強かったら、どいつもこいつもぶっとばせる力があったら) 京太郎(こんなはずにはならなかったんだ) 京太郎(俺は……) 京太郎「……くそっ」 ???「むっ、何だか困ってそうな人を発見ですっ」 京太郎「……はぁ」 ???「ため息までついて……もしかしたら道に迷っているのかも」 京太郎「……」 ???「助けましょう、導き手、任されました!」 京太郎「……?」 すばら「そこの貴方っ!道にでも迷っているのですか!この花田煌、助けになりますよ!」ドドーン 京太郎「……はは、道に迷っているのかもしれません」 すばら「それはいけません、私も僭越ながらお手伝いを!」 京太郎「いいっすよ、これは俺の問題なんで」 すばら「まあまあ、固いこといいっこなしで」 すばら「ちょうど、そこに公園があります。話ぐらいなら聞きますよ?」 【公園】 京太郎「……という訳なんです」 京太郎(具体的な名前は避けたけど、わかってくれるんだろうか) すばら「そうですか……ふむむ、難しい問題ですね」 すばら「感情と理性はそう簡単には切り離せません。須賀さんは感情が抑えきれない、そうですね?」 京太郎「はい。その人達の顔を見ると、憎い、憎いって。声が囁くんです」 京太郎「全部、憎い。壊せ、壊せって」 京太郎「だけど、俺は――どんな形になろうとも決着を付けたいんです」 京太郎「仲直りか、決別か。どっちになるかはわかりませんが」 京太郎「前に進みたい、それだけは間違いじゃない。だから、話し合わないと」 すばら「……何だ、わかってるじゃないですか」 すばら「正解ですよ、それで」 京太郎「だけど!」 すばら「感情が抑えきれない?なら、私にお任せあれ!」 すばら「須賀さんとその人達の仲、私がとりもちましょう!これはすばらではないでしょうか!」 京太郎「いえ、結構です」 すばら「ええっ!?」 京太郎「今日あったばかりの人を巻き込めませんよ……」 すばら「遠慮することはないんですよ?」 京太郎「遠慮しますって……」 すばら「むゥ……仕方ないですねぇ」ピッ 京太郎「これは……?」 すばら「私のアドレスと電話番号です。私は部活の合宿でもう少しだけですがココにいます」 京太郎「はぁ……」 すばら「その間なら助けることができますっ!すばらですね!」 すばら「あ、別に用がなくてもかけてきてもいいですよ?」スバラッ 京太郎「あ、有りがたく受け取っておきます」 すばら「そうしてください!では、助けがほしいのでしたら呼んでくださいね♪」タッタッタッ 京太郎「……何だか、嵐のような人だったなあ」 京太郎「……さてと、どうしよう」 京太郎(やることと言ったらもうないけど) 京太郎(うーん、どうしよう) 京太郎「そうだ、約束……約束があったんだ」 京太郎「咲達の件もあるけど、今ははっちゃんが優先だ……」 【高台】 京太郎「……懐かしいな」 京太郎(はるるの時以来か?あれから随分と経ったよなぁ) 京太郎(ま、今回は悪霊なんていないし安全なんだけど) 京太郎「……よっ」 初美「……来てくれたんですねー」 京太郎「当然じゃないですか」 初美「すっぽかされたらどうしようかと思いましたよー」 京太郎「そんなことしませんって」 初美「そうですね、約束破られたら……死んじゃったかもしれませんねー」クスクス 京太郎「縁起でもないこと言わないで下さいよ」 初美「そうでもないですよー。うさぎは寂しくなったら死んじゃうんですよー」 京太郎「はっちゃん、うさぎじゃないでしょう」 初美「そうでしたねー。でも、人間も同じです、寂しくなったら……コロッと逝っちゃいます」 京太郎「…………」 初美「そうじゃないですか?いまこうしている間にも世界では人が死んでます。 ゴミのようにですよー、怖いですねー」 京太郎「はっちゃん……」 初美「まあ、そんなことはともかくとして。ねぇ、京太郎ー」 京太郎「なんでしょうか」 初美「もしもです、私がここで――死んだらどうします?」 京太郎「……えっ」 初美「京太郎は、私を止めますか?」 京太郎「……止めますよ」 初美「……」キョトン 京太郎「何、呆気にとられてるんですか」 京太郎「はっちゃんは俺にとって大事な人です。止めるに決まってるじゃないですか」 京太郎「はっちゃんだけじゃない、神代家、良子さん……皆、俺にとっては大切な人です」 京太郎「だから」 初美「……そうですかー」 初美「それじゃあ、京太郎」 京太郎「……!?」 初美「止めてみますか?私の、自殺?」 京太郎「いやいや、何を言ってるんですか」 京太郎「何ではっちゃんが自殺しなきゃいけないかさっぱりですよ?」 初美「さよなら、京太郎……幸せでした……」ザシュリ 京太郎「……っ」 初美「……なに、やってるんです?」 京太郎「止めるって、言ったじゃないですか」 京太郎「理由もなしにいなくなるなんて、なしですよ」 初美「……」 京太郎「理由、聞かせてください」 京太郎「何もなしに死ぬのは、嫌です」 初美「…………」 京太郎「お願いします」 初美「話して、解決することですかー?」 京太郎「話さないことには始まらないです」 京太郎「俺ができることなら……なんでもしますから」 京太郎「俺のせいで迷惑をかけた分もまだ返していませんし」 京太郎「だから!」 初美「……わかりましたよー」 京太郎「……」ホッ 初美「私のことを聞いても、京太郎は引きませんか?」 京太郎「場合によります」 初美「……でしょうねー」 京太郎「それでも、理解したいとは思います」 京太郎(その服装を見てたら慣れますよ……) 初美「それじゃあ、最初に言っておきますよー」 「京太郎のことが好きです。私と、付き合ってください」 京太郎「……えっ」 初美「どうかしましたかー?」 京太郎「いやいや待ってくださいって。おかしいですよ」 京太郎「はっちゃんが俺を好きになる理由なんて」 初美「好きになるのに理由が必要ですか?」 京太郎「……それでも。俺なんかを」 初美「私が好きになった人の悪口はやめてくださいー」 京太郎「……はい」 初美「よろしい」 京太郎「…………」 初美「…………」 京太郎「……聞いてもいいですか?」 初美「どうぞ?」 京太郎「どうして、さっきみたいな真似をやったんですか?」 初美「あれぐらいしないと京太郎は、冗談ととりそうでしたから」クスリ 初美「案の定、京太郎は否定しましたし」クスクス 初美「それとも……この体のせいですか?」 京太郎「……」 初美「こんな小さな体だから子供の冗談とでも考えましたか?」 初美「別にいいんですよー。慣れてますしねー」 初美「この体のせいで昔からそうでした。何を言っても子供の戯言だとしか思われない」 京太郎「…………」 初美「だんまりは面白くないですよー?」 京太郎「その、俺には何とも言えなくて」 初美「そうでしょうねー。でも、何か言ってくれると嬉しかったり?」 京太郎「……」 京太郎「…………」 初美「何も、言えませんか」 初美「ま、当然ですよねー」クスクス 京太郎「その、俺は」 初美「いいですよー、無理に言葉に出さなくても」 初美「素直に言えばいいじゃないですかー、ガキのくせに何言ってるんだって」 京太郎「そんなこと!」 初美「じゃあ、ないって言えますか?違うって言えますか?」 京太郎「……っ」 初美「言えませんよね?」 京太郎「……その、ごめんなさい」 初美「いいですよー。わかってることですしー」クスクスクス 京太郎(何か、怖いぞ……いつもより追い詰められてるというか) 初美「…………京太郎」 京太郎(……重い) 初美「ねー、京太郎。聞いてますかー」 京太郎(……ど、どうすればいいんだ) 京太郎(というか、おかしいだろ!俺が告白されるなんて!) 京太郎(俺好かれるようなこと、やってないよ!?) 初美「それにしても」 京太郎「えっ」 初美「さっきからこっちを見ている視線が気になるのですよー」 初美「出てきてくださいー」 初美「だんまりだったらこっちにも考えがあるんですよー?」 ???「……」 京太郎「何でこんな所に……?」 ???「なんとなく、かな」 咲「ここには京ちゃんがいると思ったから」ニッコリ 京太郎「咲……!染谷先輩はどうした!」 咲「何にもしてないよぉ、染谷先輩は大事な仲間だもんね」 京太郎「……」ギリッ 初美「さっきから何話してるんですかー?京太郎は私と話してるんですー」 咲「ごめんなさい、気づかなかったなぁ」テヘペロ 初美「……部外者はちょっと退場願えますかー?」 咲「それは困るなぁ。私も京ちゃんに話があるし」 初美「こっちは一大事なんですよー」 咲「こっちだって一大事なんだよ?」 初美「さっきから何なんですかー、京太郎に馴れ馴れしくして」 咲「それはこっちのセリフかな。京ちゃんに近づきすぎ」 初美「いいんですよーだ。京太郎が許してくれてますからー」ダキッ 京太郎「ちょ……!」 咲「京ちゃんから離れろっ!」ゴッ 初美「そっちこそ離れてくださいよー!」カッ 京太郎「ちょ、二人共落ち着けって!」 京太郎(だ、誰か助けてくれよー!何でいつの間に修羅場なんだよー!!) 巴「はっちゃーん、どこですかー」 霞「どこに行ったのかしらねぇ……」 春「晩御飯……食べれない……お腹すいた」 小蒔「家の近くでしたらここしか行く所がないと思いますが……」 巴「あっ、いました……よ」 京太郎「……ど、どうも」 巴「どうもじゃないですよ、どうなってるんです、これ?」 京太郎「色々ありまして……」 巴「色々ってなんですか、色々って」 春「それよりも、そっちの人は誰?」 咲「はじめまして、いつも京ちゃんがお世話になっています! 京ちゃんの幼馴染の宮永咲です!」 初美「幼馴染って……貴方があの」 咲「聞いてるんですか、なら話は早いです。京ちゃんを返してください」 初美「……嫌です」 咲「……?」 初美「嫌です、って言ったんですよー」 咲「どうしてかな?」 初美「京太郎から話を聞く限り、京太郎のこと……体の良い雑用扱いだったそうじゃないですかー」 初美「そんな扱いをする所に京太郎を居させたくないですー」 初美「京太郎-。いっそのこと、こっちに転校すればいいんですよー」 霞「えっと、話が掴めないけれど……はっちゃんの言うことが本当だったら」 春「京は渡さない」 小蒔「ふぇ?」 巴「姫様はそのままの姫様でいてくださいね。えっと、面倒な事になりましたね……」 巴「ともかく、ここは大人しく引いてくれませんか?」 咲「嫌です……やっと、会えたのに……!」 初美「往生際が悪いですよー」 咲「そっちこそ!こっちの事情を何も知らないで!」 初美「私は聞いてるんですよ!京太郎から!」 咲「それは誤解なんです!」 初美「誤解でも京太郎を傷つけたことは変わらないですよー!」 京太郎「……二人共、落ち着けって!!!!!!!」 初咲「「……!!」」 京太郎「あーもう!二人を見てたら冷静になれたわ……」 京太郎「とりあえず、冷静に話さないと始まらないだろうが!」 京太郎(染谷先輩にも言われたしな……落ち着かないと……) 京太郎「……咲」 咲「何かな?」 京太郎「…………あの時のアレが誤解ってどういうことか。後で聞かせてもらうから」 咲「う、うん」 京太郎「はっちゃん」 初美「何ですかー?」 京太郎「さっきの答えについてはちょっと待ってください」 初美「……」 京太郎「お願いします」 初美「……分かりましたよー」 京太郎「とりあえず、ここから降りましょう」 咲「うん……」 小蒔「あの、京太郎さん」 京太郎「すいません、皆さん。このことについては後で必ず話します」 霞「まあ、そういうことなら……」 春「文句はない」 京太郎「ありがとうございます」 咲「……京ちゃん」 京太郎「どんな誤解があったかは知らないけど」 咲「……っ」 京太郎「俺、もう麻雀部には戻らないから」 咲「京ちゃん!」 京太郎「一度壊れちまったもんはもう直らねーよ」 京太郎「それに……俺がいた所で何もない」 京太郎「きっと、邪魔になるだけだ」 京太郎「誤解?そうだな、誤解があってお前に全くの悪意がないとしてもだ」 京太郎「もう、さよならだ」 京太郎「終わってしまったんだよ、咲。あのひだまりみてーな空間はよ」 咲「嫌だよ……嫌だよぉ!」 京太郎「……戻った所で意味なんてないだろうが」 京太郎「今更どのツラ下げて戻るってんだ!雑魚一人入れてどうする!」 咲「……ゃ」 京太郎「また、仲良くはできるかもしれない。だけど、麻雀部には戻らない」 京太郎「誤解なんて関係なく、俺が決めたから」 京太郎「だから――さよならなんだよ」 咲「………ぁぁっ」 咲「あああああああああああああああぁぁぁあああああああぁぁあああああっ!!!」 京太郎「…………」 初美「…………よかったんですか?」 京太郎「俺が決めたことなんで。誰にも否定なんてさせません」 霞「なら、いいのだけれど」 春「これからどうするの……」 京太郎「どうしようかな。あんな啖呵きったんだ。もう清澄には戻れない」 小蒔「でも、また仲直りしたら!」 京太郎「無理ですよ。咲の手前ではできるって言いました」 京太郎「だけど、俺と咲達は溝が深すぎる」 京太郎「仲立ちをする人がいないんですよ」 京太郎「それに戻った所で……」 巴「…………」 ???「済まない、ちょっといいだろうか」 ???「ちょっと道に迷ってしまってね」 ???「菫が悪い」 菫「あのなぁ……お前がお菓子が食べたいっていうからコンビニ探してるんだよ!」グリグリ ???「いひゃいいひゃい」 巴「えっと……」 菫「ああ、すまない。この近くにコンビニはないだろうか」 霞「それでしたら……」 京太郎「あ……」 ???「ん?」 京太郎「照さん……?」 照「須賀君……?」 京太郎「どうしてここに?」 照「私は合宿。須賀君、鹿児島にいるって聞いたから」 照「暗い顔してるけど、どうかした?」 京太郎「……照さん、結局俺も無理でしたよ」 照「………………そう」 菫「何だ、照の知り合いか?」 照「うん、私の彼氏」 京太郎「ええ、彼女です」 菫「はぁ!?」 照「というのは冗談」 菫「……お前でも冗談を言うんだな」 照「菫は一体私のことをなんだと思ってるの?」 菫「麻雀マシーン」 照「……須賀君、菫がいじめる」シュン 京太郎「はいはい、照さんはいい子ですよ」ナデナデ 菫「君も照を甘やかさないでくれ……」 霞「……そういえば、あなた達。よく見ると」 菫「ん?そういうお前たちこそ……永水女子だな?」 巴「白糸台の二大エース……」 菫「ははっ、照はともかく……私は違うよ。そんな器ではない」 照「菫、お菓子」 菫「わかったわかった。それじゃあ私達はこれで」 照「それじゃあ、全国大会で」 霞「戦える日を楽しみにしてるわ」 菫「こちらこそ」 照「……須賀君」 京太郎「なんです?」 照「私が言える立場ではないけど」 京太郎「……わかってます。ちゃんと後で話は聞きます。誤解だったらそれも謝ります」 京太郎「だけど、もう前みたいな関係は無理です。麻雀部にも戻りません」 京太郎「それに、戻った所でどんな顔すればいいかわかんないです。 今の清澄に俺の居場所、ありませんしね」 照「……うん」 京太郎「それと、咲は今……鹿児島にいます」 照「…………そう」 京太郎「俺は今度ちゃんとした話し合いをして、完全にケリを付けます」 京太郎「照さんはどうしますか?」 照「私も……一緒に行く」 照「私自身も決着をつける」 照「きっと、決別だろうけどね」 京太郎「そうですか……」 照「その時は私にも連絡して」 京太郎「わかりました」 照「それじゃあ」 京太郎「最後まで、ままならないですね」 照「そんなもの。ちょっとしたことでもう取り返しはつかない」 京太郎「…………はい」 照「だから、選択はよく考えて選ばないと」 京太郎「俺は、間違えたんでしょうか?」 照「それは君自身が知ってるはず」 京太郎「…………」 照「それじゃ」タッタッタッ 京太郎(間違ったとしても、もう遅いんだ) 京太郎「……さてと、家に帰ってきた訳だが」 京太郎(これからどうしよう?過去については明日話すってことになったけど) 京太郎(今、俺がやるべきこと。まずは、はっちゃんに返事、返しにいかないとな) 京太郎(俺は……はっちゃんに対して…………) 【はっちゃんルーム】 京太郎「すいません、今大丈夫ですか?」 初美「大丈夫ですよー」 京太郎「それじゃあ、失礼します」 初美「いらっしゃーいなのですよー」 京太郎「……えっと、ですね」 初美「もしかして。もしかしなくても返事ですかー」 京太郎「はい、こういうのは早く答えた方がいいと思いまして」 初美「そうですかー」 京太郎「…………」 初美「…………」 京太郎「すいません……」 初美「そうですかー……何となくですが、想像はしていました」 京太郎「はっちゃんのことは好きです。俺のことをよく来にかけてくれて嬉しいです」 京太郎「でも、それは友人としてです」 初美「…………っ」 京太郎「だから、ごめんなさい」 初美「…………ぁ」 京太郎「俺は、はっちゃんの告白を受けることはできません」 京太郎「…………罵っても構いません。ですけど、これだけは……嘘はつけないです」 初美「そう、ですかー…………」 初美「えへへ……ごめんなさい。私、京太郎に迷惑かけちゃいましたねー」 京太郎「そんなことないです!その、嬉しかったですし」 初美「無理しなくても」 京太郎「無理じゃないです!俺は!」 京太郎「…………断った俺が慰めても意味が無いですよね」 初美「…………」 京太郎「唯一つ、これだけは言えます」 京太郎「はっちゃんは、俺にとって――大切ですから」 初美「私も、大切な人だと思ってます……」 初美「でも、違うんですよー……京太郎の大切とは」 初美「……ごめんなさい。一人にしてください」 京太郎「…………はい」ガラガラッピシャッ 初美「…………あはは」 初美「振られちゃいましたねー」 初美「……完全に脈なしですよー」 初美「うっ……ぁぁ……」 初美「ぁぁあああああっ!ぁぁっ!あああああああああっ!」 京太郎「…………」 京太郎「…………あそこで告白を受けてたら」 京太郎「泣かせずにすんだのか?」 京太郎「何、あほなこと考えてんだ」 京太郎「それだけはやっちゃいけねーだろうが!」 京太郎「はっちゃんだって真剣に来たんだ」 京太郎「俺がここでごまかすなんて……ダメだろうが!」 京太郎「……」 京太郎「何か、しよう」 京太郎「本当に、苦しいのははっちゃんなのに……」 京太郎「……麻雀、やるか」 京太郎「気晴らしにはなるだろ……」 京太郎「……」 京太郎(集中できない) 京太郎(はっちゃんの泣き顔が、頭にちらついて) 京太郎「はぁ……」 京太郎「何が可愛い子とイチャイチャしたいだ」 京太郎「何が鹿児島で巫女さんだ!」 京太郎「畜生、畜生っ!」 京太郎「俺がこれまで思ってたことは、こんなにも辛いことだったのかよ!」 京太郎「人、好きになるって……これだけ、重いのかよ」 京太郎「馬鹿だ……俺」 京太郎「あわよくばハーレムだなんて!」 京太郎「クソッ……!」 チュンチュン 京太郎「……うーん」 京太郎(あのまま、寝てしまったのか) 京太郎「ちゃんと布団で寝とけって、俺……」 京太郎「ご飯、食べに行くか」タッタッタッ
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京太郎「……勝てない」 京太郎(加治木さんに言われた通り、色々と考えてやってるけどあんなオカルトに対抗できねぇよ) 京太郎(悪待ちだのリンシャンだの東場最強だのデジタルのどっちだの) 京太郎(染谷先輩はまだ子供の頃から雀荘で牌を触ったり対局を見続けていたらしいからわかるけど) 京太郎(アレは無理ゲーすぎる) 京太郎(気分転換に買い出しに無理やり行ったけど、メゲルな……) 京太郎(やっぱり、天才には届かないのか?) 京太郎「くそっ……」 ???「……ちょっといいでしょうか」 京太郎「ん?何ですか?」 ???「実は道に迷ってしまって。できれば、ここから駅までの道のりを教えて欲しいのですが」 京太郎「いいですけど……えーと、かくかくじかじかです」 ???「ありがとうございます」ペコリ 京太郎「よければ、案内しましょうか?」 ???「え、よろしいんですか?」 京太郎「はい、俺も丁度時間がありますし」 ???「それでは、お願いしてもよろしいでしょうか?」 京太郎「ええ、では行きましょうか」 京太郎(んー、珍しい服装。というか、もろ巫女さんじゃん) 京太郎(俺とそんな歳は変わらなそうだし……学校とか行ってないのかな) ???「ああ、そう言えば自己紹介がまだでしたね……私は――狩宿巴といいます」 巴「いや、助かりました。長野は一度も来たことがないもので」 京太郎「そうなんですか?長野の中でも田舎の方っすよ、ここ。そんなとこにどうして?」 巴「ちょっとした仕事ですよ。言うなれば、悪霊退散っていうやつですか」 京太郎「へー」 巴「信じていませんね……まあ、当然でしょう」 京太郎「そりゃあ、悪霊って言われても実感わかないですよ。漫画じゃあるまいし」 巴「でしょうね。ですが……貴方はとっくに気づいているはずですよ」 巴「オカルト、麻雀をやったことがあるなら。そのオカルトに何度も打ちのめされている貴方なら」 京太郎「……!」 巴「ねぇ、須賀京太郎くん」 京太郎「どうして、自己紹介もしていないのに俺の名前を……?」 巴「それは企業秘密です。まあ、仕事の関係上知ってしまったといいますか」 京太郎「……仕事と、俺の正体を知っていることに何の関係が?」 巴「ぶっちゃけますと、貴方の高校、相当やばいですね。空気が淀んでいます」 京太郎「……」 巴「それも、貴方を中心に。知っているはずです、今の環境が少しずつ狂い始めていることに」 京太郎「ということは……!俺に送られてくる嫌がらせじみたメールも!」 巴「それについては存じ上げませんが、とにかく……注意しておいて損はないですよ」ヒョイッ 京太郎「これは……」 巴「私の電話番号とメアドです。何かあったら連絡を。とはいっても、私にできることは限られていますが」 京太郎「……教えてくれないんですか、今、俺の周りで何が起きてるか」 巴「教えても意味がありませんよ?今起こっているのはありのまま、真実が曝け出されているだけなのですから」 京太郎「……真実?」 巴「誰しも、人は仮面を被るものでしょう?それがなくなりつつあるということですよ」 京太郎「よくはわからないっすけど、注意しておきます」 巴「それが一番です。はぁ……君とはもっと違う形で会いたかったんですけどね」 京太郎「違う形とは?」 巴「あはは、一応私も女の子ですんで。ロマンチックに憧れたりもするんですよ」 巴「こんな堅苦しいのはやめにしてフランクにいきたいのですが……どうも私はそれが苦手で」 京太郎「……それなら、ちょっとずつでも変えていけばいいじゃないですか」 京太郎「例えば、仲がいい友達にあだ名を付けるとか」 京太郎「それから口調も変えて、おちゃらけた風にしたり」 京太郎「狩宿さん、せっかく綺麗なんですからもったいないですよ?」 巴「……須賀君それってナンパですか?」 京太郎「違いますよ!ありのままを言っただけですって!」 巴「……ぷっ。必死ですね」 京太郎「そりゃあ勿論、狩宿さんに嫌われたくないですから」 巴「……巴。巴でいいですよ、“きょーちん”」 京太郎「なっ……というか、そのあだ名は何ですか!?」 巴「言い出しっぺの君からあだ名をつけようと思って。ダメかな?」 京太郎「いや、いいですけど……じゃあ、俺は“巴さん”で」 巴「うん、いい響き。この口調も変えられたらいいんですけどね、いきなりは難しいですよ」 京太郎「ちょっとずつでいいんですよ、こういうのは」 巴「では、努力してみましょうかね……おっと、もう駅ですか」 京太郎「喋りながらだったから早かったですね」 巴「まあ、いい気分転換になりま……なったよ」 京太郎「俺の方も。じゃあ、巴さん。また会えたら」 巴「ええ。じゃあね、きょーちん」 京太郎(巴さん、か……) 巴(うん、やっぱりいい響き。きょーちん、か) 「「また、会えるといいな」」 京太郎「さてと、買い出しも全部終わったことだし早く戻らないとな」 京太郎(巴さん、か。落ち着いていて綺麗な人だったな……) 京太郎(まさか、部室で言った冗談が本当になって出てくるとは。これは、幸先がいいかもしれんな) ハルカーナルヤシロノカミヨー 京太郎(ん、メールか。大方、部長達が早く帰って来いメールだろ) 京太郎「………………えっ」 京太郎「なん、だよ……このメール」 京太郎「おい、悪戯にしちゃあ洒落になんねーぞ……!」 Fromモブ女 『たすけて』 【清澄高校・保健室】 京太郎「おい、大丈夫か!」 モブ女「……あ、須賀さん」 京太郎「あの後のメールで保健室にいるって書いてあったからさ、急いできたんだよ」 モブ女「そうですか、すいませんわざわざ」 京太郎「気にすんなって。それよりもあのメールはどうしたんだ?」 モブ女「はい、それが階段を降りようとした時、誰かが私を押したんです」 モブ女「幸いに、転がり落ちる前に手すりに捕まったんで打撲で済んだんですけど」 モブ女「改めて、考えると怖くて……それであんなメールを送っちゃったんです」 京太郎「そっか……」 京太郎(これも偶然か?でも、偶然にしちゃ出来過ぎだぞ。モブ友達が言ってた俺を嫌ってる奴等か?) 京太郎(うーん、情報が足りないな……) 京太郎「その、押した奴の顔は見たのか?」 モブ女「後ろ姿しか……その、髪の短い女の子でした」 京太郎「わかった。サンキューな、教えてくれて。身体、大事にしろよ」ガラッ 京太郎(畜生……俺だけならまだいいけど、周り巻き込んでんじゃねえよ!) 京太郎(くそっ、イライラする) 京太郎「ただいま、戻りましたー」 まこ「おお、帰ってきたか。遅かったのう」 京太郎「まあ、途中色々ありまして……そういえば、他の人達は?」 まこ「ああ、アイツらなら休憩と称して食堂にデザートを食べにいきおった」 京太郎「そうですか……それなら、どうして染谷先輩は残っているんですか」 まこ「まぁな……いい機会じゃ、話しておきたいことがあってな」 まこ「メールで伝えるとは言ったが、本人がいるんじゃ。今話すぞ」 京太郎「はい、それで用件って?」 まこ「アイツらの様子がおかしいことについてじゃ。お前さんが鹿児島に転校するって冗談で眼の色が変わったじゃろ?」 京太郎「はい、いつもだったらすぐに流してくれるんだろうなーって思っていたんですけど」 まこ「それなんだがな、アイツら……お前さんが麻雀部をやめて転校するって噂を聞いたんじゃ」 まこ「何でもお前さんがアイツらを苦手にしているだのなんだの。それで、お前さんの挙動に過剰に反応してるんじゃろう」 京太郎「はぁ……?訳わかんないですよ。俺はそんなこと一言も言った覚えがないっすよ」 まこ「じゃろうな、わしもそう思っとる。全く、みんな噂に流されておるよ」 京太郎「染谷先輩は信じてないんですか?」 まこ「アホ抜かせ。わしはちょっとやそっとのことじゃあ揺らがんのよ。アイツらはまだ子供じゃ、成熟しきっておらん」 京太郎「それだったら染谷先輩も……」 まこ「わしは小さい頃から雀荘の手伝いをやっていてのぅ。大人の中で育ったから嘘だの恫喝だの慣れっこなんじゃよ」 まこ「わしが言えることは流されるな、今まで培ってきたものを信じろ、だけじゃ。それは京太郎にも言えることだと思うがな」 まこ「知ってるぞ、雑用の合間に牌譜を読んだり、ネトマをして必死になってたり。夜もわしらが帰った後、毎日一人で練習してるそうじゃな」 京太郎「っ!?」 まこ「こっそりと覗いてたんじゃ。お前さんも男じゃ、女の影でこそこそ雑用なんて本当は嫌なんじゃろ?」 京太郎「……そうですよ。俺には雑用をやることしかない。そんなのは嫌だ、強くなってアイツらを見返したい」 京太郎「力があれば、今の状況だって覆せる。誰にも文句なんて言わせない」 京太郎「才能が空っぽだけど強くなれるって。俺が麻雀部にいる意味の証明を」 京太郎「力が欲しい……!」 まこ「だが、今の状況でそれは厳しいぞ?最近はお前さんに対して嫌な空気があるしな」 京太郎「関係ないっすよ。確かに、先輩には言ってないんすけど、最近は色々あって参っていました。」 京太郎「だけど、吹っ切れましたよ、この程度を乗りきれなくて、強くなんてなれるかっ!」 京太郎「今より前に進むには!認めてもらうには!俺は、勝つしかないじゃないですか!」 京太郎「今までの俺は覚悟が足りませんでした。このぬるま湯の環境を、関係を壊す覚悟が」 まこ「……その道は茨じゃぞ。アイツらと今までどおりにいかんかもしれんぞ」 京太郎「それでも、俺は勝ちたい。咲達が掴んだ栄光を俺自身の手で掴みたい」 京太郎「それで、言ってやるんですよ。俺だって一発決められんだぜ?って」 まこ「そうか。そこまで決意が固いならわしは何も言わん。京太郎自身の問題じゃ、あまり突っ込むのも野暮というもんじゃろ」 まこ「だが、一つ訂正しときたいことがあるのぅ」 京太郎「えっ、何か……!そ、染谷先輩!?」 まこ「ふむ……こうして後輩を抱きしめるというのもなかなかにいいものじゃな」 京太郎「ちょ、ちょっと恥ずかしいっすよ……」 まこ「何を言っておる。お前さんはもう少し、人と触れ合っておくべきじゃ」 まこ「さてと、訂正じゃ。わしは、お前さんを認めている。一人の男として、な」 まこ「それだけは訂正してもらわんと困るなぁ。わしも誤解されたままは嫌じゃし」 京太郎「……は、はは」ポロポロ まこ「全く、泣き虫じゃのう。ほれ、胸、貸してやる。遠慮なく飛び込んでこい。相手が和だったらよかったんじゃがの」 京太郎「冗談、言わないで下さいよ……アイツらの前でこんなみっともない姿、見せられませんよ」 京太郎「だけど、先輩。今だけ、今だけでいいから……思いっきり泣いてもいいですか?」 京太郎「これ、終わったら……俺頑張るんで。絶対、強くなるんで」 まこ「遠慮無くって言ったじゃろうが、アホ」ダキシメ 京太郎「……ありがとう、ございます」 扉の向こう側 咲「…………へェ」 和「……」ギリッ 優希「おかしいじぇ……こんなのありえないじぇ」 久「落ち着きましょう、そうよ落ち着きましょう」 咲「大事なことだから二回言ったんですね。そうです、落ち着きましょう」ゴッゴッゴッ 久「……何か様子がおかしいからこっそり覗いてみたらねェ。おねーさん、予想していなかったわ」 咲「どうして、どうしてどうして……!」 優希「落ち着くじぇ、咲ちゃん。ひとまずは撤退だじぇ」 和「……」 久「もしかしたら、噂……本当なのかもしれないわね。まこに対してはいつも通りだけど私達には最近そっけないしね」 咲「…………………染谷先輩」 優希「行こうじぇ。今は、私達が入っても適当にごまかされるだけだじょ」 和「そうですね……」 咲(どうして、その立ち位置に私が入ってないのかな?) 【夜・帰り道】 京太郎(とりあえず、一通り泣いた後……咲達が帰ってきたんだけど) 京太郎(どこかぎこちないなぁ……やっぱり噂を信じてるのかなあ) 京太郎(はぁ……最近疲れることばっかだ) 京太郎「かったるいなぁ……」 ???「あ!」 京太郎「ん?」 衣「お前はこの前の!」 京太郎「ああ、天江衣さん、でしたよね。こんばんは」 ハギヨシ「どうも、タコスの店を教えた時ぶりでしょうか」 京太郎「そうですね、その節はお世話になりました」 ハギヨシ「いえいえ、こちらこそ」 ハギヨシ「衣様……チャンスですよ」 衣「な、何がだ?」 ハギヨシ「須賀君と初めて会った時、落ち込んでいたではありませんか」 ハギヨシ「何か言葉をかけるには今が、よろしいかと」 京太郎「で、俺に何か用ですか?」 衣「悩んで、苦しんで、自分が孤独だと思うなら、衣が添い遂げてやろう!」ドヤッ 京太郎「…………」 京太郎(ど、どう反応すればいいんだろう?) 京太郎(とりあえず、悪いことを言ってないってのはわかるけどさ) 衣(あれ、外したか?衣なりに考えたのだが。添い遂げるって一緒にいることだろ?) 京太郎「え、えーとですね……」 ハギヨシ「須賀君、少々お待ち下さい」 京太郎「へ?」 ハギヨシ「衣様。それではダメですよ。もう少し言葉を選ばないと」 ハギヨシ「……大丈夫ですか」 衣「うむ!こんどこそ間違えないぞ!」 ハギヨシ「ご武運を」 京太郎「えっと、もう返ってもいいですか?」 衣「ちょ、ちょっと待って欲しい!」 衣「衣が本当に言いたいことは……!」 衣「お前は強さを求めているようだが、強いことが幸せに繋がるとは限らないぞ」 京太郎「……!」 衣「そのいい例がお前の目の前にいる」 衣「強さにこだわってばかりで、衣は何も見えていなかった」 京太郎「それと、俺に何の関係が?」 衣「何も強さだけが全てではないということだ。気分を害したらすまない。だが、これだけは伝えておきたかったんだ」 衣「衣としては同じ道をお前に歩ませたくないのだ」 京太郎「……そうですか」 京太郎「ありがとう」ナデナデ 衣「むーっ!子供扱いするなっ!」 京太郎「俺のことを心配してくれて。赤の他人にそこまで言うなんて天江さんは優しいんですね」 衣「えっへん!」 京太郎「でも……ごめんなさい」 京太郎「強くなりたいのは俺が悩んで悩み抜いた結果、願ったことです」 京太郎「もう決めたことですから。天江さんの理論は……強いから言えることなんです。 それでも、少し……響きました」 衣「っ!……このわからずやーっ、ハギヨシっ!」 ハギヨシ「承知いたしました。すいません、須賀君」ドスッ 京太郎「ぎょほっ!」 衣「よし、家に運ぶぞっ!」 衣(……須賀京太郎、こいつは危うすぎる。このままだと、いつか自壊してしまう) 衣(止めないと。咲やトーカ達が衣を引き戻してくれたように) 衣(今度は衣がその役割を果たす番だっ) 京太郎「……うーん、ここは」 京太郎(何だ、この豪華な部屋は……!俺、何があったの!?) ???「お目覚めのようですね」 京太郎「あ、はい……って」 ハギヨシ「おはようございます、というには少し遅すぎますが」ハダーカ 京太郎「」 ハギヨシ「はっはっは、須賀君との熱い夜は私の人生で一番の思い出になりました」 京太郎「」 ハギヨシ「二人は幸せなキスをして終了ですね!」 京太郎「なにいってだ、アンタ」 ハギヨシ「私の穴に入れて、どうぞ」 京太郎「オーケー、三発殴って活路を開く」グーッ ハギヨシ「暴力反対!暴力反対!」 京太郎「うるせーーーー!人の処女奪ってんじゃねえええええ!!!!」 ハギヨシ「たった一度与えーられたー処女貫通はチャンスだーからー」 京太郎「何口走ってんだ、アンタ!?」 ハギヨシ「ハギヨシルートにもう入ったから安心!」 京太郎「今までのシリアスムードはどこ行ったんだよ!?」 ハギヨシ「うるさい、そんなことよりセックスだ!」 京太郎「というか、キャラ変わってるんだよ!!」 ハギヨシ「というか貴方だってキャラ違うじゃないですか!声優的に全裸の方でしょう、労働者じゃない!」ホ 京太郎「……」ドカッ ハギヨシ「無言で殴るのは良くないですよ!というか何ですか、この仕打ちは!」 京太郎「ハギヨシもげろ」 ハギヨシ「そんなご無体な!これがなくなったらどうやって須賀君のお尻を掘ればいいんですか!」 京太郎「掘らなくていいよ!?」 ハギヨシ「金髪巨乳の王女と別れてまで貴方の元へと走ってきたのに!」 京太郎「ふざけんな、テメエ」ドカッ ハギヨシ「グボッ!いい拳をお持ちで……」 京太郎「誰のせいだ、誰の!」 ハギヨシ「…………冗談はここまでにして。気はほぐれましたか?」 京太郎「えっ」 ハギヨシ「先程までの貴方は抜き身の日本刀のようでした。寄るもの全てを斬り捨てるかのような」 ハギヨシ「確かに、勝負事の時はそれでいいかもしれません。ですが、日常にまで及ぶともはやただの凶器……」 ハギヨシ「それを一旦無くすためにこのようなことをやらせていただきました」 京太郎「……ハギヨシさん」 ハギヨシ(この台本を書いた智紀様、後で仕事五倍に増やす。衣様が面白そうだとさえ言わなければこんなことしませんよ!!!) ハギヨシ「どうかお許しを。お詫びに私にできることであれば何でもするので」 京太郎「ん?今何でもするって言ったよね?」 ハギヨシ「ファッ!?」 ハギヨシ(まさか、この短期間でホモに目覚めてしまったのですか!?) ハギヨシ(ホモの申し子、須賀京太郎……!) 京太郎「とりあえず」 ハギヨシ(ああ、透華様、衣様お許し下さい。私は一足先に大人の階段を登ります……! 智紀様、後で仕事八倍に増やしますから) 京太郎「家に帰せ」 ハギヨシ「……ですよねー」 京太郎「とりあえず、いきなり拉致は犯罪でしょ、犯罪!」 ハギヨシ「バレなきゃ犯罪じゃないですよ」 京太郎「駄目だよ!?俺にバレてるから!!!!」 ハギヨシ「お待ち下さい!まだ、本題が始まっていませんよ!」 京太郎「はぁ。じゃあせっかくですし、聞きますよ」 ハギヨシ「ふぅ、やっと本題に入れますよ。長い道のりでした」 京太郎「……ここまでの流れに意味はあったのか」 ハギヨシ「では、ゴホン。まず、ここに連れてきた理由からお話しましょう」 ハギヨシ「貴方は力がほしい、そう話しましたね?」 京太郎「まあ、そうですね。追いつきたい奴等がいるから、俺は強くなりたいです」 ハギヨシ「その過程で……大切なものを失う可能性があったとしても?」 京太郎「……どういう意味ですか」 ハギヨシ「言葉の通りです。何かを得るには同等の代価が必要です。力の代わりに失うものがあるだろうということですよ」 ハギヨシ「今から道を変えるということは視野には入れていませんか?」 京太郎「くどいですよ。俺は、決めたんです。迷うぐらいなら前に進むって」 京太郎「強さを手に入れるまで、走り続けるって」 京太郎「後悔なんて、ある訳ない」 ハギヨシ「そう、ですか……ならば、最後に一つだけお願いをしてもよろしいでしょうか」 京太郎「何ですか?」 ハギヨシ「衣様のお友達になってはもらえないでしょうか」 京太郎「いやいやいや。俺よりも適任がいるでしょうよ。咲達の方が仲良くなれるんじゃないですか」 ハギヨシ「貴方は自分のことを過小評価し過ぎですよ。まあ、私の方からは何とも言えません」 ハギヨシ「衣様がなぜ、貴方を気にかけるのか。答えは私よりも直接本人から聞かれた方がよろしいでしょう」 京太郎「……わかりました。タコス屋のお礼もあります、ここは言う通りにします」 ハギヨシ「感謝、します。では、ご案内をいたしますのでお後に」 【衣の部屋】 ハギヨシ「私はここまでです。後は、お二人で」シュタッ 京太郎「消えちゃったよ、おい」 京太郎(天江衣、去年のインターハイでも大暴れした娘。才能に恵まれた……)ギリッ 京太郎「聞くだけ、聞こう。それから、さっさと帰ろう」 京太郎「失礼します」 衣「……来たか」 京太郎「ハギヨシさんにはお世話になっていますから。その御礼も兼ねています」 京太郎「質問しても、いいですか」 衣「いいぞ、今日は夜通し語り合う覚悟でいる。メガシャキも飲んだから眠くないぞっ!」 京太郎(本当に大丈夫なんだろうか?) 京太郎「俺に興味を抱いた理由です。ぶっちゃけると、天江さんから見ると俺は塵レベルの存在だと思いますが」 衣「……似ているからだ。衣とお前は」 京太郎「それはないでしょう。天江さんは才能に恵まれて、俺には何もない」 衣「才能、か。今思うと、才能なんてなければ、そう思うよ」 衣「古い話をしよう。才能がなまじ人よりあったせいで勘違いしていたバカな少女の話だ」 京太郎「そんな、ことが原因で……!」 衣「そんなことが衣の人生を縛り付けていたんだよ」 京太郎「監禁だなんて……!家族よりも、重いのかよ!? 麻雀が家族を壊しちまうのかよ!!!!!」 衣「狂ってるんだろうな……麻雀が家族を壊すなんて。だが、それが衣にとっての世界だった。 その影響か、衣の存在価値は麻雀しかないとしか思っていなかった。 目の前で手を差し伸べてくれる人達に気づかずに、強者のみを追い求めた」 京太郎「それで、俺に対して強さだけが全てじゃないって」 衣「そうだ、お前は衣と違って……戻れる。修羅の道を歩まなくてもいい」 衣「お前に手を差し伸べる者だっているだろう?というか、衣だ!」ズイッ 京太郎「天江さん……」 衣「別に、今すぐこの手を取れという訳ではない。ただ、お前の身を案じている者がいるんだってことは覚えておけ」 衣「それと、天江さんじゃなくて……衣で、いい」 衣(と、友達になりたいって言いたいのに……恥ずかしくて言えん) 京太郎「……衣さん」 京太郎「わかりました。俺、ちょっとだけ周りに目を――――――」 ズキン、と。 京太郎「が、あ。あっ」 ズキンズキンズキンズキン。 京太郎「が、ああっ!」 重い痛みが、これから発しようとする言葉を忘却の彼方へと押し流す。 京太郎「がひゃえちゃうぇrjgjっrgんうぇctkmrsklらckgぁえわzwっq」 衣「お、おいどうした!!!!」 耐え切れぬ痛みに脳のキャパシティが超える。 ついには立っていることすらままならず、倒れこむ瞬間、京太郎の目には一つの景色が鮮明に写った。 見えた景色は、駆け寄る衣でもなく。 ドアを乱暴に開け放って飛び込んできたハギヨシでもなく。 京太郎「……おん、な……のこ?」 思い出してはいけない過去の記憶の一ページ。 それは、血の涙に塗れた、“俺”と。 京太郎「……」 涙を流して、雨の空を見上げる、女の子。 「ごめんなさい」 京太郎「……あ」 ハギヨシ「大丈夫ですか、どこか御身体の具合がよろしくないのであればすぐさま病院へと!」 京太郎「だ、大丈夫です。ちょっと、突然頭痛が……」 京太郎(な、何だったんだ、今見た光景は?) 衣「……ううっ」 京太郎「泣かないで下さいよ、もう……俺は生きてるんですから」 衣「だって、いきなり倒れて心配したんだぞ!!」 京太郎「……ハギヨシさん、俺どれくらい意識なかったですか?」 ハギヨシ「一秒、ジャストです」 京太郎「時間に換算すると少ないんですね……」 ハギヨシ「そんな些細な事は今は関係ありません。車を出します、病院へ行きますよ」 京太郎「んな、大げさな。今は平気です、ご心配おかけしました」 ハギヨシ「駄目ですよ、無理は禁物です。もし、途中で今みたいなことがあったらどうするのですか?」 衣「そうだぞ……もし、そのまま意識がなくなったままだったら」 京太郎「……わかりました。それでは、お言葉に甘えて」 ハギヨシ「お金に関してはこちらが負担します。元はといえば、私達が連れてきたせいでもあるかもしれませんしね」 【朝・京太郎の部屋】 京太郎「また、だ」 京太郎(嫌がらせのメールが増えてやがる……) 京太郎(マジでどうしよう。こんなことが続くと、もっとヤバいことになるかもしれねー) 京太郎(部活をやめれば、なくなるかもしれないけど 京太郎(……こんなことが原因で麻雀を諦めたくない) 京太郎(負けたくない、裏でコソコソ嫌がらせをしてくる奴等に) 京太郎(土日は部活に行っても何もなかったし……まだ、安心かな) 京太郎(しかし、あの頭痛は何だったんだろう。病院でも健康ですって言われたし) 京太郎「ああ、かったるい……」 衣「きょ、きょーたろーっ。ぐ、偶然だな?」 京太郎「天江さん……おはようございます」 衣「衣でいい、さん付けだと照れくさいんだ……」 京太郎「では、衣さんで」 衣「うむ、親愛を込めて呼ぶといいっ」フンッ 京太郎(うーん、何度見ても年上には見えんな……どうしたものか) 京太郎「そういえば、衣さんはなぜここに?ハギヨシさんとかに車で送ってもらわなかったんですか」 衣「それは……きょーたろーがきになったから」ボソッ 衣「ええいっ、その話は関係無いだろう!」 京太郎「まあ、いいですけど。学校とか大丈夫なんですか、こっから龍門渕までってそんなに近くない気が……」 衣「あ」 衣「…………」アセダラーリ 京太郎「もしかして、そのことに気づかずに……?」 衣「う、うるさーいっ!ハギヨシィッッッ!」 ハギヨシ「ここに」シュタッ 衣「ここから龍門渕まで今から向かっても間に合うか?」 ハギヨシ「衣様がお望みならばこのハギヨシ、必ずや時間までに」 衣「よし、なら急ぐぞっ!ではな、きょーたろーっ!」 ハギヨシ「須賀君も良き学校生活を」ビューン 京太郎「……一体何がしたかったんだろう」 【清澄高校前】 京太郎「おっす」 モブ友1「よう、今日は遅刻ギリギリじゃないのな」 京太郎「たまには余裕を持って登校もいいもんだろ」 モブ友1「違いねぇ」 京太郎「さってと、上履きに取り替えて-っと」ヌチャ 京太郎「……うわぁ」 モブ友1「どした?」 京太郎「上履きの中に噛んだガムが……」 モブ友1「……胸糞悪いな」 京太郎「お前達が前に言ってた奴等か」 モブ友1「多分な、とりあえずさっさと取って教室行こうぜ」 京太郎「ああ……」 :一応だから本編にギリ差し支えないッテ程度な。このままだとはるるダントツになる[saga]:2012/10/09(火)01 29 52.49ID 08smUdsw0【教室】 京太郎「はよー」 クラスメイト女「…………」 京太郎「……無視かよ」 モブ友1「やっぱ、抑えきれてねーのか」 京太郎「抑えきれてないって?」 モブ友1「ああ、お前のことを妬んでるって奴等だよ。 何のいい成績を麻雀で出してないからって嫌がらせしてるんだよ」 モブ友1「片や初の全国出場でルックス抜群。片や予選敗退のうだつのあがらない奴。 お前がいると邪魔だ、せっかくのきらびやかな麻雀部が汚れるってよ」 京太郎「何だ、それ。頭がおかしいとしか思えねーよ……」 モブ友1「元からそういう下地があったんじゃねーのかな? 原村とか会長って男女共に人気があってさ。宮永と片岡も可愛いって最近言われ始めてさ」 京太郎「染谷先輩は?」 モブ友1「なぜか言われてねー」 京太郎(一番頼りになって心強い先輩なのに……見る目ねーのな) モブ友1「ともかく、結構妬まれてるんだって、お前」 京太郎「わかった……夜道を歩く時には注意しとくよ」 モブ友1「そうしとけって」 京太郎(……しかし、これって結構辛いな) 京太郎(今はダチがいるから安心できるけど、もしいなくなったら……) 京太郎(それでも、麻雀は……やめられない。ここでやめたら今までの積み重ねが無駄になっちまう) 京太郎(それに、嫌がらせしてくる奴等に負けた気分は癪に障るし) 京太郎(うわっ教科書に落書きまでされている) 京太郎(くそっ……何か、嫌な気分だ) 京太郎(昼になった訳だが……) 京太郎(どうすっかな、こんな状況じゃあ麻雀部の奴らと飯なんて悪化するだろうし) 京太郎(そもそも、この噂ってアイツらに入ってるかもしれないんだよな) 京太郎(俺がやめるかもっつー噂も知っていたし) 京太郎(幸いに誰も誘いに来なかったし……) モブ友1「京太郎、飯食いに行こうぜー」 モブ友2「こんな時こそ、美味い飯を食べるべきだって」 モブ友3「あんなクソ連中のことなんざ気にしてんじゃねーよ」 京太郎「……ああ、そうだな」 モブ友1「今日のÀランチはコロッケラーメンと餃子のセットらしいぜ」 モブ友2「お前のあしたが明るくなるようおごったるぜー」 京太郎「お前等……」 【午後・清住高校麻雀部・部室】 とん、と小気味いい音が連続して響く。 その音は聞いていて不思議と気分を落ち着かせてくれる。 視界にはアイツらが時より談笑しながら麻雀をうっている姿。 そして、俺は牌譜の整理。まあ、適材適所というやつなのだろうか。 片や全国出場が控えている“宝石”と予選で負けた“石”である俺。 “石”は“宝石”に価値は到底及ばない。 抗うことを決めた今でもその事実は変わらない。 抗うきっかけはほんのささいな会話、アイツらにとっては取るに足らない日常会話だったと思う。 『えへへ、一位だっ』 『うへー、咲ちゃん強すぎるじぇー』 『そうですね、最初と比べて強くなりましたよ』 『それに比べて犬は弱すぎるじょー!』 その言葉はいつも聞き慣れているありふれたものだ。 俺は、弱い。それは当然の事実、自身でもわかっていることだった。 ここの連中と違って、俺は何のオカルトもデジタルもない。 正真正銘の凡人、雑用オブ雑用。 仕方ない、まあそれが現実だよね、これ以上は悲しくなるので以下省略。 多分、その時の俺は曖昧に笑っていたのだろう。 いつも貼り付けている軟派な笑顔を表面に出して。 だけど、一瞬……剥がれ落ちたんだ。 『京ちゃんも頑張ろう!今は弱いけど強くなれるよ!』 『とはいっても、私には敵わないと思うがな!』 『まあ、保証はありませんけど……』 いつもは流せるその言葉がどうしてか、チクリと胸に刺さった。 魚の骨が喉に引っかかったような、嫌な気分。 おかしいと自分でも思う。咲達からするとただの激励であるはずなのに。 どうして、こんなにも胸がざわつくのだろう。 だけど、このざわつきがきっかけでそれまで適当でいいやと思っていた麻雀に熱が入り始めたのは確かだ。 覚えきれてなかった役と点数計算を頭に入れて。 染谷先輩に頼んで雀荘でも練習のお世話になった。 思えば、この時こそ俺はしっかりと思ったのだろう。 アイツらの後ろじゃなくて横に並んで歩きたい。才能なんてなくても一緒にやれるってことを証明したい。 きっと、この思いは心の片隅に始めからあったんだ。 雑用をすることで俺の存在は認められているんだと逃げていたから。 雑用ばかりを押し付けられることを弱いから仕方ないと思い込んで。 見たくない現実から目を背けて、俺は……。 泥に塗れた“石”でも磨けば綺麗になるように。 掴むのは勝利の美酒か、それとも敗北の苦渋か。 俺は、欲しい。勝利の美酒が。咲達みたいな栄光を掴みたい。 所詮は夢物語、現実は甘くなかった。 目の前に吹き荒れる風は俺が前に進むことを許さなかった。 アイツらの背中すらこの目で見ることは出来ない。 おいおい、ちょっとぐらいの甘さがあってもバチは当たらないだろ? 神様は応えない。そっぽを向いて、“宝石”に夢中だ。 ガン無視かよ。ちょっとぐらい夢、見させてくれよ。なぁ、おい。 どれだけネット麻雀を打っても。 牌譜を読んで研究しても。 “宝石”は輝くのに“石”は輝かない。 神様は賽すらも投げない。俺の無条件敗北を暗に告げている。 嶺上開花、東場の王、悪待ち、デジタルの化身、瞬間記憶能力。 どうして、俺にはなかった。 皆と横に並び立って歩いていける力が! 足りないのか?もっと、貪欲にならないと駄目なのか? 何かを切り捨ててでもしないと、強くなれないのか? わかってるさ。麻雀は運が強いゲームだ、努力だなんて言葉で報われるものじゃない。 勝ちか、負けか。簡素に言ってしまえばそれに尽きる。 だけど、だけどっ!!! 意地があるだろ、男には!!! 女の影でコソコソと雑用やってるクソ野郎なんざ消えてなくなっちまえ。 前に出てこその男だろうが! 勝ちたい、勝ちたい……! アイツらに……勝ちたい。横に並び立つよりも、俺は前を歩きたい。 だから、俺は――覚悟を決める。 強さの代償を払う覚悟を。 立ち止まってしまったら、再び歩き出せる自信がないから。 引き返せと囁く悪魔を振り払って、前を見た。 拳を強く握り締める。爪が皮膚に刺さり、後がくっきりと残るぐらい、強く。 忘れたら、思いだせ。強くなりたいと恋焦がれるこの激情を。 覚悟を決めろ、須賀京太郎。無償で強さを得るなんてご都合主義はありえないんだ。 “勝ちたい、力が欲しい” 俺が最初に望んだ願いが間違いか、正解か。 皆で一緒に笑いあった日常は切り捨てる必要があるのか。 地区大会優勝で食べたラーメンの味は美味しかったか。 でも、そんなの今となってはどうでもいいのかもしれない。 『強くなる、誰よりも』 この思いだけは、きっと間違いなんかじゃない。 アイツらと横に並ぶよりも。ぬるま湯の日常に浸かるよりも。 俺が望んだことなんだから。
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【第一章五人の巫女と一緒に暮らそう!Start】 最初は、皆と一緒に強くなりたいだけだった。 京太郎「ういーっす」 咲「おはよう京ちゃん!」 和「おはようございます、須賀君」 優希「おう、犬!私が頼んでおいたタコスは作ってきたか!」 京太郎「ったくよ、お前は本当に花より団子だな……。そんなんだと先が思いやられるぞ」 優希「犬のくせに何をーーー!どーーーーん!」 京太郎「ぐほっ!?いきなり、腹にタックルしてくるのはどうかと思うぞ……!」 和「騒がしいですよ、もう……」 咲「あはは……優希ちゃんも悪気があってやっている訳ではないんだし。まあ、京ちゃんですし」 京太郎「腹部に実害を受けた俺は無視ですか、そうですか」 咲「まあまあ。京ちゃんも抑えて抑えて……というか優希ちゃんはいつまで抱きついてるのかなっ!」ガタッ 優希「あれれー、咲ちゃんヤキモチかー!京太郎のことなんてどうとも思っていないんだろー」 咲「それとこれとは話が別だよっ!」 京太郎「わかったわかった、とりあえず優希は俺から離れろ。暑苦しいっての」 優希「むぅ……この天才美少女優希ちゃんの抱擁をどうとも思わないとは……お前本当に人間かー!」 和「優希もいつまでも捻くれてないで卓に座ってください。須賀君も来ましたしこれで四麻ができますし」 京太郎「和の言う通りだぞ。ほら、さっさと座れ。……俺の上に座るんじゃねえ!」 咲「む~~~~~~~~~~!」 京太郎「咲も膨れてないで座れって。部長達が来るまでのんびりやってよーぜ」 無邪気に信じていた。強くなれるって。 京太郎「はぁ……俺のトビか」 優希「京太郎よわよわだじぇー!」 京太郎「うっせー!俺は大器晩成型なんだよ!」 優希「ふふん、ニワカは相手にならんじぇ!」 和「まあ、麻雀は運で左右される競技ですし……」 咲「次は一位取れるかもだよ、京ちゃん!」 京太郎「そうだといいんだけどなぁ……」 久「遅くなってごめんね……ってあら、もう始めちゃってたのね」バターン まこ「ドアは静かに開けんかい。すまんなぁ、騒がしい登場で」 京太郎「いえ、別にいいですよ。あ、部長達来たんで俺は変わりますね」 まこ「いや、そのまま打ちんさい」 京太郎「いえ、団体戦に出る部長達はもっと練習が必要ですよ。俺のことはいいですから卓に入ってください」 久「そう?じゃあお言葉に甘えて……」 まこ「…………それでいいんか、京太郎」ボソッ 京太郎「いいっすよ。染谷先輩こそ大丈夫なんですか、打たなくて」ボソボソッ まこ「わしはいい。それよりも、お前さんの方が心配じゃ。今のお前は眼が淀んでおるぞ」ボソッ 京太郎「ハハッ、そんなことないですよ。気のせいじゃないんですか」ボソボソッ まこ「そうだといいんじゃがな……京太郎、無理はするなよ」ボソッ 京太郎「はい、わざわざ心配してくださってありがとうございます」ボソボソッ 優希「おーい、京太郎!こっちに来るじぇ!私の華麗な麻雀を見せてやるじぇ!」 咲「京ちゃん早く!」 京太郎「はぁ……まったく、うちのお姫様達は元気なことで。じゃあ、染谷先輩。俺は咲達の所にいるんで」トコトコトコ まこ「はぁ……それでも、わしはお前さんが心配じゃよ。わしにはお前さんが無理をしているようにしか見えん」 まこ「このままだと――――壊れてしまうぞ……京太郎」 どれだけ、強くなれば取り戻せますか? 京太郎「見知らぬ天井だ……っていうネタなんて今時はやらねーか」 京太郎(……嫌な夢を見たな。もう振り返らないって俺は決めたのに。まだ、未練があるっていうのかよ) 京太郎(さてと、どうすっか……気分的にも二度寝できないし。ああ、そういえば携帯の電源がずっと切りっぱなしだったな)ポチポチ 京太郎「和からメール……?珍しいこともあるもんだ」 『須賀君、連絡が取れなくなって皆心配しています。特に、宮永さんと優希は……。一応、家にも連絡してみたのですが教えてくれなくて……。 このメールを見ているのなら連絡をしてくれると嬉しいです。私個人としても須賀君のことを心配していますので。 お願いします……返事をください』 京太郎「ははっ……和にこんなに心配されるなんて。前の俺なら手拍子を叩いて喜んでいたかもしれないな」 京太郎「だけど。だけどだ。俺はもう諦めたんだよ。麻雀も。それに――――お前への恋も。 全部だ、全部捨てたんだ」 京太郎「だから……これで、最後だ」 京太郎「お前の気持ちは嬉しい。何もかもが壊れちまっても。終わっても。俺には響いたよ。和――――」 『二度と俺に構うな。ムカツクんだよ、お前らのこと』 京太郎「俺は、お前達にはいらないようなもんだからな。勝手に逃げたケジメだ、区切り良く終わらせるさ」チャクシンキョヒッ 京太郎「もう、消えてくれ。和……多分、初恋だった」 京太郎(さてと!後腐れなく関係も消したことだし朝食でも食べるか。腹も減ったことだしなー)ドタドタ 京祖母「おう、京太郎。おはようさん」 京太郎「はよー、婆ちゃん。朝食ってできてる?」 京祖母「ちょうどいいタイミングだ、できとるよ。飲み物は何がいい?」 京太郎「麦茶がいいな」 京祖母「はいはい。テーブルに置いとくから冷めない内に先に食べてな」 京太郎「わーったよ。じゃあお先に、いっただきま~す」モグモグ 京祖母「どうだい、まずくはないかい?」 京太郎「全然。あいかわらず、婆ちゃんは料理がうまいな。俺もこれぐらい上手く作れればなあ」 京祖母「何言ってるんだい、京太郎はもう十分に上手いよ。いっそのこと料理人でも目指せばいいのさ」 京太郎「婆ちゃんはいつも褒めすぎだっての。俺の友達はもっとすごいぜ?目に見えない速さで極上の料理を作るからね」 京祖母「ふふっ、謙遜するんでないよ。料理だけじゃなく家事もできる男の子なんてそうはいないよ。 これで、いつでもお婿さんに行けるねぇ」 京太郎「ちょ、婆ちゃん!そんなこっ恥ずかしいこと言わないでくれって!」 京太郎(婆ちゃんが変なことを言うから想像しちまったじゃねえかよ……その、俺が結婚する光景が) 京太郎(……ああ。いつまで脳裏にいるんだよ、お前達は。妄想にまで出てくるんじゃねぇよ! 何なんだよ!忘れようと、無くそうと!消そうとしてんのに!) 京太郎(ホントさ――――もう消えろよ) 京太郎(嶺上開花、デジタル打ちの申し子、悪待ち、東場のみの最強。アイツらは俺とは違って恵まれている。それが、どれだけ羨ましいか) 京太郎(はっ……もう考えるだけで苛々する。アイツらは全然悪くない。それでもだ。俺は才能があって笑っていられるアイツらが――) 京太郎(――――憎いのかもしれない) 京祖母「さてと、京太郎。わざわざ鹿児島まで来てもらったのには理由があるのよ」 京太郎「改めてなんだよ。何か、手伝うことでもあるのか?」 京祖母「立直に言えばね……京太郎にはとある家で住み込みで家事をして欲しいのよ」 京太郎「え、俺が?確かその仕事って婆ちゃんのだったような……」 京祖母「そうなんだけどね……儂も歳なんだろうね、腰を悪くしてしまったのよ」 京太郎「じゃあ……」 京祖母「それで、最低限の家事しかできなくなってねえ……だけどその仕事は休むってことが厳しくてね。 私の代役を捜さないとって思ったわけよ」 京太郎「それが俺なんだね」 京祖母「そうよ。京太郎だったらその仕事をこなせると思うからね。無論、お金は京太郎に入るよ。 京太郎が働いて儂がもらってちゃあ悪いからさ」 京太郎「でもその間婆ちゃんはどうやって生活するんだよ」 京祖母「なあに、心配はいらんさ。コツコツとパチンコと競馬と競艇で稼いだ金がある。 これでも、儂はギャンブルに強いのさ。その貯金を切り崩して生活するよ」 京太郎(それはコツコツとは言わない。ったく、そんな嘘までついて。婆ちゃん、ギャンブルしないだろ……!) 京太郎(いつも、あくせく働いて少しづつ貯金して!そんな婆ちゃん放置して自分の懐に入れられるかよっ 少しでも、婆ちゃんの為にも。きちんと働かないとな) 京太郎「……まあ仕事をするのはいいけどさ。俺なんかで本当にいいの?もし、仕事でミスなんてしたら婆ちゃんの仕事が……」 京祖母「ハッ!そんな小さなこと気にしてんじゃないよ。一度のミスでクビになるくらいなら儂はもう数えきれないぐらいクビになってるよ。 自信を持ちな、京太郎。アンタは儂が認めた孫なんだ。それを否定なんてさせないよ」 京太郎「婆ちゃん……うん。俺やってみるよ!自分が出来る限り、頑張ってみる!」 京祖母「その意気だよ。さてと、仕事先の家なんだがね、神代家という。これまた格式が高くてね、普通では入れない所なんだよ」 京太郎(神代家……?どっかで聞いたことあるような……) 京祖母「さっきも話した通り、そこの家事やら何やら色々な雑用をやってもらう。最初は同じ立場の使用人がついていてくれるだろうか」 京太郎「その仕事ってのはいつから?」 京祖母「今日からじゃ。急ですまんな、色々と都合があってな……」 京太郎(その色々な都合っていうのは突っ込まない方がいいんだろうな) 京祖母「さてと、朝食も終わったことだし早速向かってもらう。頼むぞ、京太郎」 京太郎「任せておけって婆ちゃん。まァ、らくしょーってことで」 京祖母「その意気だよ、京太郎。頑張ってきな。もしかすると運命の人と出会えるかもね」クヒヒッ 京太郎「何を言ってるんだよ。もしいたら、全裸で踊ってやるよ!」 京祖母「言ったな、その言葉……忘れるんじゃないよ!」 【神代家前】 京太郎(とりあえず、急いで来たのはいいけど、家デカすぎィ!こんなん考慮しとらんよォ!)ズーン 京太郎「インターホンも押すのためらうなあ……」 京太郎(このまま帰ってもいいかな、俺?これは場違い感半端ねえよ!) 京太郎(でも、そうしたら婆ちゃんの顔に泥を塗ることになるしなぁ) 京太郎(よし、深呼吸してからのヨッシャ!!行くぞ、オラアアアアア!)ピンポーン 小蒔「ふぁー。だれですかーこんなあさはやくー」ドターン 京太郎「あ、はい!自分、今日からここで働くことになっ……た…………」 小蒔「はー。はたらくんですかーすごいですねー」 京太郎「」 京太郎(何で……何で……!何で半裸なんですかああああああああああああああああ!そんな格好で外出るとかマジありえないですって! というか、この人神代さんじゃないですか、やだもー!!!!!) 小蒔「?」 京太郎(ああもう!というか上の服しか着てないってどういうことですか、というか……) 京太郎(この人、下着をつけてない……!) 小蒔「えへへー」 京太郎(これは、ヤバい。息子の弾道が上がるのは置いとくとして……こんな光景を見られたら! 俺、死んでしまう。わかんねー、全てがわかんねー!) 小蒔「おー、こんなところにだきまくらー。おやすみなさーい」 京太郎(って迷ってる内に抱きつかれたーーーー!?胸が!胸が当たってるよ! 助けて、誰かああああ!助けてええええええええ!) 小蒔「…………すぅ」 京太郎「こうなったら無理矢理引き剥がして……っ!よし、後は俺の服を着せて他の人を呼ぼう!」ピンポーン 霞「ふんふむ……随分と面白いことになっているようね」 京太郎「……どこがですか!このお姫様にどういう教育をしているんですか!外に半裸で出てくるなんて危機感なさすぎですよ!」 霞「小蒔ちゃんは天然だから仕方ないのよ……いくら教えても何故か半裸にね」 京太郎「理由になってませんよ!」 霞「まあまあ。落ち着いて。焦るとろくな事にならないわよ」 京太郎「こんな状況になれば焦りもしますって……」 霞「ふふっ、見た目とは違って初心な男の子なのね」 霞「うん、気に入っちゃったわ」ジーッ 京太郎「へ?な、何がですか?」 霞「おねーさんね、あなたに興味が湧いてきたっていうことよ。須賀京太郎君」 京太郎「俺の名前をどうして……」 霞「そりゃあ今日から一緒に働く仲間の名前を覚えておくのは当然のことでしょう? まあそれはいいとして……もしこの先ね、期会があったら私の部屋にいらっしゃい」 霞「あなたとはじっくりと語らいたいものね、京くんっ♪」 京太郎「って、何ですかそのあだ名はー!」 霞「可愛いでしょう?まあ、これも親愛の証ってことね」 小蒔父「君が須賀さんの代わりに入ってきた使用人だね?」 京太郎「はい」 小蒔父「私が神代家当主を務めている小蒔父だ。君が娘と須賀さんが言っていた……」 京太郎「須賀京太郎です。これから少しの間ですが、よろしくお願いしますっ!」 小蒔父「うむ。若いながらも礼儀正しい若者だ。君には期待しているよ。京太郎君」 小蒔父「さてと……君は初日で仕事もわからないだろう。 だから、お付きの巫女をつけよう。その者から仕事内容について詳しく聞くといい」 京太郎「そのお付きの巫女さんって誰ですか?」 小蒔父「それはだな……」 小蒔父「君には霞君をつけよう」 京太郎「えっ。その人って……」 霞「ふふっ。まさかこんなに早く機会が来るなんてね、京くんっ」 京太郎「うわあっ!いきなり後ろから抱きつかないでくださいよぉっ!」 霞「あらあら……また顔を真赤にして。本当に初心なんだから」 京太郎「余計なお世話です……まったく、石戸さんには振り回されっぱなしですよ……」 霞「ふーん、そういう事言っちゃうんだー京くんはー。いいのかなー、これからの仕事を教えるのは私なのよー」 京太郎「うぐぐ……すいませんでした、石戸さん……」 霞「霞」 京太郎「へ?」 霞「霞って呼んでくれなきゃ仕事教えない」 京太郎「……霞さん」ボソッ 霞「もっと大きな声でお願いねっ」 京太郎「わかりましたよ、霞さん!」 霞「よろしい、じゃあ行こうか、京くん。おねーさんが色々と手取り足取り教えてあげる」 京太郎(なんだろう……なぜだか素直に喜べない) 霞「~♪」 京太郎「鼻歌をするぐらいに嬉しかったんですか……」 霞「そりゃあね~。京くんとはこうやってゆっくり話したかったし。まあこの家の案内をする間、付き合ってもらうわよ」 京太郎「霞さんは俺のどこに興味を持ったんですか……。 自分で言うのもどうかと思いますけど俺なんかつまらない男だと思いますよ」 霞「あら、少なくとも私はそうは思わないわよ」 京太郎「ははっ。何を言うんですか。そういうことを言うと本気にしちゃいますよ?」 霞「なら、ここで本気になってみる?」ダキッ 京太郎「ちょ、か、霞さん!?」 霞「ふふっ、冗談よ。さすがに廊下ではねぇ」 京太郎「……意地悪なんですね、霞さんは」 霞「それは京くんも同じだと思うけど。小蒔ちゃんの時もそうだったじゃない」 京太郎「えっ!何でそのことを……!」 霞「小蒔ちゃんが言ってたのよ。服を貸してくれた恩人さんは優しいけれど意地悪さんだったって」 京太郎「あはは……仕方ないですよ。神代さん可愛かったですし」 霞「……女の子の前で他の子を可愛いっていうのは良くないわよ」 京太郎(女の子……?いや、そういうツッコミはいいとしてあっれー。俺、もしかして失言しちゃった?) 京太郎(どうしよう、ここはフォローしないと……!) 京太郎「いやいや、霞さんも可愛いと俺は思いますよ?」 霞「またまた……どうせ口だけでしょう?」ツンッ 京太郎「そんなことないですって。俺にとっては霞さんは可愛い女の子なんですから」テヲニギッ 霞「ちょ……っ!京くんってば……!」 京太郎「何度でも言いますよ、俺にとって霞さんは可愛い女の子です」 霞「か、顔が近いわ……!」 京太郎「どうですか、このまま……俺と――――」 京太郎「なーんて、冗談っすよ」 霞「…………えっ?」 京太郎「いや、霞さんに同じようにからかわれたんで仕返しの意味を込めてやってみたんですけど……」 霞「もうっ!京くんってば!」ツンツンツンッ 京太郎「はははっ。でも、霞さんが可愛い女の子だって言うのは本当ですよ?少なくとも、俺はそう思っているんで」 霞「……本当にもう。京くんは女たらしねっ」 霞(ちょっとよ。本当にちょっとよ?ちょっとだけドキドキしちゃったなんて言えない……) 京太郎「それにしても、口では霞さんに敵いませんね、全く」 霞「おねーさんに勝つなんて百年早いわよ、京くん」 京太郎「百年ですか、俺生きてるからなぁ……」 霞「案外生きてるかもしれないわよ。この世の中には超常の力が溢れているんだから」 京太郎「超常の、力ですか……じゃあ俺は対象外ですよ。凡人オブ凡人なんで」 霞「本当に、そう思ってる?」 京太郎「……ええ」 霞「ふんふむ……じゃあ私の思い違いかしら」 京太郎「ええ。霞さんは考えすぎですよ……」 霞「京くんが言うならそうなのかもしれないわね。ごめんなさいね、変なことを言って」 霞(考え過ぎかしらね……京くんから強い力への渇望――闇の匂いがしたなんて) 霞「変な空気になっちゃったからお詫びのおねーさんだきつきーっ!」 京太郎「わわっ!な、何するんですかーーーーー!!!」 霞「あらあら。こんなのスキンシップよ。普通よ、普通」 京太郎「む、胸が!胸があたってますっ!」 霞「当たってるんじゃないわ、当ててるのよ」ドヤッ 京太郎(とんでもない人が付き人になったものだな……でも、こうして仲良くなれたのは嬉しいかな) ――力――が――欲――か? 京太郎(…………この声は、何だ?) ――力――が――欲――か? 京太郎(――――気のせいなのかな) 霞「どうかしたの、京くん?おねーさんの魅力にやられちゃったりした?」 京太郎「…………」 霞「もう、京くんってばっ!」 京太郎「“なんでもないですよ、ちょっとボーっとしちゃってて”」 京太郎(嘘だ。声は少しだけど、聞こえた) 霞「ホントに~。どこか熱でもあるんじゃないのかしら?」 京太郎「“心配ご無用です。健康体ですよ、俺は”」 京太郎(何か、声が聞こえた。ハッキリと。俺に対してだけに) 京太郎(全部は聞き取れなかったけど……。“力”ってのだけは確かに聞こえた) 京太郎(その声を辿ると、現状を変える一歩に繋がるかもしれない) 京太郎(だから、俺は嘘をつく。嘘をつくことで。力を得る手がかりをここで探ることで……取り戻す。こんなはずじゃなかった現実を) 京太郎(ああ、そうだ。諦める必要なんてないんだ。俺は、麻雀で一位になれる。力があれば、倒せる) 京太郎(引き返す道はいらない。このまま力を得られない人生なんて、ただ生きている人生なんて……緩やかな死と同じだ) 京太郎(才能が俺を選ばないなら。奇跡が起こらないなら――――無理矢理にでも奪い取りにいくしかない) 京太郎(強くなったら、部長も、和も、優希も…………咲も) 京太郎(麻雀で壊せるよなぁ?ああ、それはさいっっっっっこうに……気持ちいいんだろうなぁ) 京太郎(…………まだだ。俺は、俺は……!その快感を味わうことを躊躇っている。 あのひだまりが大切で、失いたくなくて……そこに俺がいることに気持ちよさを感じる心が残っている) 京太郎(割り切れないなら……力を求めて完全に狂うしかない。この声の源を探すことで俺は強くなる) 京太郎(ごめんなさい。霞さん……俺は貴方を騙すことになる) 京太郎(それでも、貴方や神代さんと仲良くしたいという気持ちだけは……嘘じゃない) 京太郎(どれだけ、強くなれば…………あの頃の俺を取り戻せるんだろう?) 京太郎「っと家の案内もここで最後ですね」 霞「台所ね。もう十二時も過ぎたしお昼にしましょうか」 京太郎「そうですね。ご飯はどうしますか?」 霞「うーん……どうしようかしら?」 初美「むむっ。なんとなくですがラブ臭が!そんなイベントここではさせませんよー」 霞「あら、はっちゃん」 京太郎「うわっ、相変わらずの痴女巫女だぁ!」 初美「痴女とは失礼なっ!これが私の正装ですよー」 京太郎(いや、それが正装なのはおかしいだろ……) 霞「それよりもはっちゃん、どうしてここに?」 初美「姫様を助けた人がどんな人なのかしっかりと見たくて見に来たのですよー」 初美「ふむふむ、なかなかの好青年なのですよー」ジーッ 京太郎「いやいや、数秒見ただけで判断っておかしいでしょ」 初美「こうみえても私は人を見る目はあるんですよー」 京太郎「…………体つきは育たないのに」ボソッ 初美「むむっ……何か私を傷つける言葉を言いましたね!」 京太郎「気のせいですよ、気のせいです。わーはっちゃんラブリー!」 初美「えへへ、それほどでもないですよー。でも褒められると悪い気はしませんねー」 京太郎(この人チョロいなぁ……)アセダラーリ 霞「……私よりも京くんははっちゃんを選ぶのね!」 京太郎「えっ」 霞「いいもん、いいもん。私には小蒔ちゃんがいるもん」 初美「あちゃー……」 京太郎「お、落ち着きましょう。はっちゃんも可愛いですけど霞さんも可愛いですよ?」 霞「嘘よ!最後にクエスチョンマークを入れたでしょう!やっぱり……やっぱりっ!」 霞「京くんは小さい女の子が好きなのよー!」ダダダダダダダッ 京太郎「」 初美「」 京初(何なんだろう、この展開は) 京太郎「と、とりあえず、えーっと」 初美「初美です。薄墨初美、十七歳ですっ」キラッ 京太郎「おいおい」 初美「むーっ!信じていませんね、これは教育が必要ですよー」 京太郎「だって、ねぇ……」 初美「そこまで言うなら証明してみせましょう!勝負です、勝負ですよー!」 京太郎「勝負ですか……どんなジャンルで戦うんですか?」 初美「ちょうどいいタイミングで今はお昼!ここは料理対決なのですよー」 京太郎「突然ですね……まあいいですけどお題はどうします?」 初美「お題はですねー……」 初美「チキン南蛮タルタルソースがけですよー!」 京太郎「まあ、作ったことはありますし打倒じゃないんですかね……審査員的な人はだれを選ぶんですか?」 初美「それはですねー……」 初美「審査員はこの人達ですよー!」 衣「きょーたろー!会いたかったぞーー!!」 ハギヨシ「お久しぶりです、須賀君。元気でしたか」 春「…………何で私が」ポリポリ 京太郎「うわっ!またどうして、衣さん達がここにいるんですか?」 ハギヨシ「それはですね、言ってしまえばちょっとした神頼みをしにこの神代家にお邪魔していたんですよ。 この土地は神聖な空気で包まれていますから、これから先の行く末が光ある様にということです」 京太郎「そうなんですか。いや、こんな辺境で友人に会えるなんて嬉しいですよ」 ハギヨシ「私もです。須賀君は私の初めての友人なので感慨深いです」 衣「むーっ!衣を無視するなーっ!」 京太郎「はいはい、衣さん、おとなしくしていたらあめ玉あげるんで黙っていてくださいねー」 衣「うむ、分かった!きょーたろーは優しいな!」 京太郎(天江衣……咲と同じくらい才能がある奴……ハギヨシさんが言うにはガキの頃から幽閉されて自由もなかったって聞かされた。 才能が、人生を変えたんだ) 衣「む?どうした?ふふん、衣の偉大さに怖気づいたか?」 京太郎(まだ、俺は咲達以外にも憎しみを放つくらい強く意志が凝り固まっていない。 というよりも、ハギヨシさんが世話を焼いているっていうのもあると思うけど) 衣「その、何というかだな……そんなに見つめられると照れるというか……」 京太郎(俺がこの先、更なる力を得たとしよう。さっきの声を取り込んだら……きっと衣さんのことも憎むかもしれない) 衣「そうか、きょーたろーはそんなにも衣のことが好きだというのか?でもだぞ!そういうのはちゃんとした過程を踏んでからなんだぞ!」 京太郎(うーん、というか衣さんを見ているとどうも憎いとか泣かすとかいう気分がなくなっていくんだよなぁ……。 衣さん、俺にすごく懐いているし) 衣「で、でも!きょーたろーがどうしてもって言うなら……ほんっっっっっっとうにどうしてもだぞ! それだったら、衣は……」 京太郎(そもそも、どうして俺に懐いたんだろう?ハギヨシさんと友達になって色々と料理を教えてもらう過程で衣さんとも話したからかな? 手料理も振舞ったしナデナデもしたし) 衣「衣は……きょーたろーだったら、いいぞ?」 京太郎「はいはい、衣さんはいい子ですねー」 衣「ふぇっ!?もう、衣を子供扱いするなーーーーーっ!」 京太郎「まあまあ。衣さんの頭は撫でてて気持ちいいですから」ニッコリ 衣「むぅ……それだったら仕方ない。特別に衣の頭をなでることを許可してやるっ!」ドドーン 京太郎(うん、グチグチ考えるのはやめよう。というか衣さんとハギヨシさんはいいとして、もう一人は……) 春「……」ポリポリ 京太郎(我関せずだよ、この人っ!) 春「……何?」 京太郎「い、いや。美味しそうなもの食べてるなーって」 春「美味しそう?」ガバッ 京太郎「いや、あんまり見たこと無いものだから珍しくて……」 春「そう……なら、食べてみて」ヒョイッ 京太郎「うわっ!」 春「どう?美味しい?」 京太郎「……美味しい。食べやすいのに風味があっていいな、これ」 春「それが自慢……」ニコッ 初美「はるるが笑ってる……この男、まさか審査員をたらしこむことで私に勝とうというのですかー!」 春「黒糖好きに悪い人はいない」 京太郎「そこまで断言されるとこっちも困るんだけどな……」 春「大丈夫、私が保証する。黒糖は悪い人を見極めるから」 京太郎(ちょっとこの子は頭がオカシイな) 春「そういえばまだ自己紹介をしていなかった。私、滝見春。貴方と同じ、高校1年生。」 京太郎「あ、これはご丁寧に。須賀京太郎です、俺も高校1年生です。今日から使用人としてお世話になります」 春「うん、わかった。困ったことがあったら聞くといい}ドヤッ 京太郎(無駄にドヤ顔をする必要はあったのだろうか)アセダラーリ 春「む。何か変なことを考えてない?」 京太郎「いやいや。滝見はかわいいなーって考えただけだから」 春「本当のことを言っても私の目はごまかせない」ズズイッ 京太郎(案外図々しいな、この子っ!) 春「まあいい。須賀、期待しているぞ。私の舌を満足させる料理をしっかり作るんだぞ」 京太郎「言われなくてもそのつもりです。まあ、やれるだけやってみますよ」 初美「むむむっ。はるるまで手懐けるとは……須賀京太郎っ!恐ろしい子!」 衣「むーーーーーーっ!だから衣を無視するなーっ!きょーたろーっ!」 京太郎「ああ、ごめんなさい。はい、特別に飴玉二つあげますからもう少し待っていてくださいね」 衣「うむっ、大義なり!早く済ませて衣のタルタルを作るんだぞっ!」 京太郎「はいはい。もう少ししたら作り始めるんで」グルリッ 京太郎「さてと、薄墨さんでしたよね?料理対決、始めましょうか」ニッコリ 初美「やっと、私の方に目が向きましたかー!いいでしょう、その余裕……粉々に打ち砕いてくれましょう!」 京太郎「で、料理対決についてなんですがどのように進めるんですか」 初美「そんなの簡単です。審査員に十点満点で点数をつけてもらって総合点数が多い方が勝ちなのですよー」 京太郎「わかりました。では、始めましょうか!」 初美「ふふん、私の料理スピリッツに跪くがいいですよー!」 衣「どうでもいいから早く食べさせろー!」 ハギヨシ「衣様。もう少しお待ちいただければ出来上がるのでどうか大人しくお座りください」 春(正直、どうでもいい……)ポリポリ 京太郎「さて、作るとしますか!」 初美「負けないですよー!」 京太郎「できたっ!」 初美「完璧ですよー!」 初美「ふふーん!思い知ったですかー!」 京太郎「なん…だと…」 京太郎陣営。 衣 1点 ハギヨシ 3点 はるる 10点 初美陣営 衣 9点 ハギヨシ 9点 はるる 8点 京太郎総合点数――14点 初美総合点数――26点 京太郎「……っ!なぜだ……俺は今回はパーフェクトに作ったはず……!」 衣「きょーたろーっ!料理ができるのを待っている間にこいつから聞いたぞっ! お前はまた性懲りもなく女の子を言葉巧みに自分の領域へと落としたそうだなっ!」 京太郎「……えっ?そんなことをした覚えはないんですけど」 衣「見知らぬ女に自分の服を貸してアイスまで食べさせあったらしいじゃないか! 衣だってまだやってもらってないのにっ!衣は怒ったそっ!」 京太郎「いや、別に衣さんには関係ないと思いますが……というか何喋ってるんですか、滝見さんっ!」 春「ちょっとした情報の共有。この世界じゃよくあること」 京太郎「ありませんよ!衣さんが変な誤解をしているじゃないですか! というか神代さんも何おかしなことを喋ってたんですかぁ!」」 衣「衣が誤解しているだとーっ!それは認めんぞ!」 京太郎(うわああああああああああああ!また、ややこしいパターンに入ってしまった……!) 衣「というかだな。飽きたらず、半裸の巫女と抱き合ったり、お姉さん系の巫女と手を繋いでイチャイチャしたり……! 衣というものがありながらそのふらふらした態度は何だ!」 春「見ていておもしろかった。黒糖の肴になった」 京太郎「もうやめてください、滝見さーーーーーーんっっっ!」 ハギヨシ「……すいません、須賀君。料理自体は大変美味しかったのですが衣様が低い点数をつけろと申しまして…… 私としても逆らえませんでした」 春「ちなみに、私は満点。とても美味しかった」 京太郎「……満点は嬉しいですけど勝てなきゃ意味がないですよ」 春「そんなことない。少なくとも、私の好感度はグーンと上がった。おめでとう」 京太郎「それは嬉しいですけど今の状況では焼け石に水ですよ!」 春「私の好感度は焼け石をも冷やす」 京太郎「自分で言うのもどうかと思いますよ……」 春「これでも、私の好感度は上げるのには大変。それはもう、鹿児島から北海道まで自転車で旅をするくらいに」 京太郎「どんだけ上がりにくいんですか、滝見さんの好感度っ!」 春「まあ落ち着いて。これからは私のご飯を作ればこの先の未来は安泰」 京太郎「滝見さんの未来がですけどねぇ!」 春「こんな可愛い女の子の面倒をずっと見れるってとても幸せ」 京太郎「どこまでが冗談でどこからが本気かがわからない……!」 春「須賀、現実をきちんと見る。そして、これからは私のご飯を作る」 京太郎「なんでさっ!」 春「そこの金髪ロリよりは私の方が胸もあるし成長もする。これはお得」 京太郎「そもそも、俺はロリコンじゃないですよ!?」 春「ぱんぱかぱーん。須賀京太郎は滝見京太郎に進化した」 京太郎「いつの間にかに結婚!?」 春「これは冗談。というか須賀と結婚したら闇討ちされそう」 京太郎「それはないっすよ。俺を本気で好きな人なんている訳ないですって」 春「……ニブチン。これは姫様と霞が報われない」ボソッ 京太郎「何か言いました?」 春「いいや。とりあえず、一つだけ言わせて。須賀の認識は間違っている。少なくとも、私は須賀を好意的に見ているよ」 京太郎「またまたー、それも冗談なんですよね」 春「だったら、確かめてみる?」 京太郎「えっ?」 春「というのは少し冗談。だけど、須賀は自分を低く見過ぎ。須賀をきちんと見てくれている人はいるよ。 例えば、そこの金髪ロリとか」 衣「さっきから黙って聞いていれば!きょーたろーは衣のだぞ!」 春「ほらこの通り」 京太郎「この通りの意味がよくわかりませんが……一応肝に銘じときます」 春「その方がいい。そう言えばすっかり忘れていたけれど」 初美「うがーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!私をむしするなーーーーですよーーーーーーーーーー!」 京太郎「……そういえばいましたね」 春「残念なことに。お邪魔ロリ虫が一匹」 初美「お邪魔ロリ虫とはなんですか!そこの子も同じようなものでしょう!」 衣「衣を一緒にするなっ!衣はまだ成長するぞ!」 京太郎(どっちもどっちだろってのは言ってはいけないんだろうなあ……) 初美「と・も・か・く!勝負は私の勝ちですよー!」 京太郎「まあ、それは仕方ないですね……負けは負けです」 春「実質負けていたようなものだけどね」ボソッ 初美「はるるは後で教育ですよー。ということで須賀君は午後は私がみっちり教育するのですよー!」 京太郎「別にいいですけど、霞さんとかほったらかしでいいんですか?」 初美「ほっときましょう。時間が経てばひょっこり現れますよー」 初美「ということで午後の行動を決めるのですよー!何か意見はありますかー」 京太郎「俺は……」 京太郎「ということでここでお別れですね、衣さん」 衣「仕方ないな……いつまでもこの家にとどまる訳にもいかんしな。 だけど、この近くにトーカの別荘があって衣はいつもそこにいるから会いたくなったらまた会えるぞ」 京太郎「へぇ……ちょっとした旅行みたいなものでこっちには来てるんですか?」 衣「そうだ!だから、きょーたろーっ!寂しくなったらいつでも来てもいいんだからな!」 京太郎「……その心配は無さそうですけどね」チラッ 初美「なんですかー!ハッ、まさか……私に惚れちゃったりしたのですかー!?」 京太郎「それはないです。地球が滅びてもありえません」 初美「そこまで、ひどく言うこと無いじゃないですかー!」プンスカ 京太郎(こんな騒がしいちびっ子が一人いるんだからなぁ……) 衣「ともかくだ、衣に会いたかったら遊びに来いってことだっ!」 ハギヨシ「須賀君、少しお時間はよろしいでしょうか」 京太郎「はい、大丈夫ですけど、何かありましたか?」 ハギヨシ「率直に申し上げますと、清澄の皆様がここを嗅ぎつける可能性があります」 京太郎「……!」 ハギヨシ「須賀君が鹿児島にいるという事実は今知っているのは貴方の両親と私、衣様以外はいません。 今日ここでお会いしたのも偶然でしたので」 京太郎「そう、ですか」 ハギヨシ「衣様には私から須賀君が鹿児島にいることを黙っておくようにとは伝えておきますが……」 京太郎「いつバレるか、わからない。そういうことですよね」 ハギヨシ「はい、衣様がつい口を滑らせて透華様方に喋る可能性もなきにしもあらずです」 京太郎「アイツらが来ることだけは……駄目です。染谷先輩ならまだ大丈夫です。 後の四人が来たら、俺は、俺を抑えきる自信がないんすよ……」 京太郎「壊して、犯して、潰して、最後には消して……悪くないのに、アイツらは悪くないのに」」 ハギヨシ「須賀君……」 京太郎「ごめんなさい、こういうことを吐けるのがハギヨシさんしかいないんです……。 情けないですよね、俺は。アイツらを憎みきれない、まだやり直せるかもしれないなんて思ってるんですから」 ハギヨシ「それが普通だと思いますよ。私とて貴方の立場に立てばどうなるかは予想がつきません。 ただ、これだけは覚えておいてください」 ハギヨシ「私は、他の誰が貴方を恨んでも、見捨てても。私は“絶対”に見捨てません」 ハギヨシ「初めてできた友達を見捨てる屑にはなりたくないのですよ、須賀君。だから、貴方はどんな時でも一人ではありません」 京太郎「……嬉しいな、やっぱ、ハギヨシさんが友達でいてくれてよかった。貴方の言葉で……俺は、まだ境界線を踏み越えないでいられる。」 ハギヨシ「私は正しく強くなろうとすることには意味があるって信じています。そうすることが強さだって昔、貴方は私にいいましたね」 京太郎「そうでしたね。だけど……」 京太郎「無理でした」 ハギヨシ「須賀君……?」 京太郎「正しく強くなろうとしている“俺”はもういないんです。 もうどこにもいないんですよ――ハギヨシさん」 ハギヨシ「いますよ、まだ貴方はここにいる」 京太郎「努力をしても、経験を積んでも……勝てないのなら――――」 京太郎「――――無理矢理“奇跡”を奪い取るしかないんですよ。どんな手を使ってでも」 ハギヨシ「それでも私は願い続けます。須賀君が本来持っていたはずの日常が戻ることを」 京太郎「俺の日常はもう粉々に壊れているのにですか?」 ハギヨシ「ええ、この体がある限りは私はそのように動きますよ」 京太郎「……」 ハギヨシ「なに、その過程で突然不幸な事故にあって“いなくなった”としてもすぐに代わりの執事がやってきますよ」 京太郎「ハギヨシさんこそ人のこと言えないじゃないですか。自分のことが勘定に入っていませんよ?」 ハギヨシ「時間が止まればいいとさえ思ったあのひだまりが私にはとても眩しくて大切だったものですから。 その大切なものを取り戻す為に、躊躇いなんてありません」 京太郎「そうは言いますけどね、俺はこうも思うんです。そんな簡単に戻ってくるものに価値なんてあるのかって」 京太郎「俺はアイツらとの関係を壊しました。修復するにはすごく時間がかかると思います。 その修復した結果が前と同じになるとは俺には思えません」 ハギヨシ「……そうですね。ですが、それでも抗ってみるのも一興ってことですよ」 京太郎「祈れば叶う、泣けば奇跡が舞い降りるなんて物語の中だけです」 ハギヨシ「いいじゃないですか、ご都合主義。誰だって、好きなように生きてみたいって思ってますよ?」 京太郎「だったら、何で……俺には力がなかったんですか……力さえあれば、アイツらを見返せたのにっ!」 京太郎「女の影でコソコソ雑用するのが嫌で、俺は前に出て……最終的には全部壊しちまった俺にはもう、祈る気も起きませんよ」 ハギヨシ「……だけど祈らずに入られませんよ、苦しんでいる貴方を見ている私からすると」
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http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343192994/ 1 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga] 投稿日:2012/07/25(水) 14 09 54.60 ID /MZc/WK90 昨日VIPに立てたスレ 京太郎「岩手に引っ越すことになった」 咲「」 のリテイク版です。 (http //hayabusa.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1343112345/919) 夜にスレ立てするといいましたが、今日帰れるのが0時回りそうなので出先から立てました。 スレを見返すとかなりミスがあったので、好感度、能力引継ぎで1からやっていきたいと思います。 VIPでお付き合いいただいた方がいらっしゃったら申し訳ありません。 ・このスレは咲-saki-の空気雑用こと須賀京太郎を主人公にした安価SSスレです。 ・行動の成否判定はコンマで行います。 ・ぶっちゃけこの板の某スレに影響を受けまくってます。イッチ怒らないよな… ・主要なパラメーターに「好感度」と「麻雀力」があります。一定値を超えるとイベント発生。 ・またパラメーターはコンマの補正にも影響します。 SSWiki http //ss.vip2ch.com/jmp/1343192994 2 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga] 投稿日:2012/07/25(水) 14 18 41.59 ID /MZc/WK90 ・重要なことを忘れてました。スレタイにあるように、舞台は岩手の宮守高校麻雀部です。このスレでは共学。 ・主人公である須賀京太郎は、一日2回安価で行動することができます。 ・安価は基本自由ですが、あまりに無茶であったりする場合は下の安価を採用します。 ・基本行動として全体特訓と個別特訓が存在します。 ・前者は成功すると麻雀部員全員の麻雀力がアップ、後者は選択したキャラクターの好感度がアップし、さらに成功で京太郎と選んだキャラクターの麻雀力がアップします。 ・自由安価は内容次第で5段階の難易度に振り分けられます。 難易度 激高 (大失敗:00-19 失敗:20-79 成功:80-99) 難易度 高い (大失敗:00-09 失敗:10-49 成功:50-89 大成功:90-99) 難易度 普通 (失敗:00-29 成功:30-79 大成功:80-99) 難易度 低い (失敗:00-19 成功:20-79 大成功:80-99) 難易度 極低 (失敗:00-09 成功:10-79 成功:80-99) ・これに好感度や麻雀力の補正を加えてコンマ判定です。 4 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga] 投稿日:2012/07/25(水) 14 23 10.67 ID /MZc/WK90 ・ちなみに基本行動である「特訓」の難易度は「低い」、麻雀力によりプラス補正があります。 ・好感度、麻雀力はマスクデータです。 ・VIPの結果を受けて、現在好感度トップは同点で姉帯さんとエイスリンさん。しかし全員接戦だったりします。 ・試合方法についても考えていますが、試合は相当先なのでその時に解説します。 5 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga] 投稿日:2012/07/25(水) 14 25 23.22 ID /MZc/WK90 では、次レスからプロローグです。どうぞよろしくお願いします。 6 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga] 投稿日:2012/07/25(水) 14 31 08.52 ID /MZc/WK90 -プロローグ- 京太郎「………」 京太郎「咲、実は俺…岩手に引っ越すことになったんだ」 朝からどこか寂しげだった京ちゃんが切り出したのは、二人きりの帰り道の途中だった。 いつものつまらない冗談だったらどれほど良かっただろう。でも長い付き合いだ。目の前の京ちゃんが、嘘や冗談を言っていないことはすぐに分かった。 咲「冗談じゃ…ないんだよね」 咲「て、引越しって…いつ?すぐってわけじゃないんでしょ?」 おそるおそる尋ねる。別れが避けられないならば、せめて少しでも思い出を作りたいというささやかな願いは、しかし 京太郎「それが…今週末にはもう出発らしいんだ」 すぐに打ち砕かれてしまう。 咲「今週末!?急すぎるよ!だって今日ってもう金曜日じゃない…っ!」 京太郎「俺だって昨日親から話を聞かされたばかりで、まだ心の整理とか出来てないんだよ…」 思わず声を荒げてしまった私に、京ちゃんは力なく笑いかける。 咲「…麻雀部のみんなには言ってないの?」 京太郎「別れがつらくなりそうでな…。言いそびれちまった」 京太郎「でも、咲には、咲だけには伝えとかないとって」 …こんな時なのに特別扱いが嬉しくなる自分の厭らしさが大嫌いだ。 7 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga] 投稿日:2012/07/25(水) 14 32 33.79 ID /MZc/WK90 咲「嫌だよ…。京ちゃんがいなくなるなんて嫌…」 咲「げ、下宿とか出来ないの?なんだったらうちに空いてる部屋があるから…」 京太郎「…ごめんな、咲」 京太郎「…ごめん」 私の言葉を遮るように謝る京ちゃんを見て、目の前が暗くなるような感覚を覚える ああ、京ちゃん、ホントにいなくなっちゃうんだ。 咲「…私を見捨てて行っちゃうんだ」 自分の口から出た言葉に驚く。一番つらいのは京ちゃんに決まってるのに。けれど止まらない。 咲「私、京ちゃんが転校なんて絶対認めないからっ!」タッタッタ 京太郎「咲!」 最悪なことを言っている自覚はある。京ちゃんの顔がまともに見られない。 立ち尽くす京ちゃんを置き去りにして、私は走り去った。 京太郎「………」 京太郎「まぁ、笑顔で送り出してもらえるとは思ってなかったけどな…」 京太郎「あと咲、そっちは帰り道じゃないぞ…」 京太郎「岩手に引っ越すことになった」 開幕 8 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区)[saga] 投稿日:2012/07/25(水) 14 40 26.90 ID /MZc/WK90 結構苦労した割りに2レスで終わってしまうプロローグ 京太郎が最初に出会うキャラクターを安価で決定しておきたいと思います 95 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 00 05 25.44 ID x4wc1wTlo 京太郎の転校先は、この春共学化したばかりの宮守高校であった。 友人や先輩との別れ、特に幼馴染との喧嘩別れにも似た離別にしばらくヘコんでいた京太郎だったが、元来切り替えの早い男である。 いつまでも腐っていても仕方ないと、部活を始めることにする。 幸い宮守にも麻雀部が存在したので、早速入部を決めたのだった。 麻雀部部室前 コンコン 京太郎「すみません、入部希望の者ですけれども、どなたかいらっしゃいますか?」 ???「はーい」ガチャ 京太郎を迎え入れたのは、身長2メートルはあろうかという長身の女性であった。 京太郎(でかっ!) 京太郎(でも綺麗な人だなあ) 96 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 00 07 22.79 ID x4wc1wTlo しばらく前スレと似たような展開が続くかもしれんがご容赦を 姉帯「この時期に入部って珍しいかもー」 姉帯「…ってうわぁ、金髪のヤンキーさんだー!?」 姉帯「どーしよー!?」アセアセ 京太郎(や、ヤンキーさん!?) 京太郎「えーと、長野から転校してきました、1年の須賀京太郎です」 京太郎「前の高校で麻雀部に所属していたので、こちらでも是非麻雀部に入りたいと思い伺いました」 京太郎「初心者ですがどうぞよろしくお願いします!」 姉帯「あ、あれー、ヤンキーさんなのに礼儀正しいかもー?」 京太郎「いや、俺はヤンキーじゃないんですが…」 姉帯「そ、そうなのー?よかったよー」 姉帯「金髪の男の子なんてテレビに出てきたヤンキーさんしか知らなかったんだー。ごめんねー?」 京太郎「いえ、全然気にしてないですよ」ハハ 姉帯「あはは、ありがとー。3年の姉帯豊音です。よろしくねー」 103 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 00 10 38.17 ID x4wc1wTlo 姉帯「はい、お茶だよー」 京太郎「ありがとうございます」ゴク 京太郎(あ、美味しい) 京太郎「他に何人くらい部員の方はいらっしゃるんですか?」 姉帯「んー、シロでしょー、エイスリンさんでしょー、くるみでしょー、それに塞で4人かなー」 京太郎「へぇ、姉帯先輩も入れて丁度5人なんですね。IHの団体戦出るんですか?」 京太郎(清澄と人数は同じか…。みんな元気かなぁ) 姉帯「もちろんだよー。…でも、5人じゃないかもー」 京太郎「え?」 姉帯「だって、須賀君も私達の仲間になってくれるんでしょー?だから6人だよねー」 姉帯「後輩ができてちょーうれしーよー!」エヘヘ 京太郎(………仲間、か) 京太郎「超嬉しいのは俺の方ですよ、姉帯先輩!」 姉帯豊音と出会った! 豊音の好感度が上がった! 姉帯豊音 初期麻雀力A+ スキル【先負】 108 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 00 14 09.42 ID x4wc1wTlo スキルは一人一つという設定。前スレではランクはまだ上昇してないです タッタッタ 京太郎(お、足音) 姉帯「丁度みんな来たみたいだねー」 ガチャ 塞「ごめんね豊音、遅くなっちゃって」 胡桃「ただいまー!」 塞、胡桃「って誰っ!?」 シロ「エイスリンが男になった…?」 エイスリン「チガウ!」フルフル 京太郎(麻雀部って可愛い女の子が集まるものなのか…?) 117 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 00 23 56.30 ID x4wc1wTlo 京太郎「入部希望の1年、須賀京太郎です。よろしくお願いします!」 塞「麻雀部3年、臼沢塞です。歓迎するよ、よろしくね」ニコ 胡桃「3年の鹿倉胡桃です!よろしく!」 エイスリン「Aislinn Wishart、ヨロシクデス」ペコ 胡桃「こらシロ!自分には関係ないって顔でダラけない!」 シロ(ダルい…) シロ「小瀬川白望…」 京太郎(こ、個性的な人が多いんだな) 126 名前: 123 自己紹介くらいはね[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 00 31 13.09 ID x4wc1wTlo 塞「さて、じゃあ新入部員くんのお手並み拝見と行こうかな?」 京太郎「お手柔らかにお願いします…」ハハ 胡桃「よーし、負けないからね!」 豊音「よろしくだよー」 京太郎(しかし鹿倉先輩と姉帯先輩が並ぶとどっちかが見切れるな…) 京太郎「よろしくお願いします!」 結果判定 128 難易度:高 大失敗:00-06 失敗:07-46 成功:47-86 大成功:87-99 142 名前: 133 他のメンバーの麻雀力も伸びてるからね[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 00 37 12.20 ID x4wc1wTlo 判定結果→失敗 京太郎「全然ダメだった…」ハコワレ 姉帯「あはは、ごめんねー?」 塞「まぁ先輩としては負けるわけには行かないしね」 胡桃「ドンマイ!」 京太郎(しかしいきなり牌に触らせて貰えたのは嬉しいな) 京太郎(よし、これから頑張るぞ!) 麻雀力変動なし 以降コンマはこんな感じでやっていきます ちなみに大会の対局はもうちょっと複雑になる予定です 146 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 00 42 11.01 ID x4wc1wTlo エイスリン「……」カキカキ チアリーダーの絵 京太郎(スケッチブック?しかし上手い絵だなぁ) 京太郎「これは…元気出して!ってことですか?」 エイスリン「……」コクコク 京太郎「ありがとうございます、でも俺落ち込んでないですよ」 京太郎「むしろやる気で満ちあふれてます!」 シロ(やる気…ダルい…) 153 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 00 50 22.92 ID x4wc1wTlo 塞「さて、IHまであと2週間だし、今日も麻雀の特訓頑張って行こうか!」 塞「私たちは団体戦に出るけど、須賀君は個人戦にエントリーするのかな?」 塞「エントリーはまだ間に合うはずだけれど」 京太郎(IHか…。正直考えてなかったけど、出てみようかな?) 京太郎「はい、出場します!」 胡桃「おお、良い返事だね!」 胡桃「じゃあ手続きは先輩に任せなさい!」ドン シロ(ふたりともはじめて後輩が出来て生き生きしてるなぁ…) 158 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 00 56 55.24 ID x4wc1wTlo という訳で序章終了です。ここからは一日2回の行動安価がメインになります。 ・大会日程は地区予選(3試合、試合毎に一日休養日あり)→自由行動一週間→決勝トーナメント となります 地区予選開始まであと14日 京太郎「さて、IHまであと2週間だ」 京太郎「午前は何をしようかな?」 160 164 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 00 58 53.29 ID x4wc1wTlo 姉帯さんと散歩 難易度 極低 (失敗:00-05 成功:06-75 成功:76-99) 166 177 名前:失敗は普通に断られるだけのつもりでした[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 01 02 58.96 ID x4wc1wTlo 判定→成功 京太郎「姉帯先輩、お願いがあるんですけど」 姉帯「んー?何かなー?」 京太郎「実は引っ越してきたばかりで、この辺りに何があるのかさっぱり分からないんですよ」 京太郎「もし良かったら案内していただけませんか?」 姉帯「もちろん良いよー。じゃ、行こっかー」 182 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 01 18 15.09 ID x4wc1wTlo ……… 姉帯「案内って言っても、この辺りあんまり案内する場所がないんだよねー」 姉帯「あ、ここが学校から一番近いコンビニだよー」 姉帯「それでここが本屋さんだねー」 京太郎(姉帯先輩って面倒見がいいなぁ) 京太郎(しかし夏なのにその格好、暑くないんだろうか) ……… 姉帯「こんなところかなー?」 姉帯「じゃあ最後に公園に寄ってこっかー」 京太郎「公園があるんですか?良いですね」 姉帯「まぁ公園まで行かなくても自然はいっぱいあるんだけどねー」アハハ 公園、ベンチ 京太郎「今日はありがとうございました!」 姉帯「全然いいよー。私も須賀君とお散歩できて楽しかったしー」 姉帯「いいリフレッシュになったよー。こっちこそありがとうねー」ニコッ 京太郎(見た目は綺麗系だけど、なんか可愛い人だなぁ…) 豊音の好感度がグーンと上がった! 京太郎「さて、午後は何をしよう?」 185 195 名前:一応強くてニューゲームやから麻雀力にまだ余裕はあるで[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 01 21 01.81 ID x4wc1wTlo 胡桃ちゃんと喫茶店でお茶 難易度 低い (失敗:00-17 成功:19-77 大成功:78-99) 196 206 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 01 26 08.99 ID x4wc1wTlo 判定→成功 胡桃「さて、今日の練習も終わったし」 胡桃「須賀君、先輩が冷たい飲み物でもおごってあげよう!」 塞(普段子供扱いされてる分、後輩が出来て嬉しいんだろうなぁ) 胡桃「じゃあ行こ!」タッタッタ 京太郎「あ、待って下さい先輩!」 210 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 01 36 58.23 ID x4wc1wTlo 胡桃(勢いで須賀君を喫茶店に連れてきたのはいいんだけど) 胡桃(これって、他の人から見たらデートになっちゃうんじゃ!?) 京太郎「あのー、鹿倉先輩?」 胡桃「な、何かな須賀君?」 京太郎「いえ、注文決まったんですけど、先輩は決まりましたか?」 胡桃「う、うん、決まったよ!須賀くんは遠慮せず何でも頼んで良いからね!」 京太郎(?なんか先輩動揺してるなあ) 京太郎「すみませーん」 ウェイトレス「はーい」 胡桃「アイスミルクティー1つ!」 京太郎「あ、同じものもうひとつお願いします」 ウェイトレス「かしこまりましたー。ガムシロップはお付けしますか?」 京太郎、胡桃「お願いします!」 京太郎、胡桃(タイミング被った!) ウェイトレス「はーい、ただいまお持ちしますねー」 ウェイトレス(仲の良い兄妹だなー)クス 219 名前: 213 たまに脳内妹と行ってた[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 01 43 53.80 ID x4wc1wTlo 胡桃「もっと高いもの頼んでも良かったんだよ?ジャイアントパフェとか」 京太郎「いえ、ミルクティー好きなんですよ。先輩もお好きなんですか?」 胡桃「うん、まぁねっ!」 京太郎「はは、俺たち気が合うのかもしれないですねー」 胡桃「っ!」 胡桃(どうしてそういうことさらっと言えちゃうかなっ!) 胡桃の好感度がグーンと上がった! 226 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 01 47 42.77 ID x4wc1wTlo 1日目終わり 正直地方大会でも麻雀力上がるし(予定だけど)ちょくちょく麻雀特訓挟んでけば詰みはないと思うよ 2日目に行く? 228 231 名前: 230 俺が寝る[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 01 50 23.32 ID x4wc1wTlo 地区予選開始まであと13日 京太郎「昨日は先輩達と随分仲良くなれた気がするな」 京太郎「よし、今日は麻雀の方も頑張っていこうかな?」 京太郎「さて、何をしようかな」 234 別に麻雀じゃなくてもええよー 239 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 01 53 47.43 ID x4wc1wTlo 宮守メンバーと麻雀しつつお喋り、余ったシロは京太郎の膝の上で充電という名のだらだら 特訓+αのため難易度 普通 (失敗:00-24 成功:25-74 大成功:75-99) 241 245 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 02 00 13.34 ID x4wc1wTlo 判定→成功 塞「今日も特訓がんばろう!」 エイスリン「オー!」 姉帯「でも6人だと二人抜けになっちゃうねー」 シロ「ダルいから抜け番やる…」 胡桃「じゃあ私も最初は観戦してるよ!」 京太郎(しまった、先輩達に気を使わせちゃったかな…) 京太郎「あー、まずは俺、小瀬川先輩の打ち筋見学したいなーなんて…」 248 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 02 10 25.16 ID x4wc1wTlo ……… 京太郎「で、どうしてこうなるんですか!?」 シロ「イスに座ってるのもダルいから…、ずり落ちないようにちゃんと支えてて…?」 シロ「それに、そこなら見学もしやすいでしょ…?」 京太郎(こんな状況で卓に集中出来るわけないでしょーが!) 京太郎(柔らかいしいい匂いもするし…) 胡桃(あまりの出来事に注意出来なかった!) エイスリン「……」/// 姉帯「うわー!抱きしめられてるよー!」/// 塞「ちょ、ちょっとシロ!須賀君!部室でそういうのははダメでしょー!?」 254 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 02 17 25.28 ID x4wc1wTlo シロ(ふーん…) シロ(意外と座り心地良いかも…?) …… 京太郎「結局我に返った鹿倉先輩に無理やり引き離されてしまった」 京太郎「ちょっと残念かも…っていかんいかん」 京太郎「しかし、なんだかんだで小瀬川先輩の打ち筋を見るのはは勉強になったな!」 全体麻雀力が上がった! シロの好感度が上がった! 午後は何をする? 257 260 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 02 19 33.07 ID x4wc1wTlo 姉帯さんと特訓 難易度低 (失敗:00-14 成功:15-74 大成功:75-99) 263 278 名前:姉帯さん特訓全部失敗しとる[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 02 25 33.82 ID x4wc1wTlo 判定→失敗 京太郎「姉帯先輩!特訓に付き合ってもらえませんか?」 姉帯「ふふふー、私の特訓は厳しいよー?」 京太郎「望むところです!」 ……… 京太郎「やっぱり牌を指で削って白にするなんて無茶ですよ…」 姉帯「力加減が難しいよねー。私も良く失敗して牌を割っちゃうんだー」 京太郎(そういう問題じゃない!) 豊音好感度アップ! 麻雀力変動なし 291 名前:失敗イベントは適当に作ってるだけなんや、すまんな[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 02 37 41.06 ID x4wc1wTlo 好感度一定値到達イベント 姉帯「うーん…」 京太郎「姉帯先輩?どうかしたんですか?」 姉帯「いやー、やっぱりその「姉帯先輩」っていう呼び方は余所余所しいと思うんだよー」 京太郎「そ、そうですかね?」 姉帯「絶対そーだよー。だから、これから私のことは豊音先輩って呼ぶようにー」 京太郎「え?いや、先輩のことそんな呼び方出来ませんって…」 京太郎(恥ずかしいし…) 姉帯「え、嫌なのー?せ、先輩命令だよー?」グス 京太郎「!?」 京太郎「いえいえ、全然嫌じゃないです!了解です!と、豊音先輩!」 京太郎(あんな目で見られて断れるわけないよな) 姉帯「うん、よろしい!」パァァ 307 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 02 43 05.26 ID x4wc1wTlo という訳で前スレでやらかした最大のミスが、気づけば京太郎が姉帯さんを名前呼びしてたってミスでした。 ちょっとリカバーする方法が思いつかなかった。 好感度ランクが上がると、メンバーの京太郎に対する態度が変わったりします。 一段階目は「ちょっと意識し始めた」って感じです。 じゃあキリもいいし、今日はここまでにします。お付き合いいただきありがとうございました。 明日はもうちょい早い時間から始められると思います 353 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 21 29 41.95 ID x4wc1wTlo へ、ヘビーだぜ… 今のうちに昨日書き忘れてた部員のステータス書いておこう 小瀬川白望 麻雀力A スキル 【マヨヒガ】 エイスリン・ウィッシュアート(Aislinn Wishart) 麻雀力B スキル 【理想の牌譜】 鹿倉胡桃 麻雀力C+ スキル 【カクラサマ】 臼沢塞 麻雀力B+ スキル 【塞の神】 姉帯豊音 麻雀力A+ スキル 【先負】 須賀京太郎 麻雀力C- スキル 【なし】 エイスリン、胡桃、京太郎の麻雀力は初期からランクアップしています 365 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 22 05 24.17 ID x4wc1wTlo よし、安価頼りのノープランだけど始めるやで 京太郎「昨日は姉帯…じゃない、豊音先輩と随分仲良くなれた気がするな」 京太郎「あの人、見た目は格好いい系なのに、表情豊かで涙腺弱いよな…」 京太郎「まぁ、そのギャップが可愛いんだけどな!」 京太郎「さて、今日は何をしようか?」 368 371 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 22 07 35.54 ID x4wc1wTlo 忘れてた、地区予選開始まであと12日 胡桃と特訓するぞ×3 難易度 低い (失敗:00-16 成功:17-76 大成功:77-99) 373 384 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 22 18 52.76 ID x4wc1wTlo 判定結果→成功 京太郎「鹿倉先輩、指導お願いできませんか?」 胡桃「私?いいよ、まかせてっ!」 京太郎「ありがとうございます!」 ……… 京太郎「鹿倉先輩、一昨日は奢っていただいてありがとうございました」 京太郎「お礼と言っちゃなんですけど、ミルクティー作るんで飲みませんか?」 京太郎「家から茶葉持ってきたんですけど…」 胡桃「はー、本当に須賀くんは見た目に反して真面目だね!」 京太郎「ハハハ…」(見た目に反して!?) 胡桃「うん、後輩の心遣いは受け取らないとね!先輩としてっ!」 京太郎(やけに「先輩」を強調するなぁ) 386 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 22 25 40.89 ID x4wc1wTlo 胡桃「須賀君、これ美味しいよ!」 胡桃「お店で出せるレベルかも!」 京太郎「ありがとうございます」ハハ 京太郎「転校前、師匠に美味しい入れ方を教わったんですよね」 ……… 胡桃「じゃ、美味しいお茶で一息ついたし、特訓がんばろう!」 京太郎「はい!」 胡桃の好感度が上がった! 京太郎の麻雀力が上がった! 胡桃の麻雀力が上がった! 午後は何をする? 388 392 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 22 27 39.21 ID x4wc1wTlo 塞と特訓 難易度 低い (失敗:00-17 成功:18-77 大成功:78-99) 394 398 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 22 36 35.21 ID x4wc1wTlo 判定→成功 京太郎「臼沢先輩、特訓よろしくお願いします!」 塞「まーかせて!」 ……… 塞「よし、今日はこんなものかな」 塞「お疲れ様、須賀君!」 京太郎「お疲れ様です、先輩。ありがとうございました!」 京太郎「それにしても臼沢先輩の指導、すごくわかりやすいです」 塞「あはは、ありがと」 塞「豊音とか感覚派だから、人に教えるのはちょっと苦手かもねー」クスクス 京太郎(それ以前の問題だったような…) 塞「それに私は、トシ先生の一番弟子だからね!自称だけど」 京太郎「トシ先生…ですか?」 塞「うん、この部の顧問の先生。すごく麻雀の強い素敵な人だよ」 塞「今は出張中なんだけどね」 京太郎「へぇ、早く会ってみたいなぁ」 ……… 塞の好感度が上がった! 京太郎の麻雀力が上がった! 塞の麻雀力が上がった! 400 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 22 41 59.04 ID x4wc1wTlo 397 もうちょっと好感度が上がったら頑張るわ…(震え声) 3日目終了。どんどんいくやでー ……… 地区予選開始まであと11日 京太郎「昨日は先輩たちとの個人レッスン中心に頑張ったな」 京太郎「日々、着実にレベルアップしてるのを感じる」 京太郎「このペースなら個人戦も結構いいとこまで行けるかもしれないな!」 京太郎「さて、今日は何をしようかな?」 403 414 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 22 45 04.46 ID x4wc1wTlo エイちゃんと特訓 難易度 低い (失敗:00-16 成功:17-76 大成功:77-99) 417 初エイスリンちゃん! 安価もうちょっと遠目に出そうかな。どの程度がいいのかさっぱりわかんない 437 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 22 52 42.27 ID x4wc1wTlo 判定→大成功 どうせ成功だと思ってコミュ作ってたからちょっと時間かかるかも。元々遅いけど あと最初の方で「スケッチブック」って書いちゃったけど、よく考えたら持ってるのボードだった。エイスリンファンの皆さん申し訳ない 10巻のスタッフ紹介でエイスリンちゃんが一人で泣ける 439 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 23 07 44.74 ID x4wc1wTlo 京太郎(今日はエイスリン先輩が指導してくれる事になった) 京太郎(若干言葉は通じにくいけど、難しいところを絵で解説してくれるのはありがたいな) エイスリン「……」カキカキ 一生懸命説明中 京太郎「なるほど、そうなってるんですね!」 京太郎(うん、よく理解できるな) ……… エイスリン「……」カキカキ まだまだ一生懸命説明中 京太郎(それにしても…「可憐」って言葉が似合う先輩だなぁ)ジーッ エイスリン「スガクン?」 京太郎(金髪に青い目で、絵本に出てくる妖精みたいだ…)ジーッ エイスリン「スガクン?ドウシタノ?」アセアセ 京太郎「へ?」 エイスリン「ドコカ ワカラナカッタ?」 京太郎「あ、いや、その、なんか一生懸命な先輩に見とれちゃってました」 京太郎(しまった、つい本音が!) エイスリン「~~~ッ!」/// 京太郎(顔をボードで隠して横を向いてしまった…) 京太郎(しかし耳まで真っ赤だぞ) エイスリン「スガクンノ バカ!」 京太郎「す、すみません!」 エイスリンの好感度がグーンと上がった! 京太郎の麻雀力が上がった! エイスリンの麻雀力が上がった! 446 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 23 12 00.13 ID x4wc1wTlo エイスリンのカタコト具合はこんなもんでいいですか?違和感があったら言ってください 京太郎「なんとか機嫌を直してもらえて良かった…」 京太郎「不用意な発言には気をつけないとな」 京太郎「さて、午後は何をしようかな?」 453 ちょっと試験的に遠目に出してみます 458 名前:安価真面目すぎてワロタ たまには遊んでもええんやで[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 23 14 36.80 ID x4wc1wTlo このくらいの距離でも結構すぐ届くもんですね、把握です 塞の麻雀レッスンを受ける 難易度 低い (失敗:00-16 成功:17-76 大成功:77-99) 460 470 名前:結構遠目にだしたつもりだったんだけどな…すまんな[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 23 29 14.43 ID x4wc1wTlo 判定→成功 京太郎「今日もご指導よろしくお願いします、臼沢先輩!」 塞「おお、やる気だねー」 塞「じゃ、さっそく始めようか!」 ……… 京太郎「そういえば昨日顧問の先生の話を伺いましたけど」 塞「へ?うん、トシ先生がどうかした?」 京太郎「はい、臼沢先輩がすごく嬉しそうに先生の話をなさるんで、良かったらもっと先生の話を聞いてみたいなーって」 塞「ほう、君もトシ先生のことが気になるかー」 塞「でも、先生の一番弟子の座は譲らないよー?」フフ 京太郎「ハハハ、じゃあ六番弟子で我慢しますよ」 塞「うむ、よろしい!」 京太郎(本当にトシ先生のことが大好きなんだろうなぁ) 塞の好感度が上がった! 京太郎の麻雀力が上がった! 塞の麻雀力が上がった! 479 名前:トシさんは残り一週間になると強制イベントで登場するやでー[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 23 34 58.41 ID x4wc1wTlo という訳で4日目終了。サッカーにやきうスレ、魅力的な脇道はいっぱいあるけど頑張る 地区予選開始まであと10日 京太郎「いやー、麻雀って本当に楽しいよなぁ」 京太郎「一生麻雀だけやって生きていけたらいいのにって 1も言ってた」 京太郎「さて、今日は何をしようかな!」 490 さらに思い切って遠くへ サッカー勢には申し訳ないことをしてるなぁ 500 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 23 37 40.89 ID x4wc1wTlo シロと特訓して添い寝 特訓+αのため難易度普通 (失敗:00-25 成功:26-75 大成功:76-99) 503 515 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/26(木) 23 39 54.10 ID x4wc1wTlo 判定→大成功 今日はコンマ強いな… ぶっちゃけ好感度もランクアップなので、ちょっと長めに時間くださいな 556 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 00 18 26.37 ID dsKkmcJio 突然だが、小瀬川白望は自他共に認める究極のめんどくさがり屋だ。 正直に言って、人に物を教えるには全く向いていないと自負しているし、周りにもそう思われている。 であるから、人に教えを請われた経験など、片手で数えられるほどしかない。 須賀京太郎が笑顔で指導を求めてきた時、彼女が最初に抱いた感想はお察しの通り(ダルい…)であった。 しかし同時に、いつもこんな態度の彼女に指導を求める変わり者の後輩に多少の興味を覚える。 一体何故彼は自分に物を教わりたいと思ったのだろう?馬鹿なのだろうか? 「どうして私…?」 その疑問を端的にぶつける。その答えは 「俺、小瀬川先輩に憧れてるんですよ!」 という驚くべきものだった。 彼は続ける。 「そりゃ小瀬川先輩はいつもやる気無いように見えるし、実際やる気はないんですけど」 …余計なお世話である。 「いざ対局ってなるときっちり他家の動向を把握して動くし、勝負所では前に出て決めるべきところは決める」 「俺の理想の麻雀を打ってるんですよね」 564 名前:すまんなID変わっとった ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 00 30 25.76 ID dsKkmcJio 彼女にとって、人に憧れられるというのは初めての感覚だった。 「そう…」 目をそらす。何故か彼の顔が直視出来ない。 「わかった…。付き合う…」 後輩が目に見えて嬉しそうな顔をする。わかりやすい。まるで犬だ。 「ありがとうございます、小瀬川先輩!」 やはりこの呼ばれ方はむず痒い。 「苗字で呼ばれるのにはあまり慣れてない」 「今度から「シロ先輩」って呼んで…」 567 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 00 34 16.78 ID dsKkmcJio ランクアップイベントも兼ねとるからな。次から元に戻す これからも色んな文体試してみると思うけど、見捨てないでおくれー 後は添い寝かくやでー 578 名前: 569 むしろ存在して欲しいわ ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 00 50 12.61 ID dsKkmcJio 京太郎(相変わらずダルそうだけど、なんだかんだでキッチリ面倒見てくれたなー) 京太郎「あの、し、シロ先輩、ありがとうございました!」 シロ「うん…」 シロ「あ、ごめ、もう限界…」フラッ 京太郎「シロ先輩危ない!」 倒れかける白望を支えようとした京太郎だったが、二人して倒れこんでしまう。 幸い、京太郎がクッションになるのが間に合い、白望がケガをすることは無かったのだが、 シロ「………」zzz 京太郎「一瞬で眠った…だと…」 慣れない指導で疲れたのだろう。白望が倒れこんだまま寝息を立て始める。 京太郎(あれ…絡まって動けないぞこれ…) 京太郎(なんか胸とか当たってるし!) 強引に引き剥がすのもためらわれ、結局白望が目を覚ますまでの30分間、京太郎は悶々とし続けるのであった 584 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 00 52 59.23 ID dsKkmcJio 書き忘れてた シロの好感度がぐぐーんと上がった! 京太郎の麻雀力が上がった! シロの麻雀力が上がった! シロの好感度ランクが上がった! ひー疲れた 595 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 00 56 31.11 ID dsKkmcJio ま、麻雀には弾道関係ないから…(震え声) そしてコンティニュー安価に参加しそこねてかなC 京太郎「2日分くらいのボリューム(謎)があった気がするけど、まだ午前が終わっただけか」 京太郎「午後は何をしようかな!」 605 622 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 01 00 54.90 ID dsKkmcJio 皆でプールに行こう(提案) 全員の好感度上昇が見込めるイベントなので 難易度 高い (大失敗:00 失敗:01-40 成功:41-80 大成功:81-99) このイベント時間かけて書き直したかったからちょっと嬉C まぁコンマ次第やけどね(ニッコリ 626 648 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 01 03 16.33 ID dsKkmcJio 判定→大成功 なんだお前ら(驚愕) 多分これも相当難産になるので今日はここまで! 明日の夜までに投下して、夜からまた始めることにするやでー 670 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 01 10 26.18 ID dsKkmcJio あ、相変わらず改善点とか募集してるやでー 「このキャラに違和感がある」とかあったら遠慮なく言ってくだされ しかし最近ずっと宮守視点で咲読むから清澄の事をちょっと憎らしく感じるな。とくにSOAさん 673 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 01 11 47.83 ID dsKkmcJio コンマっていうのは書き込み時間の下二桁のことですよー 686 名前: ◆tMjVpq8OrD3i[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 09 32 20.42 ID dsKkmcJio 昨日3時間でワイがヘロヘロになってる間、あのスレのイッチが何時間やってたか知っとるか? 13時間や… じゃあ難易度はこのままで。というかこのイベント難易度の補正間違ってた。 正確には難易度 高い (大失敗:00-04 失敗:05-44 成功:45-84 大成功:85-99) どのみち大成功だったけどね 682 個人的にまこは嫌いじゃないんだけど、次鋒戦だけキンクリは酷すぎたと思うんや 逆にまこにもっと人気があればなぁ…と思ってる プール編ぼちぼち書いてく 688 名前: ◆tMjVpq8OrD3i[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 09 39 47.96 ID dsKkmcJio 5日目、午後 部室 姉帯「うぅ、暑いよー。溶けちゃうかもー…」 塞「溶ける!?」 塞「それはそんな格好してるからじゃないかなぁ…」 京太郎(何故か豊音先輩の制服だけ長袖だもんな) 京太郎「いや、でも、今日は本当に暑いですよ」 京太郎「テレビでも今日は真夏日だって言ってましたし」 シロ「暑い…」 エイスリン「……」コクコク 胡桃(うーん…。シロはいつも通りだとしても、みんなちょっと参ってるかも) 胡桃(しょうがないなぁ……) 胡桃「よし、午後はプールに行こうっ!」 胡桃「ここ最近練習漬けだったし、たまには息抜きも必要だよ!」 塞「プールかぁ…。うん、この暑さだと能率も下がるし良いかもね」 姉帯「うわー、みんなでプール!ちょー楽しそうだよー!」パァ エイスリン「プール イキタイ!」キラキラ シロ「じゃあお疲れ様…」 京太郎(ナチュラルに帰ろうとしていらっしゃる!?) 胡桃「こらそこ!逃げない!」 シロ(ダルい…) 姉帯「須賀君も来るんだよねー?」 京太郎「はい、行きます!」 (そらそうよ) 京太郎「豊音先輩の水着も楽しみですしね!」 姉帯「!?」 姉帯「アハハ…。ちょっと恥ずかしーかもー」テレテレ シロ(ふーん……) 692 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 09 58 49.61 ID dsKkmcJio 塞「ほほう?須賀君は豊音の水着がお目当なわけだ?」ウリウリ 京太郎「豊音先輩だけじゃないですよ」 京太郎「臼沢先輩の水着だってそりゃ楽しみにしてますとも!」 塞「うぇっ!?」 京太郎「先輩方みんなお綺麗ですもん、そりゃ楽しみにもなりますって」ハハ 京太郎(まぁ鹿倉先輩は綺麗ってより可愛いって感じだけど) 塞「も、もう!」 塞「あんまり先輩をからかっちゃだめなんだからね!」 京太郎(嘘はついてないんだがなぁ) ……… 塞「じゃあ、一旦解散!準備して1時に宮守駅に集合ね!」 773 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 22 23 17.46 ID dsKkmcJio 京太郎「女の子ってこんなに着替えに時間が掛かるもんなのか」 須賀京太郎はひとりごちる。 彼が(楽しみすぎて)早く出てきただけで、実際にはそれほど時間は経っていないのであるが。 塞「おっまたせー!」 京太郎「はーい」 すごい勢いで振り返ると、そこには水着に身を包んだ5人の姿が並んでいた 京太郎「こ、これは…」 京太郎「須賀京太郎、美味しすぎるぞ、おい!」 京太郎(豊音先輩は…黒のビキニだと…) 京太郎「なんていうか…大胆な水着ですね…」 京太郎(いかん、弾道が…) 姉帯「う、うん…」 姉帯「ホントはもっと可愛い水着がいいんだけどねー。合うサイズがないんだよー」シュン 京太郎(いきなり落ち込ませてしまった…) 京太郎「いやでも、ホント、モデルみたいで素敵ですよ、先輩!」アセアセ 姉帯「へ?モデルさん?」 姉帯「やだ、褒めすぎだよー須賀君。…でも、ありがとうねー?」アハハ 778 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 22 25 59.23 ID dsKkmcJio 京太郎(鹿倉先輩とシロ先輩はスク水か) 京太郎(鹿倉先輩は…豊音先輩とは別の意味でヤバイな) 京太郎(たまには年上ロリも良いよね!) 京太郎(そんでもってシロ先輩は意外と胸があるんだな…) 京太郎(まぁ隣の比較対象のおかげで引き立てられているのかもしれないが)←失礼 京太郎(うん、スク水巨乳ってちょっと背徳的でいいよな…)グヘヘ 胡桃「須賀君?なにか失礼なことを考えてないかなっ!」 シロ「目付きがいやらしい……」 京太郎「へ?」 京太郎「いえいえ、まさかそんな…」(鋭い人達だ…) 京太郎「お2人の水着姿に見惚れてただけですよ」キリッ 胡桃「!? そんな恥ずかしいこと言わないのっ!」 シロ「……」メヲソラス 789 名前: 786 申し訳ないがアラセブはNG[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 22 33 37.29 ID dsKkmcJio 京太郎(臼沢先輩とエイスリン先輩はワンピース型の水着だ) 京太郎「先輩の水着、ちょっとチャイナドレスっぽいですね」 塞「うん、可愛いでしょー。お気に入りなんだ、これ」 京太郎「はい、すごく可愛いです!」 京太郎「先輩スタイル良いし、本物のチャイナドレスも似合いそうだなー」 塞「もう、またそんなこと言って先輩をからかって…」ハァ 塞「ま、社交辞令だろうけど、ありがたく受け取っておこっかな!」 京太郎(本気だったんだけど…) 京太郎(そしてエイスリン先輩は純白のワンピース…) 京太郎(あ、だめだ、これは天使ですわ) エイスリン「スガクン イコ!」 京太郎「あ、はい。今行きます!」 京太郎(流石にプールにスケッチボードは持ち込めないよな) 京太郎「あ、先輩、その水着ちょーかわいいですよー」 エイスリン「トヨネノマネ?」クスクス エイスリン「アリガト!」 京太郎(ちょっと先輩顔赤いな) 京太郎(ああ、生きててよかった) さて、ここからどうする?(大成功に付き最安価) 801 ちょっと遠目に出して顔洗ってくる。すまんな 841 名前: 826 もう青ざめとる[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 22 49 01.97 ID dsKkmcJio 胡桃ちゃんと遊ぶ→自動成功 折角だしウォータースライダーにしとく 最悪1000だけ残してくれたら誘導出来るし、あんま気にせんでええで 京太郎「鹿倉先輩、ウォータースライダー行きませんか?」 胡桃「うん、それじゃ行こっか!」 ……… 京太郎「ここのウォータースライダー、ゴムボートで滑り降りるやつなんですね」 胡桃「け、結構スリルがありそうだねっ!」 胡桃(思ったより怖そうかもっ) 係員「ゴムボートには一人用と、カップル向けの二人用がありますけれども」 係員「いかがなさいますか?」 京太郎「か、カップル!?」 京太郎「い、いえ俺達は…」 胡桃「二人用でっ!」 京太郎「!?」 852 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 22 55 56.18 ID dsKkmcJio 胡桃「ごめんね、須賀君」 胡桃「ちょっと一人じゃ怖そうだったから…」 京太郎「いえ、全然構わないっていうかむしろ嬉しいんですけど」 京太郎「これ滑ってるうちに結構密着しそうですよ?」 胡桃「だ、大丈夫、私は気にしないよっ!」 京太郎(俺が気にするんですよ、弾道的な意味で!) 866 名前:水は止まらない[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 23 10 51.86 ID dsKkmcJio 京太郎(そんなこんなでスライダーの入り口までやってきたのだ) 京太郎(苦手なら無理しなくて良いと言ったのだが、聞き入れてもらえなかった) 京太郎(意地になっちゃってるな、先輩) 胡桃(滑り始める前からこんなにくっつくんだ…) 胡桃(これちょっとヤバイかもっ) 係員「じゃあスタートしてくださいー」 ……… スライダー内 京太郎「うおおおおっ!」 胡桃「きゃあああっ!」 胡桃「うひゃぁ!」 胡桃「どこ触ってるのかな、須賀君!」 京太郎「す、すみません!」 京太郎(どこ触ってしまったんだろう…) 京太郎(特に感触は無かったんだが…) ザパーン ……… 胡桃「須賀君…?」 京太郎「はい、なんでしょう先輩…」 胡桃「もうスライダーはやめとこうねっ…」 京太郎「はい、そうしましょう…」 874 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 23 17 06.10 ID dsKkmcJio 胡桃「あ、あと!」 胡桃「他のみんなにあんなことしたら絶対ダメなんだからねっ!」カオマッカ 京太郎「了解です!」(あ、あんなこと?) 京太郎(俺はどこに触ってしまったんだ…) その後俺と胡桃先輩は他の先輩の方々と合流して、ビーチバレーなどで楽しんだのだった。 シロ先輩はその間ずっと流れるプールで流されていた。 全員の好感度が上がった! さらに胡桃の好感度が上がった! 884 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 23 21 57.93 ID dsKkmcJio 5日目終わり! 突如一日が長くなったのはどうしてなんでなんだ シロはブレないところがいいんだと思ってます それだけにデレが想像しづらいんですが 894 名前:長野www[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 23 25 44.94 ID dsKkmcJio 地区予選開始まであと9日 京太郎「いやー、プール楽しかったー」 京太郎「鹿倉先輩がスライダー苦手だったとは。意外な一面を見てしまった気がする」 京太郎「さて、今日は何をしようかな?」 902 917 名前:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 23 27 51.64 ID dsKkmcJio エイスリンと練習 難易度 低い (失敗:00-14 成功:15-74 大成功:75-99) 919 933 名前:伸び早すぎィ!サッカーないからか[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 23 31 16.25 ID dsKkmcJio 判定→成功 エイスリンの好感度もランクアップですので、また少々お時間いただきます 強くてニューゲームは書く側にも負担がかかるから控えよう(至言) ついでに新スレも立てちゃいますねー 956 名前: ◆ttR5sQ5ZGLqG[saga] 投稿日:2012/07/27(金) 23 44 17.29 ID dsKkmcJio 立てたやでー 【咲SS】 京太郎「岩手に引っ越すことになった」 咲「その2!」 【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1343400155/ ちょっと寝起きで煮詰まっとるな、コーヒー飲んでくる
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【廊下】 京太郎「あっ」 初美「ひっ」 京太郎「その、おはようございます」 初美「……おはようですよー」 京太郎「……」 初美「……」 京太郎(気まずい……) 京太郎(昨日まではちゃんと喋れてたのに) 京太郎「……」 京太郎(何か喋れないと) 京太郎(でも、思いつかねぇーーー!) 京太郎(ああどうしようどうしよう!) 京太郎(前みたいな関係に戻るなんて無理だよなぁ……) 京太郎(うーん……) 京太郎「あのっ!」 初美「は、はい!」 京太郎「その、コレを見てください!」ババーン 初美「それは……」 タタタタッタタタタン 京太郎「タップダンスー!」 初美「…………」 京太郎「タップダンスーーーーー!」 タタタッタタンタタッタタタタン 初美「…………」 京太郎「………………」 京太郎(あれ、もしかして。やらかした?) 京太郎(この緊迫した空気を和ませる為にタップダンスをしたのに!?) 京太郎「……」 初美「……二度ネタはさすがにないと思いますよー」 京太郎「ダメでしたか?」 初美「ダメでしたねー」 初美「それに、すっごく下手くそですしねー」 京太郎「…………ううっ」 初美「でも、ちょっとすっきりしました」 京太郎「へ?」 初美「やっぱり、京太郎は京太郎なのですよー」 京太郎「それってどういう」 初美「ニブチン野郎だけど優しいってことですよー」クスクス 初美(まだ、吹っ切れそうにはないですねー、私) 【霞さんるーむ】 霞「それじゃあ」 「「「「「頂きます」」」」」 京太郎「さすが巴さん、料理もうまいっすね」 巴「ふふふ、もっと褒め称えてもいいんですよ?」 京太郎「それじゃあ、おかわりで」 巴「作った身としては嬉しいね」 霞「…………」 霞(最近、巴と京君が急接近してるわねぇ) 霞(なんというか……蚊帳の外にいる感じがするわ) 春「……」ングング 春「んまい」 霞(こっちはこっちでマイペースだし) 霞(はっちゃんはしょんぼりモードだし小蒔ちゃんは小蒔ちゃんだし) 霞(わかんないわ、もう) 京太郎「……美味しかった」 京太郎「さてと、どうすっかな」 京太郎「はっちゃんですよー!」 初美「……いきなりどうしたんですかー」 京太郎「何となくですが……言ってみたかったんです」 初美「何だか馬鹿にされてるような……」 京太郎「そんなことはございませんことよ」 初美「何ですか、その怪しい日本語!?」 京太郎「気のせいです」 初美「気のせいじゃないと思いますけど……」 京太郎「それよりも、仕事ですよ!」 初美「京太郎が変なことを言ったのが原因じゃないですかー……」 京太郎「細かいことは知ったことかあああああ!」 初美「何処の金剛番長ですかー!?」 京太郎「すごいですよね、気合だけで色々と乗り切っちゃうって」 初美「は、はぁ……」 京太郎「とりあえず、仕事しましょう」 初美「はいですよー」 キュッキュ ゴシックゴシック ピャーピャー 京太郎「……うーん、拭き掃除は奥が深い」 初美「そうですねー」 京太郎「……」 初美「…………」 京太郎(うーん、気まずい。ここは明るくなる話題を!) 京太郎「そういえば」 初美「はい?」 京太郎「その服装はなんとかならないんですか?」 初美「??」 京太郎「いや、そんなきょとんとしないでくださいよ」 初美「そう言われてもー」 京太郎「どう考えてもその服装はおかしいですよ!」 初美「えっ!?」 京太郎「驚くとこでもないですよ!!!」 初美「これでも普通だと思うんですけどー」 京太郎「その普通は普通じゃないです」 初美「むー!」 京太郎「目のやりどころに困るから勘弁して下さいよ……」 初美「きょ、京太郎のえっち」 京太郎「えっちじゃないです!とりあえず!ちゃんとした服装でいてください! そうしたら俺も困らずに済むんで!」 初美「えー……」 初美「…………」ピコーン 初美「ふっふっふっ」 京太郎「何ですか、その意地が悪い笑みは」 初美「つまり、京太郎は目のやりどころが困って、私に欲情してしまうんですねー」クスリ 京太郎「…………」 初美「ふふ、沈黙は肯定とみなしますよー」 京太郎(や、やばい……これは意地の悪い笑み!) 初美「つまり、この服装のままでいるといつかは……」 京太郎(げっすーーーーい!ド直球なアターック!!!??) 初美「京太郎、既成事実ですよー?いつでも来てもいいんですよー?」 京太郎「お、女の子がそんな言葉を使っちゃいけません!」 初美「京太郎、ロリータイエスタッチですよー!」 京太郎「タッチしませんよ!」 初美「枯れてますねー」 京太郎(ヤバい……告白を断ったのにまだ諦めてないぞ……!) 京太郎「うう、ロリコンだったら即死だった」 京太郎「落ち着け、俺。俺はロリよりも巨乳派なはずだ」 京太郎「くっそくっそ!!」 京太郎「……お腹減った」 京太郎「誰と食べよう……」 京太郎「つーか、都合よく会えるのかな」 京太郎「巴さ~ん!」 巴「……」ジトッ 京太郎「ちょ、どうしたんですか」 巴「どうしたも何もないです。そんな廊下で大きな声ださないでください」 京太郎「辛辣っ……京ちゃん、泣いちゃう!」 巴「無駄にテンションが高いですね……」 京太郎「低いよりは高い方がいいと思いまして」 巴「それはそうですけど……」 京太郎「まあ、ともかく!一緒にご飯食べませんか?」 巴「まあ、いいですけど」 京太郎「うっし!ぼっち飯は寂しかったんですよ!」 巴「何とも言えない哀愁が漂ってますね」 京太郎「ということで俺の部屋で食べましょう」 巴「まあ、いいけど」 京太郎「それじゃあ朝食の残りでも食べましょうか」 巴「妥当ですね。ちょうど残ってますし」 京太郎「巴さんは座って待っていてください。俺が運ぶんで」 トテトテトッテーン 京太郎「さてと、後は水を持っていくだ……けぇ!」グラッ 巴「ひゃあ、つめたっ!」 京太郎「うわあ!巴さんにかかってしまったー!」 巴「……ううっ、冷たい」 京太郎「だ、大丈夫ですか!!!!」ダッ 京太郎「巴さん、とりあえずタオルで……」 京太郎(こ、これは!?肌色のおもち!!) 京太郎(程よい大きさかつ柔らかさも感度もよさそうなおもち!!!) 京太郎(水に濡れて巫女服が肌に張り付いてるのがすばらららららっ!!!) 京太郎(やべぇ……やべぇよ!!!あ、あのピンク色の先端は!?) 京太郎「巴さん」 巴「……何かな?」ニッコリ 京太郎「いやあ、素晴らしい光景をげぶらっ!」 巴「あんまりじろじろと見るなっ!!」ポコポコ 京太郎「いた、痛いですっ!」 巴「もうっ……すっごく恥ずかしいんですからね」 京太郎(少し赤くなってる顔と濡れた服が破壊力がガガ!) 巴「とりあえず、着替えてきます」 京太郎「ええっ!?」 巴「ええ、じゃないですよ!その、視線が気になってご飯も食べられませんよ!」 京太郎「……」ガッカリ 巴「……えっち」 京太郎「光栄の極みです」キリッ 巴「褒めてないからね……」 巴「ということで着替えてきました」 京太郎「濡れたままだと風を引きますからね」 巴「ええ、そうね」 京太郎「ところで……」 京太郎「どうして、ウエディングドレスなんですか?」 巴「……ですよ」 京太郎「へ?」 巴「知らないですよ!部屋にある服がこれしかなかったんですよ!」 京太郎「そんなバカな……」 巴「本当ですよー」 京太郎「はっちゃんの真似をしてごまかすことはないと思うんですが」 巴「とにかく!これしかなかったんです!」 京太郎「いや、いいんすけどね、俺は……」 巴「そういうことです。ところで、ですね……その……」 巴「似合って、ますか?」 京太郎「……」 巴「その、どうかな?」 京太郎(可憐だ……声が出ない) 巴「や、やっぱり似合わないですよね。ええ、わかってますけど!」 巴「私は姫様みたいに純粋でありませんし!」 巴「はっちゃんみたいに小さく可愛らしくもないですから!」 巴「はるるみたいに、笑顔が綺麗でもないし、かすみんみたいに胸も大きくないし……」 京太郎「えっと、そのですね!」 巴「何……?」 京太郎「に、似合わないじゃなくて!逆っていうか!」 京太郎「似合いすぎて……言葉に出なかったんですよっ!!!」カオマッカー 京太郎「思わず……見惚れちゃって、ああ、もう!!!!恥ずかしいっ!」 巴「……ふふっ」 京太郎「笑わないでくださいよォ!」 巴「だってさ~、そんな風に言われたの……初めてで」 巴「嬉しかったりするんですよ?」 京太郎「巴さんは、綺麗なんですから自信持ってくださいよ」 巴「それは君が言える立場かな?」 京太郎「ぐぅ……」 巴「ごめんごめん。その、ね……」 京太郎「なんすか?からかうのはもうなしっすよ」 巴「違う違う。ふふ、やっぱいいです」 京太郎「??」 巴(できれば、タキシード着て欲しいなぁ、なんて言える訳ないじゃないですか、もう……) 京太郎「……すっげー恥ずかしかった」 京太郎「さてと、午後はどうすっかな」 京太郎「喰われる……踊り食い……うっ、頭が……」 京太郎(何か寒気がしたのは気のせいかな?) 京太郎「まあ、いいか。そういえば、過去の俺について話してなかったな……」 京太郎「今日の午後の仕事は小蒔さんの話し相手……買い物の手伝いだったっけ?」 京太郎「ま、いいか。さてと、小蒔さんは……」 小蒔「ここにいますよっ!」シュタッ 京太郎「うわあっ!?」 小蒔「午後はお買い物を手伝ってくれるとのことで楽しみにしてました」フンス 京太郎「そうですか、それは光栄です」 小蒔「あまり、嬉しそうじゃありません……」プックリ 京太郎「いや、そんなことないっすよ!ちょっとなんといいますか」 京太郎(言える訳ないだろ! 小蒔さんが笑いながら、俺に包丁を突き立てる姿。そんなクソッタレなものが突然浮かんだなんて) 小蒔「どうかしましたか?」 京太郎「……いや、なんでもないっすよ。とりあえず、買い物に行きましょうか」 小蒔「はいっ!」 京太郎「それで、まずはどこから行くんですか?」 小蒔「えっと、ですね……」 小蒔「デパートに行きます!」 京太郎「いえーーーい!」 小蒔「……突然どうしたんです?」 京太郎「いや、テンションあげとこうかなって」 京太郎(とりあえず、うん。小蒔さんと出かけるんだ。楽しくしたい) 京太郎(過去について話すと、どうしても湿っぽくなるからな) 小蒔「???」キョトン 京太郎「さてと、行きましょうか」 小蒔「はい!} 小蒔(そういえば、京太郎さんと二人っきりってすごく久しぶりな気がします……) 京太郎「こうやって二人で外に出るのって最初出会ったとき以来ですね」 小蒔「……覚えててくれたんですか?」 京太郎「そりゃ当たり前ですよ。こうして仲良くなる切っ掛けなんですから」 小蒔「ふふっ」 京太郎「何かおかしいことでもいいましたか?俺」 小蒔「いえ、違うんです。何だか嬉しくて」 小蒔「最近は京太郎さんとゆっくりお話なんてできてなかったので」 京太郎「確かに……」 小蒔「だから、嬉しいんですっ!」 小蒔「こうして、貴方と出会えたことに」 小蒔「一緒にお話ができることに」 京太郎「……はは、これはかなわねーな」ボソッ 小蒔「京太郎さんっ、行きましょう」 京太郎「はい、そうですね。ああ、それと……」 京太郎「この買物の最後に、大事なお話しても……いいですか?」 小蒔「どんと来いですっ!」 京太郎「はは……お手柔らかに頼みます」 小蒔「花屋ですっ!」 京太郎「花屋?」 小蒔「はい、ご先祖様に捧げるお花を買いに行くんです」 京太郎「そうなんですか、まあ付き合いますよ」 小蒔「それと……ご飯とか色々買わないといけないので」 京太郎「ああ、俺達のと小蒔さん一家のですね。それは確かに大変だ」 小蒔「男手が欲しかったんです。お父様はその……」 京太郎「あ、みなまで言わなくていいですよ」 小蒔「ありがとうございます……」 京太郎(また、メイド喫茶に行ってるのかなぁ……) 【花屋】 京太郎「で、花屋に来た訳ですが」 小蒔「あわわ、京太郎さんっ」 照「……へー」 京太郎「何がへーですか、照さん……」 照「須賀君もやることやってるんだなって」 京太郎「やってませんよっ!?」 小蒔「京太郎さん、やることってなんですか?」 京太郎「小蒔さんは知らないままでいいんですよ」ニッコリ 照「教えてあげればいいのに」 京太郎「照さんは黙っていてください」 照「それで、挙式はいつ?」 京太郎「ぶっ!」 小蒔「へ?きょ、挙式なんてそんな!まだ早すぎますよ!」 小蒔「もちろん京太郎さんは魅力的な男性でお慕いしています。 あの時もらった服は大切にしていますしっ。えへへ、京太郎さんの匂いがついてるんですよっ」 京太郎「いや、服は返しましょうよ」 小蒔「そんなっ!?」 京太郎「世界の終わりを待つ人みたいな顔しないでくださいよ!」 小蒔「だって……着ていると落ち着くんです」 京太郎「他の服があるでしょう、他のが」 小蒔「むー」 京太郎「そういう顔をしたってダメですよ」 照「ケチ。甲斐性なし」 京太郎「外野は黙っててくださいっ!」 照「というか、傍から見ると痴話喧嘩にしか見えないからやめたほうがいいよ?」 照「菫が見たらすごく怒りそう」 京太郎「何でそこで弘世さんが出てくるんですか」 照「彼氏いない=年齢」 京太郎「ああ……」 照「女の子にはモテるのにね」 京太郎「それはまたなんというか」 照「もし、須賀君が白糸台にいたら菫と付き合いそうだけどね。何だかんだ言って菫は世話焼きで。 須賀君はそんな菫をフォローできるし」 京太郎「本当にそうなるんですかねぇ……」 京太郎(何か、三角関係やら自殺やら痴情のもつれやら入水やら危ないキーワードしか思いつかないぞ) 照「須賀君なら他の子でも大丈夫」 京太郎「……不安しかないんですけど」 照「いけるよ、うん。なんなら白糸台に転入してきなよ」 照「私が麻雀教えるよ?」 京太郎「ノーセンキューです。照さん、感覚派ですし」 照「否定はしない」 照「でも、可愛い子はいっぱいいるよ?病弱な子やほわほわしてる子。 噂好きの子に無口な子、お茶を飲んだり高校百年生もいるよ」 京太郎「どこのサーカスですか。んな属性が多い学校なんですか?」 照「うん。私が一番まとも」 京太郎「それはないっすね。照さん、頭のネジが外れていますし」 照「……」 京太郎「いや、否定してくださいよ」 照「入水……暗闇が怖い……仕方なかった……」 京太郎「やめてくださいよ、もう!」 小蒔「そうですよ!京太郎さんは家で預かるんです!」 京太郎「いや、そういう訳にはいかないでしょう」 小蒔「ええっ!?」 京太郎「全く……はなしがまとまらないですよ」 照「うん、須賀君のせい」 京太郎「……もうそれでいいです」 小蒔「京太郎さん京太郎さん、どうして家ではダメなんですか!」 京太郎「はいはい、小蒔さんは後でゆっくり話しましょうね」 小蒔「約束ですよ、約束っ」 照「ふふっ、相変わらず女の子には弱いね」 京太郎「……性分なんで。それよりも、照さんはどうしてここに?」 照「ちょっとね。花を見ていたかった」 照「というのは建前でたまたま通りかかったら須賀君達を見つけたってだけ」 京太郎「さようですか」 照「お菓子を買いに合宿を抜けだしたついで」 京太郎「……弘世さんは苦労してそうだな」 照「そんなことない。私が逆にお世話してる」 京太郎「そうは思えないんですけど」 照「まあ、デートの邪魔したら悪いだろうから……私はお菓子探索に戻る」 小蒔「ででで、でー!」プシューッ 京太郎「落ち着いてください、ジョークですからジョーク」 照「須賀君ひどい。そうやって各校で女の子を弄んでるのはやめたほうがいい」 京太郎「んなことしてませんから!」 照「はいはい。それじゃ、私は行くから」 京太郎「さっさと行ってください……」 照「そういえば。さっき、咲を見たよ」 照「刃物店近くにいた。怖い」 京太郎「……できるだけ、早めに解決しましょう」 照「うん。それと」 京太郎「はい?」 照「大丈夫だとは思うけど。一人で解決しようなんて思わないで」 照「私にも関わりがあることだから。それだけ」 京太郎「はい……」 照「それじゃ。デート、楽しんでね」スタスタスタ 京太郎「ふぅ……なんか疲れましたね」 小蒔「ででで、でーでー!」 京太郎「小蒔さん、まだ直ってないんですか……」 小蒔「だって、デートだなんて!私、そういうの始めてでして……」 京太郎「いや、デートじゃないですから。俺、ただの荷物持ちですから」 小蒔「……そうなんですか?」 京太郎「そうなんです。それよりも、さっさと用事を済ませましょう」 小蒔「そうですね」 小蒔(ちょっと、残念な気もします……京太郎さんとデート……) 【公園】 京太郎「ふひー……炎天下の中歩くのは疲れますね」 小蒔「そうですね、それでしたら……あそこで休みませんか?」 京太郎「いいですよ。それに、思い出の場所でもありますし」 小蒔「ええ……懐かしいです」 京太郎「はぁ……椅子に座るってこんなにも気持ちがいいなんて」 小蒔「お疲れ様です。重たい荷物を持たせてしまってすいません」 京太郎「いやいや、これが俺の役割なんで」 小蒔「それでも、です。ありがとうございます」ペコリンッ 京太郎「こちらこそ、どうも」 小蒔「ふふ……」 京太郎「はは…………」 小蒔「…………」 京太郎「…………」 京太郎「小蒔さん」 京太郎「大切な話、してもいいですか」 小蒔「はい」 京太郎「ということです。まあ、自業自得もあるんですけどね」 小蒔「……」 京太郎「小蒔、さん?」 小蒔「……っ」グスグス 京太郎「え、ええっ!どうしたんですか!?」 小蒔「だって、だって……」 京太郎「小蒔さんが気に病むことじゃないですってば」 小蒔「それでも、こんなの悲しすぎます……」 京太郎「それしかなかったんですよ。当時の俺に残された道は」 京太郎「過去はもう戻せません。だから、俺は……」 小蒔「そんなことないです!戻せなくても、やり直すことなら出来ますっ」 小蒔「それに……京太郎さんがそんな顔をするのは、嫌です」 京太郎「それは……」 小蒔「でも、京太郎さんがその、ですね……帰りたくないのでしたら」 小蒔「永水に転校してくればいいんですっ」 京太郎「いや、永水って確か女子高だったはずじゃ」 小蒔「あ、そうでした……では近くの高校へと!」 京太郎「そうしたらずっとこの生活ですね」 小蒔「はい。夏は海に行ったりできますよっ」 京太郎「海ですか……」 京太郎(やばい、小蒔さん達の水着姿は反則だろ!) 小蒔「京太郎さん?」 京太郎「いえ、何でもないです。そうですね……もし、俺が望んだら」 京太郎「その時はよろしくおねがいしますね」 小蒔「もちろんですっ」 京太郎「それと、聞いてくれてありがとうございます」 小蒔「いえいえ。中で溜め込むよりは吐き出す方が京太郎さんも楽になりますよね」 京太郎「そう、ですね……」 小蒔「だから、安心して甘えてきてください。私は年上ですからっ」ドヤッ 京太郎「本当に困った時は、そうさせてもらいます」 京太郎「さてと、帰りますか」 小蒔「そうですね。遅くなると心配されちゃいます」 京太郎「霞さんにはもう怒られたくないです」 小蒔「霞ちゃんも京太郎さんのことを思って言ってるんですから」 京太郎「それがわかってるから反論できないんですよ……」 小蒔「でも、何だか楽しいです。京太郎さんがいて、霞ちゃん達がいて」 小蒔「皆で一緒、家族みたいで」 京太郎「小蒔さん……」 小蒔「だから、思うんです。ずっと、続けばいいのにって」 京太郎「俺も、そうなれたらなって想います」 京太郎「こんな楽しい日々、手放したくないですよ」 小蒔「私もです。京太郎さん、もしも長野に帰ったとしても」 小蒔「また、来てくださいね?」 京太郎「はい、必ず」 小蒔「じゃあ、ゆびきりげんまんです」 京太郎「……意外と子供っぽいですね」 小蒔「京太郎さん、怒りますよ?」 京太郎「すいません、それじゃあ……ゆびき」 約束は、果たされない。 「えっ……」 ドサッと、何かが倒れた。 何か?そんなのわかってるだろ須賀京太郎。 「小蒔、さん?」 あまりにも突然過ぎて頭が追いつかない。 畜生、ありえないって。さっきまで笑ってたんだぜ? 良子さん的に言うと、ノーウェイノーウェイだ。 「ちょ、小蒔さん?」 硬直してしまった俺はその場を動けない。 まるで、セメントで身体を固められたような、そんな硬さ。 「小蒔さんっ!」 信じられない。 眼の前にある光景が。 「小蒔さん!!!!」 小蒔さんが、倒れて。 動かない。 京太郎「小蒔さん!」 京太郎(突然、倒れるなんて聞いてないぞ!?) 京太郎(病気か、これは!それなら救急車!?) 京太郎「どうする、どうする!」 京太郎「そうだ、こういう時に頼りになる人は!」ピポパ 京太郎「出てくださいよ……頼みますから」プルッルルルル 巴「はいはい、狩宿です。いやまあ、誰かはわかってますけどね」 京太郎「そ、そんなことはともかくとして大変なんです!」 巴「ん?どうしたの?」 京太郎「小蒔さんが突然倒れました!!こ、これって!!」 巴「……息はちゃんとしてる?」 京太郎「へ?」 巴「まずそれを確認しなさい。私の見立てによれば多分――」 京太郎「息というか、寝息……?」 巴「ただ、寝てるだけかと」 京太郎「は、はああああああああああああああああ!!??」 巴「姫様は突然寝る子ですから」 京太郎「いやいやいやいや!そんなオカルトありえませんよ!」 巴「まあ、寝ながら麻雀打てますしね」 京太郎「んなあほな!?」 巴「ともかく、近くに横になれるとこはあります?」 京太郎「え、ええ。今は公園にいるんで」 巴「それじゃあ、そこでしばらく待機。姫様が起きたら事情を説明してあげてください」 京太郎「わ、わかりました」 巴「それじゃあ、頼みますよ。……えっちいことはダメですよ?」 京太郎「やりませんよ!」ピッ 京太郎「……とりあえず、運ぶか」 ~少年運び中~ 京太郎「ふう……背中のおもちは強敵でしたね」 京太郎(ヤバイヤバイヤバイ、何だあの柔らかさ) 京太郎(そら興奮するよ!俺の息子もギガドリルブレイクしちゃうよ!) 京太郎(ちょ、ちょっとだけなら、イタズラしても……) 京太郎「……うん、俺は俺は――!」 京太郎「おっと服がはだけそうじゃないかー直さないとー(棒)」 小蒔「……」 京太郎「たいへんだー、服はきっちりしないとなー」モニュモニュ 京太郎「いやー、これはれっきとした正しい行為だからなー」パスッ 京太郎「うん?服が逆にはだけちゃったぞー。これはなにかなーうわーおっぱいだー」 京太郎「…………えっ」 京太郎「…………………」モニュンモニュン 京太郎「生の感触ッ!!!」 京太郎「すげぇ……本物だ……!」 京太郎「俺は、俺は!」ツー 京太郎「涙が出るほどに、幸せだ」 京太郎「もう、ゴールしてもいいよな……」 京太郎「ゴールっ」 京太郎「俺の股間もゴールっ!!!!」 京太郎「OPPAIISGOD」モーニュモーニュ 京太郎「おっぱいは神、はっきりわかんだね」モニュットッモミュモミュ 京太郎「今なら鳥になって飛べる気がする」モミュリコミュルー 京太郎「くっそ、柔らかい……柔らかい……っ!」 京太郎「俺、生きててよかった」 京太郎「鹿児島に来て、本当によかった……!」 京太郎「ありがとう、鹿児島!フォーエバー鹿児島!」 京太郎「やべえ、手が止まらない!」 京太郎「俺、どうする!!」 京太郎「…………」モニュモニュ 京太郎「…………周りには誰もいない」モニュモニュ 京太郎「……よし」 京太郎「小蒔さんの近く、それも野外……!いける!」 ドピュルルルルルドビュウウウウウウウウウン 京太郎「ふぅ……」 京太郎「最低だ、俺……」 京太郎「でも、すっきりして頭が冴え渡る、こんな気持ちは初めて!」 京太郎「もう、何も怖くない!」 京太郎「俺には、オカズがあるから!」 京太郎「しばらくは生きていけるぜ!ヒュー!」 京太郎「世界は素晴らしい。儚くも綺麗な世界で、俺は生きている!」 京太郎「いやっほおおおおおおおおおおおおう!!!」 京太郎「もう一回……!もう一回……!」 京太郎「まだだ、最後まで……!枯れるまで……!」 京太郎(ああ、この触れたら壊れそうな繊細さ) 京太郎(幸せ、圧倒的幸せ……!) 京太郎(そう、これはマッサージ……!マッサージは合法……!) 京太郎(だから、大丈夫……!俺は正しい!) 京太郎「幸せってこんなにも近くにあったんだな」モニュモニュ 小蒔「……っぁ」 京太郎「二回戦も待ってるぜ!」 京太郎「股間のバスターキャノンが破裂しそうだ……!」 京太郎「迸れっ!この命尽きるまで~」モニュリコモニュリコ 小蒔「……ぅぁっ」 京太郎「おもちこねこねねー!おもちこねこねねー!いえええあああああああああああああっっ!」 小蒔「……ぁ、くすぐったいですよぉっ」メパチクリー 京太郎「あ」 小蒔「……ふぇ、え、えっ、えええっ!?」 京太郎「」 京太郎(ど、どうする!?) 京太郎(今の俺は、小蒔さんの生乳をジャストでモニュモニュしてるっ!) 小蒔「ひゃぁん!」 京太郎(ヤバいヤバい、小蒔父さんはいいんだ。あの人はノリなら仕方ないねってロリにタッチしてるから。 問題は霞さん達だ。これが霞さん達にバレると……!) 小蒔「ぁ、強すぎですっ」 京太郎(死んじゃーーーーーーーーう!!!グッバイゴールデンボオオオオル!!!!) 京太郎「心臓マッサージです(真顔)」 小蒔「ふぇ?」 京太郎「小蒔さん急に倒れたからビックリして、心臓マッサージしてたんです。 無事で良かった……」 京太郎「ああ、これはですね。人間にとってもっとも大切な心臓付近の血管をほぐす事で 体全体の血流を良くしその結果リラクシング効果を生み出す事によって より効果的な疲労回復効果を生み出すというマッサージです」 京太郎(勢いでごまかす!) 京太郎(小蒔さんなら騙せるかもしれない!) 小蒔「そうなんですかっ!」 京太郎「はいそうですよ」イケメンスマイル 小蒔「ごめんなさい、慌ててしまって……自分が恥ずかしいです」 京太郎(小蒔さんの純真さが、突き刺さる……ヤバい、これじゃあ俺が悪いみたいじゃないか!いや、悪いけど!) 小蒔「ありがとうございました、私突然睡魔が襲ってきて眠ってしまうことがありまして」 京太郎「ああ、だから起きなかったんですね」 小蒔「心配をかけて申し訳ありません」 京太郎「大丈夫ですよ、迷惑だなんて思ってないです」 京太郎(最高の宝物ももらったし) 小蒔「やっぱり京太郎さんは優しいです!」ニッコー 京太郎(……眩しすぎる。それに比べて俺は……でも仕方がないよな!) 小蒔「??そう言えば、何だかイカの匂いが……」 京太郎「さーー!帰りましょう!いやーお腹が減ったなー!」 京太郎「ふぅ……実に有意義な一日だった」 京太郎「今日の出来事を俺は一生忘れないだろう」 京太郎「ご飯まではまだ時間があるし、どうすっかな」 京太郎「あの感触が忘れられない……!」 京太郎「まだ夕食まで、時間はある」 京太郎「全ては時間との勝負、かといって速すぎてはいけない」 京太郎「明鏡止水の心で挑むのが礼儀」 京太郎「……はっ!」 京太郎「……はぁはぁ」 京太郎「いい調子だ……俺のベクターキャノンが……はぁはぁ」 京太郎「そろ、そろ……出るっ!」 京太郎「発射ーーーっ!」ドビュウウウウウウウウウン 小蒔「京太郎さ~ん、ご飯ができまし……た」 京太郎「」 京太郎(あ、これは死んだな) 小蒔「ふぇ?どうしたんですか、京太郎さん?」 京太郎(あ、あれ……反応が……) 小蒔「なんだかイカの匂いがプンプンします?イカ焼きでも食べたんですか?」 京太郎(オナニーを知らない……だと!?そんな純粋培養な女の子がまだこの世界にいるなんて!) 小蒔「匂いが染み付いたらいけないので窓を開けますね?」 京太郎(つまり、これは合法的な視姦をされてるようなもの……!) 京太郎(ひゅーっ!興奮してきたぜーーーーー!) 小蒔「これで匂いが出ていきましたねっ!」 京太郎(その笑顔がご褒美です、小蒔さんっ!) 小蒔「そういえば、京太郎さん」 小蒔「お風呂にも入っていないのに下半身を脱いで何をやってるんです?」キョトン 京太郎(ヤバい……ヤバい) 小蒔「わわっ!大きくなっていきますっ!」 京太郎(こんな反応されたら興奮するにきまってるだろおおおおおおっ!!!) 京太郎(可愛すぎるだろ、おいっ!これで手を出さないとか俺無理!?) 小蒔「ふんふむ、ぴーんって立ってますよ!」 京太郎(お、お、落ち着け!!!) 京太郎(落ち着いて精子を数えるんだ、俺……!) 小蒔「あ、ごめんなさい。じろじろと見ちゃいまして……」 京太郎「」 小蒔「すごいです、まだ大きくなるんですか!?」 京太郎(助けて、マジでこのままだと出ちゃうよ!?) 小蒔「京太郎さん、これっ触ってもいいですかっ!」 京太郎(あ、今日俺死ぬかもしれない) 京太郎(冷静になろう) 京太郎(もし、ここで小蒔さんに変なことをしてみたらどうなる?) 京太郎(小蒔父さんはノリで許してくれそうだけど……ロリタッチだし) 京太郎(霞さん達に知られたら、死ぬだろ!!) 京太郎(俺はまだ、死にたくない!!) 京太郎「あ、すいません。今日はちょっと……」 小蒔「ダメなんですか……」シュン 京太郎(落ち込まないでくださいよーーー!!!俺が悪いみたいじゃないですかー!!!) 京太郎「また機会があったらということでお願いします」 小蒔「約束ですよ、京太郎さん」ニコッ 京太郎「はい……」 京太郎(ああ、痛い……純粋な視線が痛い……!早くしまっておとなしくさせよう) 小蒔「あっ……いなくなっちゃいました……」 京太郎「う、うおおおおおおおおおっっ!」 小蒔「どうしたんですか、京太郎さん!?」 京太郎「お、おっ、俺!ちょっとトイレいってきます!!小蒔さんは先にご飯でもどうぞ!!」 小蒔「でも、霞ちゃん達が」 京太郎「何とかなりますって!あ、それと今のことは俺と小蒔さんだけの秘密ですよ!」 京太郎(バラされたら、俺が死ぬ!) 小蒔「は、はい。えへへ、二人だけの約束っていい響きですね」ニマー 京太郎「そうですね!それじゃあ急いでるんで!」 小蒔「あ、京太郎さん……!」 京太郎(小蒔さん、恐ろしい子……!股間に優しくないよ、もう!!) 京太郎「ごはんですよ!」 小蒔「ごはんです!」 京小「「いえええええい!」」 初美「テンションが高いんですよー」 京太郎「お腹が減っているんで」 霞「あらあら。それじゃあたくさん食べないとね」 京太郎「ええ、そうさせて頂きます」 春「速く座る……ご飯、食べたい」 巴「まあ、空いてる所にちゃっちゃっと座ってください。今日は姫様もいるんで少し狭いですが」 京太郎「それじゃあ失礼します」 小蒔「じゃあ、私も!」 霞「皆揃った所で」 「「「「「「いただきます!」」」」」」」 京太郎「ウマウマ。やっぱり他人に作ってもらう飯は美味いなあ」 小蒔「京太郎さん、自分で作るの得意じゃないんですか?」 京太郎「いや、そういうわけじゃないけどさ。やっぱ、他人に作ってもらった方が楽だし」 小蒔「ふんふむ……」ピコーン 京太郎「?どうかしました?」 小蒔「京太郎さん、はい。あーんしてください」 京太郎「えっ?」 小蒔「今、言ったことを踏まえるとこういう食事についても食べさせてもらった方がいいんですよね?」 京太郎「いや、そういう訳じゃ」 小蒔「違うんですか?」ウルッ 京太郎(ヤバい、何だか断れない空気に!というか他の四人の目が怖いっ!) 小蒔「はい、あーんしてください」 京太郎「わ、わかりました……」 小蒔「あーん」 京太郎「……お、おいしいです」 小蒔「えへへ……こうしてるとまるで家族みたいですね!」 京太郎「え、ええ……」 京太郎(冷や汗が止まらないんですけどおおおおお!でもすっげー幸せなんだよなあああ!) 小蒔「??もっとしてほしいんですか?」 京太郎「はいお願いします!」 小蒔「それじゃあ、あーん」 京太郎「おいしい……一粒で二度美味しい……!」 京太郎(……うぐぐ、視線が怖い) 小蒔「??」 京太郎(ああ、小蒔さんは癒しだなあ。やっぱり、さっきのは手伝ってもらった方が……) ゴールデンボールブレイクー 京太郎(……ふぅ。やっぱり良くないよな!) 京太郎「ああ、小蒔さん。もう大丈夫ですよ」 小蒔「そうですか?」 京太郎「その気持ちだけで十分ですよ」 小蒔「わかりました。もし、私のお力が必要ならいつでも言ってくださいね」 京太郎「はい!早速ですがよろしいですか!」 小蒔「どんと来てください」 京太郎「この何とも言えない空気をどうにかしてくれませんか?」 小蒔「ふぇ?」 ゴゴゴゴゴ 霞「ふ、ふふっ……まさか、目の前でいちゃつかれるとは思わなかったわ……」 初美「そんなにおもちがいいんですかー!!!?」 春「……最近出番がない」 巴「とりあえず、落ち着きましょうよ……まあ、きょーちんはちょっと考えようね、色々と」 京太郎「いや違うんですって。小蒔さんが可愛すぎるからいけないんですよ」 小蒔「えっ?そ、そんな……」テレテレ 楽しい食事でした。 京太郎「夜……眠らずにはいられないね!」 京太郎「うーん、どうしようかな……もう少し起きてようかな」 京太郎「小蒔さんを思い出して……エロい妄想で抜くのはアリだし」 京太郎「ぐぬぬ……」 京太郎「……今なら誰も入ってこないはず」 京太郎「さーてと、今日のおかずはどうしよう~」イソイソ 京太郎「こんな時の為に小蒔父さんかもらったエロ本がある!」 京太郎「少女多重奏※に決まりだ!小学生は最高だぜ!」 京太郎「……俺、ロリは範囲外なんだよなぁ」 京太郎「普通に妄想で抜くか」 ※おすすめのエロ本です。ロリは最高だぜ! 可愛らしい絵が素敵です、いえーい! 京太郎「うーはっ!全てを解き放つ――っ!」ドビュルルルルル 京太郎「すっきりした……心が晴れやかだ」 京太郎(何か、悪意的なものも一緒に出ていった気がするぞ!) 京太郎(それにしても、今日は通算三回もしてるんだなあ) 京太郎(若さだなあ。オナニーでこれだったら本番なんてやると……昇天するんじゃねえの、俺?) 京太郎(まあ、俺に彼女なんて出来るわけ無いんだけどなー)アハハ 京太郎(明日の朝でも皆の前で彼女欲しいーって言ってみるか?虚しいだけか) 京太郎(あー、彼女欲しいなぁ……) 【朝・自室】 京太郎「……なんもかんも政治が悪い」 京太郎「だから、こんなに眠いんだ」 京太郎「二度寝、最高です!} 京太郎「……ぐぅ」 ??「……」ガラッ 初美「……」キョロキョロ 初美「誰も、いないですよー」トテテテ 初美(一回は告白を断られましたけど!) 初美(はっちゃんは諦めませんよー!) 初美(少しでもアドバンテージをもらうべく、京太郎の部屋に来ましたけどー) 京太郎「……ぐぅ」 初美「見事に寝ていますねー」 初美「今なら……こっそりと布団の中に入れますかねー」 初美(えへへ……一緒の布団で寝るのですよー) 初美「温かいですよー。京太郎の匂いに包まれていい気分ですー」 初美「……ふぁ」 初美「んー、眠いですねー」 京太郎「ぁぁ……ごォ」ギュッ 初美「ひゃあっ!きょ、京太郎?」 京太郎「ボロ雑巾のように、使い捨ててやる……」 初美「物騒な寝言ですよー!?」 京太郎「強く、強く抱きしめて-」 初美「ちょ、ま、まままってくださいー、心の準備が」 京太郎「むにゃむにゃ」 初美「……うう、恥ずかしいですよー」 初美「幸せですけどー」 初美「ぐぬぬ……このまま起こすべきか、起こさないべきか」 初美「……霞達には悪いですけど、しばらくはこのぬくもりに浸らせてもらいますー」 京太郎「……二度寝からすっきり。目が覚めた訳だが」 初美「…………いへへ」 京太郎「どうしてはっちゃんがいるんですかねぇ」 京太郎(衣服もはだけてるし、もうほぼ丸見えじゃねーかよ!) 京太郎(よかった、ロリコンじゃなくて) 京太郎(つーか、抱きしめられてるせいで上手く動けないんだけど) 京太郎(どうすっかなー) 京太郎(あー、服が脱げてるよ。もうこれはやべえよ、やべえよ) 京太郎(とりあえず、着せるか……)シュルシュル 初美「うにゅゆー」ゴロンゴロン 京太郎(ぎゃーーー!何で、暴れるかなあ!) 初美「うへへー」 京太郎(突然、動かれたから全部脱げちまったじゃねーかよ!) 初美「きゅー」 京太郎「」 京太郎「はだ、は、はは」 京太郎(裸ーーーーーーっ!?) 京太郎(いつのまに下が脱げてるんだよ!?おかしいだろ、ちょっと!) 京太郎(ヤバい、ヤバい、ヤバーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイ!) 京太郎(今の俺とはっちゃんの状態を見られたら……) 京太郎(グッバイゴールデンボオオオオオオオオル!) 京太郎(死んじゃう!見せられないよー!) ワタシノーオハカノーマーエデー 京太郎(こんな時に携帯かよォォ!!!) 京太郎(出れるか、ボケェ!) 咲「……京ちゃん」 京太郎(うごごごごご!ど、どうすればいいの!) 京太郎(というか、はっちゃんの裸って綺麗だな……) 京太郎(小さいながらもピチっとした肉体) 京太郎(焼けた肌と白の対比がまたそそる) 京太郎(オーケイオーケイ!落ち着け、須賀京太郎) 京太郎(ロリコンじゃないんだから息子は勃たない) 京太郎(イエスロリータノータッチ!) 京太郎(いやいやいや。タッチは良くない) 京太郎(一時の煩悩に身を任せて動くのは損) 京太郎(だから、ここは思うままに視姦する!) 京太郎(偶には裸もいいよね!) 初美「うにゅう」 京太郎「ふぅ……これでおもちがあったら死んでいた」 京太郎(それでも、十分にそそられるこの体、すごい!) 京太郎(あー、はっちゃんのぬくもりが-!) 京太郎(しかし、俺だって普通の男子高校生なんだ。こういうことをしてるとヤバいって思わないのか!) 京太郎(息子の環境に悪いわ!) 京太郎(なんもかんも俺に彼女が出来ないのが悪い!彼女がいたら俺も自制できるんだ!) 京太郎(ぐへへへ……) 良子「京太郎、開けるぞ。石戸達が起こしてこい……と」 京太郎「」 京太郎(さて、もう一度この状況を整理しよう) 京太郎(裸のはっちゃんとそれを抱きしめている感じの俺。俺の服装はちょっと乱れている) 京太郎(どう考えても) 良子「」 京太郎(誤解されるよなあ) 良子「な、なななな」 京太郎「こ、これは違うんです!」 良子「何が違うんだ……?わ、私やはるるというものがありながら!」 京太郎(誤解だって言っても解けそうにないし。かといって、はっちゃんを起こしてもややこしくなる可能性大だし!) 京太郎(どーすんの、どーすんの、俺!?) 京太郎(よし、起こそう!はっちゃんなら信じれる!) 京太郎「はっちゃん!はっちゃーーーー!!!」 初美「うひゃえええええええええええ!」 初美「な、なんですかーー!耳元で声を上げないでくださいーーー!」 京太郎「それよりも!どうして裸なんですか(すっとぼけ)」 初美「ふぇ?」 京太郎「俺が起きたらはっちゃんが裸で寝ていて……びっくりしたんですよ(真顔)」 初美「そ、そんな……京太郎のエッチ……!」 京太郎「エッチじゃないです!いい加減、服着てください(真顔)」 良子「お前達は何をイチャイチャと……!」 京太郎「良子さん違うんです!はっちゃん、説明お願いします!」 初美「説明も何も見たまんまですよー?」 良子「」 京太郎(きょええええええええええええええええっっ!?それ一番だめじゃねーーかよおおお!) 良子「そういえば、何だかイカ臭」 京太郎「さーーーて!起きよう!いい朝だなー!」 京太郎「良子さん、今日もお綺麗で何よりですね、いやっふー-!」 京太郎(とりあえず、無理矢理誤魔化す!) 京太郎(勢いで何とかすれば完璧!) 初美「……私には綺麗だって言ってくれないんですかー」ズズイッ 京太郎「……服を着てください」 初美「そんなことはどうでもいいんですよー!」 京太郎「よくないですよ!」 良子「き、ききれいって……?傭兵だのイタコだの言われ続けてきた私が綺麗なんて」イヤンイヤン 京太郎(よし、こっちは抑えた!後は、はっちゃんを説得するだけだ!) 京太郎「はっちゃんにははっちゃんの良さがあるんです。いいこいいこ」ナデナデ 初美「そ、そうですかー。うひゅひゅ」ニコニコ 京太郎(ちょろい!) 京太郎「ということなんで、服を着てくださいねー」 初美「えー」 京太郎「……霞さん達ははっちゃんにどんな教育を施したんだ」 【はっちゃんルーム】 京太郎「へ?今日は全員でかけるんですか?」 霞「ええ、そうなの。京君も知っての通り、私達は麻雀の全国大会に出場するの」 春「その、手続とか色々あって」 巴「高校の方に出向かないといけないんですよね」 良子「その付添役で私が来た訳」 初美「姫松の方には行かなくていいですかー」 良子「それについてはノーサンキュー。代行さんが何とかすると思うから」 巴「そうなんですか。代行さんとは知り合いで?」 良子「まあそんな所。機会があれば会うかもしれないね」 京太郎「それで、俺はここで仕事ですか?」 小蒔「そのことなんですけど、京太郎さんには申し訳ないんですが……私達と一緒に来て欲しいんです」 京太郎「は?」 霞「男手が欲しいのよねー。ほら、私達は女の子だから」 京太郎「霞さんだけは女の子というよりはおかあ」ゴキュッ 霞「うふふ」 京太郎「」 初美「ああ!?京太郎の口からなにか抜けてますー!」 春「このままだと死ぬね」ボリボリ 巴「早く霊魂を戻さないと!」 京太郎「危うく死にかけたんですが!」 初美「霞も女の子ですからねー」 霞「はっちゃんはいいこね~」 春「…………若作り」ボソッ 霞「ん?」 春「何でもない。黒糖が美味しい」ボリボリ 京太郎「まあ、仕事についてはわかりました。ですけど、永水って確か女子高ですよね? 俺は入れないんじゃ……」 巴「そこが問題ですよね」 小蒔「どうしましょうか……」 初美「さすがにこのままだと無理そうですよー」 良子「私の付き人って設定はどうかな?」 霞「それで入れなかったら困るわよー」 春「……困った」 ハギヨシ「そんな時は私にお任せください」シュタッ 京太郎「げえっ、ハギヨシさん!」 ハギヨシ「ふふふ、ちょっとした所用で来てみれば困っているようなので助太刀を」 京太郎「まあ、困ってるといえば困ってるんですけど」 ハギヨシ「友人が困ってるのを見過ごすことはできません。私も力になりましょう」 京太郎「さすが、ハギヨシさん!」 京太郎「ということは何かあるんですね」 ハギヨシ「ええ。まず一つ目はこれです」ババーン 霞「……何だか嫌な効果音ね」 ハギヨシ「執事服です。これを着ることで格式ある人との錯覚を生み出せるのでは?」 京太郎「確かに……何かすっげーいいとこの青年風になれそうだ」 ハギヨシ「今ならシルクハットとステッキもつけましょう」 京太郎「何処の英国紳士ですか」 ハギヨシ「二つ目はこれです!」 巴「これは、永水の制服とウイッグ!」 京太郎「……まさか」 ハギヨシ「ええ、女装です」 京太郎「みなまで聞きませんよ」 ハギヨシ「女装をしたら無事にくぐれるのではないかと」 京太郎「それは無理でしょう……」 ハギヨシ「三つ目はこれです」 京太郎「……すいません、これは」 ハギヨシ「麻酔銃です。サブマシンガンもありますよ?」 京太郎「これで校内にいる人達を撃つってことですよね?」 ハギヨシ「ご安心ください、死体は回収しますから」 京太郎「死体とか言わないでください!撃てませんってば!」 ハギヨシ「ですが、これは麻酔銃なんで遠慮なく撃てますよ?」 京太郎「どっちにしろダメですよ!危険すぎますって」 ハギヨシ「さあ、どれにしますか」 京太郎「どれも嫌なんですけどねぇ……」 京太郎「執事服を着ます」 ハギヨシ「おや……校内撃滅大作戦ではないのですか?」 京太郎「当たり前ですよ。第一、そんなことやったらさすがにヤバいですって!」 ハギヨシ「仕方がないですね……それじゃあ執事服を用意したんで着替えてきてください」 京太郎「わかりました……」 着替え中 京太郎「これで、どうですか?」 ハギヨシ「ええ。なかなかの仕上がりです。元の素材がいいということもあるんですが」 京太郎「からかわないでくださいよ。そんなイケてるもんじゃないですってば」 ハギヨシ「ははは、ご謙遜を」 霞「……アリね」 初美「ありですよー、思っていたより破壊力ありますよー」 春「いける、これはいける」 小蒔「何がですか?でもすっごくかっこいいですね!王子様みたいです!} 巴「逆にこれで学校行ったら騒がれるんじゃないんですかね……」 霞「いや、これでいきましょう。はっちゃん、カメラ探してくるわよ」 初美「ガッテンでーす!」 春「私もとりに行ってくる」 小蒔「へ?へ?」 巴「全くもう……」 良子「……」カシャカシャッ 巴「さっきから黙ってるなと思ってたらもうですか!」 良子「貴重だからね。うん、他意はないよ?」 巴「ありありですよね……はぁ……」
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【午後・清住高校麻雀部・部室】 京太郎「……帰ろう、もう学校も閉まるし」 京太郎(校門に来たはいいけど何でいるんですかねぇ?) 京太郎「モモェ……」 桃子「来ちゃったっす」 京太郎「……えっ」 桃子「いやいや、その反応はおかしいっすよ。というか今から行くっすよーってさっきメールしたはずっすけど……」 京太郎「あー、気づかなかったわ。悪い……というか何でこんな時間に?もう夜だぞ」 桃子「それはもう部活だったからっすよ?」 京太郎「つーかよく学校にいるってわかったな?エスパー?」 桃子「偶然っす。というか本題に入るっすよ」 桃子「京太郎、何か隠してないっすか」 京太郎「隠し事なんてねーって。わざわざ遠路はるばる来た理由ってそれか?」 桃子「第六感というものっすよ。不吉な感じがしたんで来たんすよ」 京太郎「考えすぎだって……。心配性だなあ」 桃子「京太郎がそう言うなら一応は納得しとくっすよ。あんま、無理はしたらいけないっすよ?」 京太郎「わかってるって。そうだ、ここまで来たんだから家来いよ?」 桃子「……は?」 京太郎「ついでだし親に紹介しとこーかなって。大切な人だって」 桃子「ちょ、ちょっ」 京太郎「……顔赤くしてどうした?」 桃子「な、何でもないっす!」 桃子(いやいやいやいや!違うっすから、私と京太郎は友達っすから!なななな、っ!) 京太郎「変な奴だなあ。調子が悪いなら無理にとは言わんけど……」 桃子「体調は超健康っすから!」 京太郎「ならいいや。俺にとってモモは一人しかいない大切な人なんだからさ。何かあったら嫌なんだよ」 桃子「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!」 京太郎「そんな口パクパクしてると虫入るぞ?」 桃子「誰のせいっすか!誰の!」 京太郎「えー。俺何かマズイこと言ったか?」 桃子「この天然タラシは……!」 京太郎「別に間違ったことを言った覚えはないんだけどな、モモが大切なのは本当だし」 桃子「もういいっすから!よくわかったっすから!」 京太郎「そうか?とりあえず、ここで立ち話も何だから家行こうぜー」 桃子「先輩といい京太郎といいタラシが多すぎるっすよ、もう……」 咲(……京ちゃんまだ学校に残ってるかなあ) 咲(最近何か疲れていそうだしお弁当作って差し入れにきたけど……) 咲(まあ、駄目なら家に誘えばいいしね!) 咲「あっ、京ちゃ……!」 キャッハウフフ 咲「…………」 咲「また、あの人と……」 咲「最近、私にもそっけないし」 咲「私、嫌われてるのかなぁ」 京太郎「という訳だから、今日の晩にモモ入れてもいいかな」 京母「何がという訳だ、お前。説明はちゃんとしろ」 京太郎「ですよねー」 桃子「……」ビクビク 京太郎「まあまあ、細かいことは言いっこなしってことで」 京母「で、混ぜるのはいいけどさー。この娘は京太郎のなんなのさー」 京太郎「えっ」 京母「酒の肴になるかもしれんネタが目の前にあるってのに飛びつかない訳ないでしょうが」 京太郎「悪趣味な……」 京母「うっさい。ほら、さっさと吐け」 京太郎「俺にとって大切な人です」 桃子「!?」 京母「何故に敬語?しらんけど」 京太郎「何となく、ノリってやつ?」 京母「ホント、お前はわからん息子だ……まあ、その娘が大切な人だってことはよくわかったわ」 京太郎「わかってくれて嬉しいね」 京母「何が嬉しいだ、このバカ息子。モモちゃん待たせたら悪いし、さっさと飯をつくるよ」 京太郎「はいはい……」 桃子(親公認の、仲……!!!嫌でも意識しちゃうっすよぉ) 【食事描写はキンクリじゃあ!】 桃子「ふぅ……」 京太郎「ほぼイキかけました」 桃子「いや、何がっすか?」 京太郎「わからないならわからないでいい」 桃子「じゃあ、そろそろ私は……」 京太郎「おう、そうだな。もういい時間だし」 京母「ん?帰るの?」 京太郎「そりゃあモモは家もここから遠いし。早く帰らないと電車なくなるだろ」 京母「ぶっちゃけ、家に泊まっていけばいいんじゃね?」 桃子「ひゃっ?」 京母「いや、別に朝だったら仕事行くついでに車出して送るよ?」 京太郎「それじゃあ、今日送ればいいじゃん」 京母「もうビール五缶開けてるから無理」 京太郎「なんということだ……」 桃子「え、えっ」 京太郎「どうする?別に俺はどっちでもいいけど……」 桃子「泊まるっすよーーー!」 京太郎「そっか、じゃあ部屋を用意しないとな」 京母「一緒の部屋でもいいんじゃねーの?咲ちゃんとだってそうだし」 京太郎「アイツは一人で寝るの怖いとか言って震えながら部屋に来るから仕方なくだ」 桃子「……む」 京太郎「モモは大丈夫だろ、へたれてないし」 京母「なら、適当に客室でも使えばいいさ」 京太郎「そうさせてもらう。まあ、眠くなるまでは部屋で何かゲームでもしてようぜ」 桃子「わかったっすよー」 桃子(さすがに一緒に寝るのは恥ずかしすぎるっすよー……) 京太郎「ここが俺の部屋だ」デデーン 桃子「前も来たから新鮮味がないっすね」 京太郎「そりゃそうだ。んな短期間で劇的ビフォーアフターしてたまるか」 桃子「エロ本とか探すの楽しみにしていたんすけどねぇ」 京太郎「ばっか、んな簡単に見つけられてたまるか」 桃子「ということはあるんすね」 京太郎「そりゃあ、俺だって男だし興味はある。今は麻雀一筋だから音沙汰はないけど」 桃子「そうっすか……」 京太郎「まあ、俺は男としてはあんま魅力ねーしな」 桃子「そんなことないっすよ!私を護るって言ってくれた時はすごくかっこよかったっすよ!」 京太郎「お、おう……そこまで言われると照れるな」 桃子「~~っ!言ってるこっちだって恥ずかしいっすよ!」 京太郎「なら言うなよ!」 桃子「自己評価が低すぎるんすよ、京太郎は」 京太郎「そんなことないって。正当な評価ってやつだよ」 桃子「こればっかりは京太郎の嫌いなとこっすよ」 桃子「命をかけてもらったって時点で私の評価は高いのに……」ボソッ 京太郎「そりゃあお前、友達は護るもんだろうが」 桃子「そういうことがシラフで言える所は素敵だって思うっすけどね」 京太郎「へー、それじゃあ俺のことを男としてどう思ってるわけ?」 桃子「ふぇ!?」 京太郎「そこまで言うんならきっと高いんだろうなー」 桃子「もうっ!からかうなっ」 京太郎「ごめんごめん、ちょっと調子に乗っちまった」 桃子「全く、京太郎は……」 京太郎「ははっ。悪かったって。ダチだと素で話しちまうからな、俺は」 京太郎「こういう風にからかう奴ってあんまいないから」 桃子「……ずるいっすよ。そんな事言われたら嬉しくなっちゃうじゃないっすか」 京太郎「何言ってるんだよ、友達なんだからさ、遠慮すんなって」 桃子「バカ」 京太郎「ああ」 桃子「バカバカ」 京太郎「二回も言わんでいい」 桃子「アホ」 京太郎「語彙を変えただけじゃねーか!?」 桃子「アホにアホって言って何が悪いんすか」 京太郎「開き直りやがって、この野郎……!」 桃子「はぁ……何か京太郎を見てると危なっかしいんすよ」 桃子「私にも隠してないっすか?無茶してるんじゃないんすか?」 京太郎「突然、何だよ……俺は大丈夫だって」 桃子「本当っすか?」 京太郎「ああ、神に誓って」 桃子「キリシタンっすか、京太郎」 京太郎「いや、ノリで」 京太郎「わかったわかった、約束する」 京太郎『きつくなったらちゃんと話すよ。お前には全部打ち明ける』 桃子「約束っすよ……必ずっす」 京太郎「ああ、約束だ。信じとけって、俺を」 桃子「そこまで言うなら信じるしかないっすよ」 京太郎「ああ、ごめん……」 桃子「何で謝るんすか、悪いのは詰め寄った私なのに」 京太郎「そうだよな……でも、ごめん」 京太郎(だってさ。その約束、嘘だから) 京太郎(話せる訳がない、俺が学校で爪弾きにされてるって) 京太郎(言ったら、もっと心配させちまう。巻き込んでしまう……!) 京太郎(だから、ごめん。俺がどうなろうとも、お前には手を出させないから) 京太郎(護る、護ってみせる……!) 京太郎(本当はきつく当たって友達なんて思わせない方がいいんだ) 京太郎(そうしたらこいつは俺から離れていって安全になる) 京太郎(それができないのは、俺の弱さなんだろうな) 京太郎(人と触れ合っていたい、一人は寂しいから) 京太郎(ホント、弱っちいな……) 京太郎「朝……か」 京太郎(眠い、半端なく眠い) 京太郎(昨日はモモと深夜まで話していたしなぁ……そりゃあ眠いか)ムニュ 京太郎(あー抱き枕だっけー、抱き心地がいいなあ、これ)モニュ 京太郎(思わず強く抱きしめてしまうぜ、へっへっへ) 桃子「……んっ、やぁ」 京太郎(最近のは喘ぎ声も出るのかよ、画期的だな)モニューン 桃子「ひゃっ……ぅっ……」 京太郎(いやあ、実にすばらっ!はっはっはっ)モニュール 京太郎(……いやいやいや!違うから!これモモだから!) 京太郎(ノリで抱きしめたり胸揉んだりしちまったけどさ!) 京太郎(今の状態は俺がモモを抱きしめている。そう、抱きしめている) 京太郎(もし、モモが起きたらやばい。色々とヤバい) 京太郎「息子とか愚息とかリーチ棒とか!」 桃子「うるさいっすよ、もう~」パチリ 京太郎「あ」 桃子「へ」 京太郎「おはよう、モモ。いい朝だな」キラッ 桃子「何やってるんすか、もーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」 バチコーン 京太郎「はい、すいませんでした」ドゲザーッ 桃子「まあ、私が部屋を間違えたのがいけなかったし……」 京太郎「さっすがモモ!」 桃子「調子が良すぎるっすよ!?」 京太郎「はい、すいませんでした」ドゲザーッ 桃子「本当に京太郎は……」ジーッ 京太郎「悪い悪い。それよりも、学校行かないといけねーだろ」 桃子「そうっすね。京太郎とはお別れっす」 京太郎「ああ……またな」 桃子「私がいないとこで無茶しちゃだめっすよー」ヒラヒラ 京太郎「俺も学校行かないとな……」 池田「お、また会ったなー」 京太郎「池田さん、おはようございます」 池田「おう。お前は礼儀がなってていいなぁ……それに比べてお前んとこの一年は」 京太郎「すいません、会ったらちゃんと言っておくんで」 池田「いいよ、お前は悪くないんだし。華菜ちゃんは器が大きいからなっ」 池田「それよりも、前に会った時よりは顔色は落ち着いてるけど大丈夫なのか」 京太郎「あはは……まあ、何とか」 京太郎(嫌がらせメールはずっと続いてる。気味が悪いのは相変わらずだけど慣れてしまった……) 池田「そうかー?やっぱりお前、何か違和感あるぞ?」 京太郎「考えすぎですって」 池田「んー、何かお前って危なっかしいというかさ」 京太郎「会う人皆に言われてます……」 池田「なら自覚しろって。ちゃんと周りを頼らないと駄目だぞ」 池田「あーもう!埒があかない、メアドとケー番教えるから!」 池田「困ったり迷ったりしたらメールでもすればいいし!」 京太郎「は、はぁ……」 池田「いいか、人を頼るんだぞ!それじゃあ学校だからじゃあな!」ダッダッダッ 京太郎「うーん、面倒見がいい人なんだな……池田さんって」 【清澄高校・玄関】 京太郎(今度は上履きにガムと画鋲か……) 京太郎(池田さんにはああいったけど、やっぱ辛い) 京太郎(じわじわと、首を絞められてるみたいだ) 京太郎(教室に行こう……モブ友達はいるかな) 京太郎「はよー」 モブ友1「……」 京太郎「おい、どうかしたのかよ」 モブ友1「……話しかけるな」 京太郎「えっ」 モブ友1「話しかけるなって言ってるんだよ、あっち行け」 京太郎「……お、おい。嘘だろ」 モブ友1「うるせえってんだよ!」ドカッ 京太郎「っ!」 モブ友1「…………」 京太郎「どうして……?」 モブ友1「くそっ、朝から嫌な気分だぜ」 京太郎「……ぁ」 京太郎(あの後、他のダチにも同じ態度を取られたし……ついにクラス全員から無視されちまった) 京太郎(どうしてだよ、昨日まで仲良く飯食った仲じゃねーか……) 京太郎(もう訳わかんねーよ……) 京太郎(誰か、助けてくれよ) 京太郎(……しばらく落ち着かないと) 京太郎(部室に行くか……授業を聞いている気分じゃねえ) 【夜・京太郎の部屋】 京太郎(……あれから部活もあったけど身に入らなかった) 京太郎(くそっ、何が起こったんだよ?昨日まで仲が良かったのに) 京太郎(何でだ、何でだよっ!!!!) 京太郎(誰も、いない。誰も悩みを話す人が、いない) 京太郎(話しても巻き込んだら……どうなるかが怖い) 京太郎(嫌がらせメールも今日はひっきりなしだしよ……俺のメアドを知ってることといいどうなってるんだ) 京太郎「はぁ……寝よう」 京太郎(寝て起きたら、何かが変わってるといいんだけどな) 京太郎「……あ」 京太郎(朝か。いつの間にかに寝ちまってたんだな、俺) 京太郎(くそっ……わかんねーよ。何があったんだよ、アイツらに) 京太郎(俺が悪いのか……?) 京太郎(ああ、畜生。頭がこんがらって思考がまとまんねぇ) 京太郎(それに、怖い……何かにすがりつきたくなるくらいに) 京太郎(とりあえず、学校に行こう……親に心配掛けたくないし) 京太郎「……ああ、衣さんですか」 衣「うむ、今日もいい天気で実に快なり!」 京太郎「そうですね、ええ」 京太郎「…………」 衣「どうした、浮かない顔をしているが」 京太郎「いえ、ちょっと考え事を」 衣「衣でよければ聞いてやるぞー!」フンッ 京太郎「はは……じゃあちょっとだけ」 京太郎「何を信じればいいのかわからなくなってしまったんです」 京太郎「今まで積み重ねてきたものがあって、一緒に笑ってきた記憶があって」 京太郎「だけど、それは違うって突きつけられて」 京太郎「俺はどうしたらいいんだって悩んでいるんですよ」 京太郎「俺は、そいつが嫌いになったのかって。今までずっと一緒にいたのに……」 衣「そうか……衣から言えることはあまりない。きょーたろーの立場に立っていないからな」 衣「だが、これだけは確かだと思う」 衣「きょーたろー、ここでそいつを憎んでしまったら負けだぞ」 衣「信じてみればいいじゃないか。きっと、その思いは届くから」 京太郎「信じる、ですか……わかりました。俺、信じてみます」 京太郎「まだ心の整理はついてませんけどね」ハハハ 衣「大丈夫だ、案ずることはない。それだけの年月を過ごした仲なのだからな」 京太郎「……」 京太郎(今度は靴に画鋲かよ……しかもご丁寧に木工用ボンドまでつけて) 京太郎(ボンドはティッシュで拭きとって、画鋲はゴミ箱に捨ててっと) 京太郎(憎んだら負け、か。そうだよな、俺は信じよう。信じてみるんだ) 【教室】 ワイワイガヤガヤ 京太郎「はよーっす」 シーン 京太郎「熱烈な歡迎ありがとう、いえーい!」 シーン 京太郎「いやいや、照れちまうね。ここまで歓迎されてると」 京太郎「わざわざ机に花まで置いてくれちゃって。ファンが多いイケメンは辛いね!」 京太郎「まあ、邪魔だし後ろの棚にでも置いておこうかなー!」 京太郎(…………) 京太郎「よう、おはよう!」 モブ友1「……」 京太郎「何だよ、元気ないなー。どうかしたのか?」 モブ友1「話しかけるなって言っただろ」ガタッ モブ友1「気分悪いわ……マジで」 京太郎「……っ」 【昼・教室】 京太郎「よう、モブ友1。飯食いに行こうぜ」 モブ友1「……」スタスタ モブ友1「よーう、飯食いに行かね?」 モブ友2「ああ、いいね。行こうか」 モブ友1「だなー、やっぱり飯は一緒に食べてて楽しい奴等とじゃないとなー」 京太郎「…………」 京太郎(……しん、じるのは、正しいのか?) 【放課後・部室】 京太郎(もう、ここしかないのかもしれない。俺の日常は) 京太郎(縋るしかない。だから、ここに逃げてしまう) 京太郎「リーチ」タンッ 咲「あ、それロンだよ」 京太郎「あ……」 咲「どうしたの、京ちゃん?いつもより調子が悪いけど」 咲「せっかく打ってるんだしもっと楽しもうよ、麻雀!」 京太郎(カンカンカン嶺上開花なんてされて楽しい訳ないだろ……勝てなきゃ、楽しく――っ! 何、考えてるんだよ、俺。八つ当たりなんてらしくねぇ) 京太郎(落ち着け。咲は悪くないだろ、これが実力の差なんだからしゃーないだろ) 京太郎「……そうだな」 京太郎(俺は、前みたいに笑えているのだろうか?) 【夜・清澄高校・玄関】 京太郎「今日も最後まで雑用ばっかりだったな……」 京太郎「仕方ないんだ、全国行ったアイツらが打たなくちゃいけないのは当然なんだ」 京太郎「俺自身の我儘でそれを潰したら駄目だ」 京太郎「俺が、弱いからいけないんだ。皆が帰った後、牌譜を見たりネトマをやったりだけど。 やっぱ足りねえか。早く強くならないといけないのに……」 京太郎「勝ちたい……勝ったら、俺は認められる」 京太郎「……は、ははっ」 京太郎(靴箱がゴミだらけ……やってくれるわ、ホント) 京太郎(■い……のか?) 京太郎「違うッ!駄目だ、憎んだら駄目だッッッ!」 京太郎「それじゃあ、何も解決しない!」 京太郎「信じなきゃ…いけないんだ」 京太郎「信じたら、きっと届くって衣さんも言ってくれた」 京太郎「これぐらいじゃ、へこたれないぞ……!」 京太郎「はぁ……どうしたらいいのかねぇ」 ワイワイガヤガヤ 京太郎「もう、わっかんねー」ドンッ チンピラ1「ああ、テメエいてぇじゃねえか!」 チンピラ2「おいおい、ケンくん痛がってるじゃねえか!」 チンピラ1「ああ、痛いわー。これは骨折してるわー」 チンピラ3「おら、どう落とし前つけてくれるんだ、あ?」 チンピラ4「これは、教育やろなあ……」 京太郎(チッ!厄介なのに捕まったな……) 京太郎(逃げるにも四人。もう、適当に殴り飛ばして突き抜けないといけねえ)スッ チンピラ1「おいおい、生意気にも逆らっちゃうわけですか」 京太郎「うっせえ!道開けろォ!」 京太郎「だらっしゃあ!」ドカッ チンピラ1「この野郎ォ!」 京太郎「そのまま寝てやがれっ!」バキッ チンピラ1「ぎゃあああっっ!」 チンピラ2「ケンくん!」 チンピラ3「テメエ、よくもケンくんを!」 チンピラ4「これは、教育やろなあ……」 京太郎「今の内に逃げないと……」ダッダッダッ モブ友1「…………」ニイッ 【公園】 京太郎「はぁ……っ。疲れた……」 京太郎(ったく、ついてねーな) 京太郎「一発も食らわなくてよかった……余計な心配されちまう」 池田「ほうほう、余計な心配されてしまう訳か」 京太郎「そうなんだよ、母さんとか咲は心配性だから……って池田ァ!」 池田「呼び捨てにするなし!一応先輩なんだからなー」 京太郎「いや、何となくそう呼ぼうかなって」 池田「いいけどさー。お前はその辺礼儀正しそうだし」 京太郎「それで、なぜ池田先輩はここに?」 池田「帰り道だよ。部活が長引いちゃってなー」 京太郎「そうですか……」 池田「んー、やっぱお前どっかおかしいわ」 京太郎「えっ」 池田「何か溜め込んでるだろ、それもかなり」 京太郎「そ、そんなこと……」 池田「言いたくないならいいよ、言わなくても」 池田「ただ、私は言ったからな。誰かを頼れって」 京太郎「……それができれば苦労はしませんよ」 京太郎「頼りたい、友達が……いないから」 池田「……そっか。まあ、華菜ちゃんでよければ少し聞いてやるよ」 京太郎「ありがとうございます……」 【朝・京太郎の部屋】 京太郎(ははっ、寝る前の日課だったメールをする気すらなくなるなんてな。 よっぽど堪えてやがる) 京太郎「だけど……学校には行かなくちゃ、いけない」 京太郎(正直、休みたい。もう逃げたい) 京太郎(だけど、母さんに迷惑がかかっちまう) 京太郎(伸ばしてくれた手はある……モモや衣さん、染谷先輩、ハギヨシさんは俺に手を伸ばしてくれた) 京太郎(手を取りたいけど、取れない。大切だから巻き込みたくない。もし、危害がそっちに向かったら……俺は耐えられない。 それに、怖い。俺がイジメられてるって知られることが) 京太郎(幻滅されるんじゃないか?馬鹿にされるんじゃないか?鼻で笑われるんじゃないか?) 京太郎(そんなことしないってわかってるのに、どうしても浮かんじまう!) 京太郎(クソックソッ!クソオオオオオオオオッ!!) 京太郎「……あ」 巴「おはよう、きょーちん」 京太郎「おはようございます、巴さん」 巴「うん、やっぱりあだ名で呼び合うっていいね。帰ったら知り合いにもつけてみようかな」 京太郎「そうですか、気に入ってもらえて何よりです」 巴「それでね……きょーちん。早速だけど君には一つ話したいことがあるんだ」 京太郎「何ですか?」 巴「率直に言うとね。君はこれ以上学校に行くべきじゃない。もう手遅れだから」 京太郎「……!?」 巴「気づいてるはず、あそこは淀んでいる」 巴「最近、色々と小さな問題が起こってるから祓ってくれないかという依頼があってね。 ずっと私は学校にいたんだよ」 巴「悪意の源を祓っても、一度生まれた悪意の連鎖は止まらない。乗り移った憎しみは増大してるしね」 巴「悪いことは言わない。もう学校に行くべきじゃない。君も気づいてるはずよ?」 京太郎「…………だけど」 巴「君自身が破滅してもいいの?自分の身が一番大事にすべきだと私は思うけどな」 京太郎「今不登校になったらっ!親に心配をかけるっ!不登校になったってレッテルを近所に貼られるかもしれない!」 京太郎「仕事で大変な思いをしている母さん達に余計な迷惑をかけてしまうっ!」 巴「……矛盾してるよ。本当に親のことを思うなら、助けてって言うべき」 巴「君はただ、怖いだけじゃないの?頼って迷惑をかけることを怖がってる。 選択を決めることをためらってる。前に一歩も進みたくないって駄々をこねて」 京太郎「…………ッッ!」ダッ 巴「あっ!ちょっと!」 京太郎(俺は……俺はっ!) 巴「これは、やばいかもしれないね……記憶の『書き換え』が必要なのかも」 【清澄高校・玄関】 京太郎「…………っ」 京太郎(ゴミが増えてる……昨日は全部取り除いたのに) 京太郎(ネチョネチョとした感覚が気持ち悪い。嫌な気分になっちまう……) 京太郎(咲達にバレてないことが救いだな……アイツらは朝は俺より早いからかち合わないし) 京太郎(そういえば、しばらく咲と一緒に学校に行ってないなあ) 京太郎(……あの頃は、楽しかった) 【教室】 死ね。生きているだけで不愉快。どうして死なないの? 糞でも食ってろ。バカみたい!視界に入らないでほしい。 京太郎(……ぁ) クスクス 京太郎(今度は机に落書きかよ……) クスクスクスクス 京太郎(こんなことをやってる主犯格を殴り飛ばしたい気分だ……) 京太郎(だけど、俺がここで暴れたら。アイツらが掴んだ全国に泥を塗る。出場停止になっちまうかもしれない) 京太郎(耐えたら何か解決策が浮かぶかもしれない) 『……矛盾してるよ。本当に親のことを思うなら、助けてって言うべき』「」 『君はただ、怖いだけじゃないの?頼って迷惑をかけることを怖がってる。 選択を決めることをためらってる。前に一歩も進みたくないって駄々をこねて』 京太郎(違う、違う!違うッッ!) 京太郎(俺は逃げてなんかいない!怖がってなんかいないっ!) 京太郎(俺は正気だ、全然普通だ!!) 【昼・部室】 京太郎(あんな空気の中に入れないし、思わず部室に来たけど……) 京太郎「そりゃあ、全員クラスメートに友だちがいるんだ。わざわざここに来る必要はないか」 京太郎「は、友達か……もう、信じられねぇよ、衣さん」 京太郎(話しかけても、無視。視線すら合わせない。まるで俺がいないみたいに) 咲「あれ、京ちゃん?」 京太郎「咲……どうして、ここに?」 咲「何、私がいたら嫌なの?」プスーッ 京太郎「いや、そんなことはないけど」 咲「なら、私がここにいてもいいよねッ」 京太郎「ああ、好きにすればいい」 咲「つれないなあ。せっかく可愛い咲ちゃんが会いに来たのに」 京太郎「誰が可愛いだ、誰が。画面の向こうの皆を笑って否定するわ」 咲「……まあ、自分で言っててどうかと思ったけど」 京太郎「それなら言わなくてもいいだろ」 咲「それもそうだけど……それで、京ちゃんはどうしてここにいるのさ?」 京太郎「うるせー。いいんだよ、俺のことは」 京太郎(俺がクラスでイジメられてるなんて言えるか。無駄に心配させちまう……) 咲「まあ、いいよ。それで、私も一緒にここで食べていい?」 京太郎「いいけど……」 咲「やたっ」 京太郎「全く、お前は……」 京太郎(こうして話してると普通の文学少女なんだけどなぁ……麻雀になると人格が変わっちまう……) 京太郎(最初は近かったはずなんだけどな……今は遠い) 京太郎(…………) 京太郎「なあ、咲」 咲「なぁに、京ちゃん?」 京太郎「今日の放課後の部活でさ、俺と本気で打ってくれないか」 咲「えっ、京ちゃんと?」 京太郎「そうだ、優希達も一緒でいいからさ」 京太郎「頼む」ガシッ 咲「ひゃっ!ちょ、強く握りすぎだよ……」 京太郎「わ、悪い……」 咲「別にいいけど……何か京ちゃんちょっと怖い」 京太郎「どこがだよ。俺はいつも通りだ」 咲「……本当に?」 京太郎「ああ、本当だ」 京太郎(このままだといずれ俺はだめになるかもしれない。精神的にも、もう後がないから) 京太郎(だから、前に出よう。今の雑用ばっかりの環境を壊すためにも) 京太郎(今の俺が本気の咲達にどれだけ通用するか。練習し続けてきた俺の麻雀に価値はあるのか) 京太郎(俺が麻雀部にいる意味、俺じゃなきゃ駄目だって理由を見つけ出す) 京太郎(本気で相対することで何かが掴めるなら、それでいい) 京太郎(もし負けたら、俺は――麻雀から……) 京太郎「……じゃあ、頼むな」 咲「う、うん……」 咲(京ちゃん……やっぱり、転校しちゃうのかな?) 咲(それで、最後だからって本気で相手をしてくれって) 咲(思い出作り、かな) 咲(それだったら……京ちゃんにいい思いをして終わらせたいな) 咲(京ちゃんが笑って去れるように) 咲(京ちゃんに一位を取らせてあげたいな) 【放課後・部室】 京太郎(……これで決める) 京太郎(俺の今まで全部をぶつけてやる。今だけはイジメとか何もかもを忘れて) 京太郎(だから、本気で来いよ……咲。手加減なんてなしだぜ?) 京太郎(俺もお前のことを本気で見るから) 京太郎(勝つつもりで打つからさ) ギイイッ 咲「ごめん、待たせたかな?」 京太郎「いや、そんなに待ってないから大丈夫だ。メンツは揃ったか?」 咲「うん。その点に関してはばっちりだよ!」 和「どうも……」 優希「久しぶりの出番だじぇ~!!!」 咲「ということで揃ったよ!」 京太郎「おう。それじゃあ早速打とうぜ」 京太郎(勝ってみせる、何としても!) 京太郎「……俺が、一位?」 咲「良かったね!京ちゃん!」 優希「っ~~~~~!!犬のくせにぃ!」 京太郎「夢じゃ、ねぇんだよな?」 優希「何いってんだ、お前ー。こんなに可愛い優希ちゃんが夢だと申すか」 京太郎「は、ははっ。俺、勝てた……勝てたんだっ」 京太郎(やればできるんだ!才能なんてなくても!努力し続ければ届く!) 京太郎(間違っていなかったんだ!いつかは麻雀の神様は笑ってくれるんだ!) 咲「……あはは、喜び過ぎだよ」 和「…………」 和「おかしいですね……」ボソッ 和(確かに須賀君は最近力をつけてきました。影でずっと努力し続けていましたし) 和(でも……いつもはラスを引いてばっかりなのにいきなり一位というのはおかしくないですか?) 和(麻雀は運で偏るゲームですからそういうこともありますけど……) 和(宮永さんがラスを引いたことといい、捨て牌がおかしかったことといい……引っかかります) 和「宮永さん、ちょっと見せて下さい」 咲「あっ」 ペララララー 一九一九七九 萬萬索索筒筒東南西北北中發 和「……これは、国士無双一向聴待ちですね」 優希「……ぁぁ」 京太郎「えっ」 和「どういうことですか。さっきの局で、宮永さんならきっと上がれたと思います」 咲「そんなことないよっ。最後にやっと揃えたんだもん」 和「本当ですか……?」 咲「うん、本当だよ」 和「……嘘ですね」 和「それならば、最後に優希が捨てた一筒で上がれたはずですよ」 咲「うっ……」 優希「た、たまたまだじぇ!」 和「麻雀にそんなたまたまはありえません」 京太郎「………」 京太郎(つまり、どういうことだ?) 京太郎(咲は本気じゃなかったってことか?優希もそれを指摘しなかったから同じか?) 京太郎(つーことはさ……この勝ちも全部茶番だってことかよ) 京太郎(俺の今まではそんな茶番で潰される程度のもの、か) 京太郎(見下されていたのか、俺は) 京太郎「……は、ははっ」 京太郎「あはっ、はははははっ!ひゃはっあっっははははははははははっ!!! はははあああああはっはははっっっっっはははっっっははっはあっは! かはっ、ははっははっはっあははぁひゃひゃひははははははっ!!」 京太郎(本気で向かわれる価値すら、なかった) 和「須賀、君?」 京太郎「くひゃははははははっっ!ハハハハアははっっっっ! ははははははははっはは、あははっハハハハハハッ!」 京太郎(努力に意味なんてなかった) 優希「京太郎……?」 京太郎「ぁぁああああぁぁぁぁああははっははあぁゃははひゃははは!」 京太郎(全部、無駄だったんだ。いいように馬鹿にされていただけ) 京太郎「あは、あははは、あは、はぁはははっはははははひは はひゃひゃははははははっああぁあぁぁあはははっはひっは ひゃははっはははっ!?ごほっげふっ!はは、は あはっははっはひゃはあぁぁははははははは、あぅひゃぁ あひゃっはははははぁひゃあっはぁあっははははははっっ!」 京太郎(おかしくておかしくて笑いが止まんねえ!こんなにもおかしいのにっ!」 京太郎「ひゃははははははははっ!あひゃははは、あっははははははは、 あひゃぁはははは、げ、が、 がは、ふっぐっはぁあああはひゃはは、お、、おぐ、 ぐほっ、げほっごほっ、あはははぁぁっ!がはっ、げほっ、 ぎふっ、ぐ、ぐげ、ぎひ、ふひゃっ、ひゃあはははははははァァァっ、 ぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁは、ぅぅぅぅうぇぇぇぇあはぁあああああ ぁあぁあああぁあああぉぉあああアぁぁぁあああああああああ!!!」 京太郎(どうして、涙が止まらないんだろうな) 京太郎「あ、あっあ、ああああああああああああっ!!!」 京太郎(どうして) 京太郎「はぁ……ヒャ…………ははっ」 京太郎(俺には) 京太郎「――ふざけるな」 京太郎(ほんの少しだけでも) 京太郎「ざけんなざけんなざけんなざけんなぁぁぁあああぁあっっ!!!」 京太郎(才能が、なかったんだ?) 京太郎「ふざけるな、ふざけるなよッ!」 京太郎「そうだな、そうだよなぁ!!所詮、俺は雑用で使いっ走り、こんな風に麻雀を打つ必要ねーもんなあ!」 京太郎(憎い、憎い) 京太郎「いっつも、気のいい男子部員としてっ!一人で買い出しとか掃除とか全部やってっ!」 京太郎(才能のない俺自身が、憎い) 京太郎「それが当然だよなあ、弱いからさ!弱い奴は麻雀打つなって話だよなあ!?」 京太郎「雑魚は雑魚らしく雑用ってやつか!!ああ、そいつはぴったりだ! 使い勝手のいい人間がいて便利だよな!!」 咲「ち、ちがっ」 京太郎「違わねえよ!!違わねえ!!!全部、その通りだろうがっ!!」 京太郎「だったら、何で本気でやらなかったんだよ!!!俺は、俺はっ!!」 京太郎「本気で打ってくれるなら、どんな結果でもいいって思ったんだよ」 咲「ち、違うの。違うんだよ、京ちゃん!」 咲「京ちゃん、転校すると思って、最後にっ」 優希「そ、そうだじぇ!安易に乗った私も悪かったじぇ!」 和「…………」 京太郎「うるせえよ」 京太郎「そんな押し付けの善意なんていらねえんだよ!」 京太郎「喜ぶと思った?最後に笑っていて欲しい?」 京太郎「迷惑なんだよ、いらねえんだよ!」 京太郎「才能があって目立つお前等っ!影でコソコソ雑用している俺っ! 頑張っても足元にも及ばないっ!どいつもこいつも女子はすごいのに男子はひどいっ! いつまで俺は雑用で愛想笑いをしていればいいんだ!?」 京太郎「ああ、そうだなっ!はなっから諦めていればよかったんだよな!!!麻雀なんてっ!」 咲「京ちゃん!」 京太郎「ついてくるなっ!」 京太郎「……もう、ここには来ない」 京太郎「除籍なりなんなり勝手にしといてくれ」 京太郎「お前等は全国で活躍すればいいさ。その時はかっこいいーって祝福してやるからよォ!」 京太郎「ひゃひゃひゃひゃひゃひはははははははっ!!ははひゃはやはっははははははっ! ひゃひゃひははゴホッガッ!はは、あははっ!はっはははっははははははははははっっっ!!!」 バタン 咲「あ、ああっ」 咲「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!! 優希「私、追いかけてくるじぇ!!!」 和「あっ、優希!!!」 咲「どこで、間違っちゃったのかなぁ……」 咲「私は、ただ……京ちゃんに笑っていて欲しかっただけなのに」 【清澄高校体育館裏】 京太郎「……っ」 京太郎(はっ、カッコ悪いことありゃしねぇ……) 京太郎(よく口が回ったもんだ、悪いのはどう考えても俺だろうが) 京太郎(俺はアイツらの目に耐えられなかっただけだ。俺のことをまっすぐに見ているのに耐えられなくて) 京太郎(俺はそんなにイイヤツじゃねえ。そんなんじゃねえって言ってるのに真っ直ぐに見てやがる) 京太郎(そんな目で見られたら、嫉妬している俺が惨めじゃねえか。かっこ悪いじゃねえか) 京太郎(せめて、お前等の前だけではカッコつけさせてくれよ。なあ) 京太郎(ま、俺には無理だったけどな。結局、勝手にブチギレて今の関係を壊しちまった) 京太郎「やっすいプライドだよ、全く」 京太郎(そのやっすいプライドに縋った俺はどこまでも屑ってか?ははっ、最高に笑えてくる) モブ友1「ははっ、いい様だなァ」 モブ女子「……」 モブ男子「ぎゃはははっ」 ゾロゾロ 京太郎「…………」 モブ友1「おっと、暴力はなしだ。いいんだぜ、暴力沙汰で全国出場停止になったってよ」 京太郎「…………」 モブ友1「その顔だよ、その顔が見たかったんだよ俺はァ!おい、やっちまおうぜ!」 ガスッバキッ 京太郎「ごふっ」 モブ友1「お前は昔から顔もイケメンでスポーツもできるっ!勉強は普通だがそれも愛嬌だってなる!」ブンッ モブ友1「いつでも、お前は俺よりも上を行きやがる!」ドカッ モブ友1「麻雀部にいるお前がずっと妬ましかった……咲ちゃんに原村、片岡、会長と美少女に囲まれているお前がなァ!」バキッ モブ男子2「はっ、ハーレムかってんだ!俺らみたいな根暗はずっとお前の影に隠れているはめになるっ」ボキッ モブ女子「そもそも会長達に近づいてるんじゃないわよ!アンタみたいな碌でもない人がいたらばい菌が伝染るわ!」バキッ モブ女子2「そうよそうよ!アンタの居場所なんて必要ないわ!私達は見向きもされないのに!」 モブ男子「お前ばっかりがいい思いをしやがって!ふざけるなっ!」バキッ モブ女子3「貴方がいるだけで麻雀部の格が下がるのよっ!」ドスッ モブ男子3「実際、お前は一回戦負けでお荷物だしなあ!」バカッ モブ男子「大体何で入ったんだよ、見ていてお前が目障りなんだよ!」 モブ女子「どうせ会長達の体目的何でしょう!」 モブ女子4「変態!変態!変態!」 モブ男子「麻雀なんてどうでもいいって思っているんだろ?女の子がいればそれでいいんだからなあ!」 モブ男子2「だから、弱いんだろ、お前!ぎゃはははははっっ!」 モブ女子「見ていてわかるもの、麻雀に真剣じゃないって!」 モブ男子「強くなろうともしてないしな!」 モブ女子「強くなろうともしない奴が麻雀部にいていいわけ?」 モブ男子2「はーい、いない方がいいと思いまーす」 モブ女子「というか視界に入るだけで汚れるんだけど。あー、目が汚れるわー」 モブ男子「うわっ、俺こいつに触っちまったよ、きったねえ!イラつくから蹴らせろや!」ドカッ 京太郎「が、……ふっ」 モブ女子「うわっ、きったーねー。こいつヨダレ吐きやがった」 モブ男子「汚いことしてんじゃねえ、よ!」ドカッ モブ女子「アハハハ、ビクンビクンしてる!おっもしろーい!」 モブ男子2「このままだと死ぬんじゃね、こいつ?」 モブ女子2「死ねばいいのよ、こんなヤツ生きていて価値なんて無いわ」 モブ男子「あひゃっ、こいつが死んでも誰も悲しまねえしなあ!」バキッ モブ男子3「死ねよ、早く!」ドカッ モブ女子「シューット!アハハハハ!」バカッ 『死ーね!死ーね!死ーね!死ーね!死ーね!死ーね!』 『死ーね!死ーね!死ーね!死ーね!死ーね!死ーね!』 『死ーね!死ーね!死ーね!死ーね!死ーね!死ーね!』 『消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!』 『消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!』 『消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!消えろ!』 モブ友1「いい気味だぜ、見ていて無様だわ~」 京太郎「……あ、が」 モブ友1「どうよ、痛めつけられた感想はよォ!」バキッ 京太郎「かふっ!……噂を流したのはお前等か」 モブ友1「そうさ、お前に対する悪印象を広めるのに頑張ったんだ、感謝してくれてもいいんだぜぇ! でも、お前に対して嫉妬してる奴等が多かったからなあ、その分すっげー楽だったよ!!」 モブ友1「ここ最近はずっと噂を広めたり、総シカトしようぜって感じで楽しかったなあ!お前のその姿を見れて気持ちいいしよ」 モブ友1「それとよ、お前前に告白されたよな?モブ女に?」 京太郎「それが、どうした」 モブ友1「もう出てきていいぞ~」 モブ女「…………」 京太郎「えっ」 モブ友1「まさか、本当に告白されたと思った?残念でした、ヤラセでーす!」 ギャハハハハハ モブ友1「馬鹿みたいにガチガチに緊張してさァ!まじうけるんですけど!」 京太郎「あ、あっ」 モブ女「来ないで下さい、不快です」 モブ女「この人はずっと苦しんでいるのに……貴方はいい身分ね。 誰かに負けて本気で悔しいって気持ちなんてわからないんでしょうね」 京太郎(は、ははっ) 京太郎(告白してきた女の子もグルかよ……なんだよ、それ) 京太郎(俺には……もう何も残ってねえ) 京太郎(帰る場所は自ら潰した) 京太郎(好きだって言ってくれた女の子は嘘だった。そんな女の子はいなかった) 京太郎(信じてた麻雀は糞呼ばわり。努力に意味はなかった……) 京太郎(ずっと一緒だった友達は俺のことを妬ましいと嫌ってた) 京太郎(咲も、本気で打ってくれなかった。俺の本気でやってくれって言葉を信じてくれなかった) 京太郎(誰を信じればいいんだ?友達でさえ嘘をついていたのに) モブ友1「ああ、もう一つあったわ」 モブ友1「お前さ、あの麻雀部の人達とは仲がいいと思ってるんだろうけどそれは間違いだぜ」 モブ友1「――――」 京太郎「そんな……」 モブ友1「嘘じゃない。何なら聞いてみるんだなっ」ガスッ 京太郎「が、は……っ」 モブ友1「はっはっはっ、さてと最後に気の済むまで蹴ろうぜ」 モブ男子「そうだな!」 モブ女子「いつまで耐えていられるか賭けない?」 モブ男子「俺、十分で!」 モブ女子「五分っ!」 モブ女「二分で。カップラーメンよりはやーい!」 モブ友1「おいおい、それじゃあ俺らがつまらないだろー!」 ギャハハハハハ 京太郎(……俺、は。こんなにも嫌われてるのに、辛いのに、苦しいのに) 京太郎(何で、生きてるんだ?) 京太郎(しに、たい) 京太郎(なき、た、い) 京太郎(もどりた、い) 京太郎(つよ、くなり、たい) 京太郎(たす、け……て) 京太郎(結局、誰も助けにも来ない) 京太郎(そりゃ、そうか。俺なんかの為に誰も助けには来ないよな) 京太郎(は、はは……ざまァ、ねえな) 京太郎(そうだ、よな……神様は――助けてくれないもんな) 京太郎(教えてくれ、俺は――どうすればよかったんだ?) 京太郎(誰に、縋ればよかったんだ?) 京太郎(俺は、ただ……強く、なりたかった、だけなのに) 京太郎(助けてくれ……)ドカッ 京太郎(苦しい……痛い……) モブ友1「あひゃひゃひゃっ!」ドスッ 京太郎(殺してくれ……) モブ男子「死ねっ死ねっ」バキッ 京太郎(もう何も、望まないから) モブ女子「あははははっ!」 京太郎(もう誰とも、仲良くならないから) モブ女子2「ぎゃははははははっ!」 京太郎(誰の視界にも、入らないし『見ない』から) モブ女「あはっ、あははっ」 京太郎(認めてなんて言わないから) モブ友1「とどめなんて指すと思うか?お前はそこでずっと無様に這いつくばっていろよ!あひゃひゃはやはっっ!」 京太郎(たす、けて)ガシッ モブ友1「触るんじゃねえよ、汚らしい手でよ」バシッ 京太郎(寒い、よ。いた、い……よ) 京太郎(ごめん、母さん。俺、もう駄目みたいだ) 京太郎(ごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめん ごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめん ごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめん ごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめん ごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめん) 京太郎(生まれてきて、ごめんなさい。無用な心配をかけてごめんなさい) 京太郎(あ、夕焼け、綺麗だな) 京太郎(痛いのに、きれ、い。あは、はは) 京太郎(こわい。誰かを、信じて、裏切ら、れるのが) 京太郎(なら、だれも、しんじ、なければ、いい。こんな思いをするなら、しんじなければ、いい) 京太郎(すき、になって、ほしいとねがっ、てごめん。もう、おもわ、ないから) 京太郎(だから、うらぎら、ないで。モ、も。はギよ、しさ、ん。ころ、もさ、ん。そめ、やせん、ぱい) 京太郎(みえて、しまって、ごめ、んな。もう、か、かわら、いから) 京太郎(ごめ、ん) 京太郎(し、な……せて、く……れ) ――――あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ! もう、何も見えないし、聞こえない。 ただ、最後に思ったのは――。 京太郎(モ、モ。おれ、おまえのこと、まもれないわ) 京太郎(だって、おれ――) 京太郎(――しんじられないんだ、おまえのことすら) 京太郎(しんじれないのに、まもれるわけ、ないもんな) 京太郎(わかんねーや。なにもかもが) 京太郎(ああ、でもひとつだけ。わかる) 京太郎(こんなろくでもなしにかちは、ねーってこと) 京太郎(だから、かちもねーおれのことを) ――――忘れてくれ。 咲「ううっ、ひっく」 和「宮永さん……ごめんなさい」 咲「いいや、原村さんのせいじゃないよ。私がもっと考えていれば……! 優希ちゃんにも協力してくれるよう頼んじゃったから!」 和「正直、宮永さんのせいだけじゃありませんよ。それに、須賀君の方にも非はあったと思います」 和「あそこまで過剰に反応するのはやっぱりおかしいです。 和「でも、だからといって宮永さん達は悪くないと言うわけではありませんよ?」 和「誰だって手心を抜かれたら嫌な気持ちになりますから」 咲「うん……」 和「まあ、そのことについては後にしましょう」 咲(今は……) 咲「私、京ちゃんを捜しに行ってくる」 咲「きちんと謝って、仲直りをするよ」 和「……須賀君がそれを否定しても?」 咲「うん。それに、今まで私達は京ちゃんに雑用を押し付けてばっかりだった」 咲「いくら私達が全国に行くとしても京ちゃんをないがしろにしちゃダメだったんだよ 最近、京ちゃんが牌に触ったとこ……私見たことなかったもん」 咲「だから――その謝罪も込めて、かな」 和「そうですね。私達は彼をただの便利屋扱いしていたのかもしれません」 和「いつだって、彼は笑顔で支えてくれたのに」 咲「行くよ、私は……」 和「私も行きます。宮永さん一人では心配ですから」 和「……謝らないといけませんね、私も」 咲「それと、もう一度京ちゃんと麻雀がしたいからってのもあるかな」 咲「こうして私が前に進むきっかけをくれたのは京ちゃんだったから」 咲「言わなくちゃいけないんだ。ありがとうと、ごめんねって」 【校舎裏】 京太郎(……あァ) 京太郎「痛い、な」 京太郎(アイツらは、いないか) 京太郎(ボコるだけボコってとんずら、か) 京太郎(気がすんだのか?馬鹿か、ただの気まぐれだ) 京太郎(どうせ、またやってくるさ。気に食わなかったら殴りによ) 京太郎(それに――) 優希「きょう、たろう?」 京太郎(来たか……) 優希「ど、どうしたんだじぇ!」 京太郎(耳に響くんだよ、うるっせーなァ) 優希「早く、保健室に!」 京太郎「……いらねぇよ」 優希「でも!」 京太郎「いらねぇって言ってんだろ、聞こえねえのか」 優希「五月蝿いっ!いいから保健室に行くんだじぇ!」 京太郎(そうやって、いい顔をしておいて) 優希「ほら!手をつかめ!」 ――いつまでも俺らはダチだからな! ――麻雀部にいるお前がずっと妬ましかった! 京太郎(裏切るのか?また、俺にあんな苦しみを与えるのか?) ――好きです。 ――来ないで下さい、不快です。 京太郎(それでも、俺に信じろっていうのか?) 京太郎(友達だって言い張るのか?手を差し伸べるのか?) ――お前さ、あの麻雀部の人達とは仲がいいと思ってるんだろうけどそれは間違いだぜ。 京太郎(そもそもどうして俺がこんな目にあわなくちゃいけないんだ?なあ、答えてくれよ) 京太郎(お前も、友達だって言い張るのか?) 京太郎「優希」 優希「ん?どうした!」 京太郎「お前は、俺を助けてくれるのか?」 優希「当たり前だろ、京太郎とはと、友達なんだからなっ」 京太郎「本当か?」 優希「ああ!それにしても、重たいじょ!もっと痩せろー!」 京太郎「わりい……」 京太郎(は、ははっ。こいつなら。俺を必死に助けようとしてくれるこいつなら) 優希「私一人じゃあ駄目だじぇ……!くそう、援軍を呼ぶじぇ!」 京太郎(信じられるかも――) 優希「京太郎を運ぶなら男手の方がいいよな!待ってろ、モブ友呼んでくるじぇ!」 京太郎「―――――――あ?」 京太郎「――そういうことかよ。お前もグルだったのか」 京太郎(そうだ、きっとそうなんだ!この状況でモブ友を呼ぶなんてそうとしか考えられない!)ガリッ 京太郎(初めからこいつは影で笑っていやがったんだ!)ガリッ 京太郎(今度は自分もボコりたいってか?ふざけんな) 優希「えっ、グルって、さっきのことか?そのことについては謝るじぇ……咲ちゃんと一緒に必死に考えたんだじぇ」 京太郎「咲もかよ……ははっ、はは。マジかよ、アイツの言うことは本当だってことか」 京太郎(何だよ、最初から信用できる奴なんていないじゃねーか) 優希「アイツって?京太郎ちょっとおかしい?」 京太郎「触るな。このクソ野郎が」 優希「えっ?」 京太郎「そうやって影でコソコソと笑って楽しいかよ」 優希「な、何言ってるんだ?」 京太郎「惚けるなよ。また、俺をボコりたいってか?助けたと一瞬思わせて油断を誘ってんのか?」 優希「わ、訳がわかんないじぇ……それよりも早くモブ友を呼ばないと!」 京太郎「させるかよ……!」バシッ 優希「ひっ!」 京太郎「なァ、楽しいか!俺がイジメられてんのを影で見て! 迷惑メールに悩まされて眠れねえを想像して!」 京太郎「挙句の果てにボコってまたさらにボコってよォ!」 優希「い、イジメって?京太郎イジメられてるのか!} 京太郎「しらばっくれるんじゃねぇ!もう騙されねえぞ!」 優希「騙されって……私は騙してなんか!」 京太郎「うるせぇ!近寄るな!友達の振りしてんじゃねえよ!」 咲「京ちゃん!」 和「優希……?」 京太郎「はっ、こうなることを見通して呼んだのか?随分と周到だなあ!」 咲「京ちゃん、あのね」 京太郎「お前と話すことなんて何もねぇよ、この屑が」 咲「……えっ」 京太郎「そうやって無害なふりしてんだろ?もうバレバレなんだよ」 京太郎「いつまで手をとってんだよ、離れろや」パシッ 優希「あっ……」 京太郎「二度とそのツラを見せんじゃねぇよ」 咲「京ちゃん待ってよ!まだ私言わないといけないことが……!」 京太郎「俺はねぇよ。消えろ」 和「須賀君、宮永さんは……!」 京太郎「和も共犯なのか?まあこいつをかばうんならそうだろうなあ!」 和「えっ……共犯って何のことですか」 京太郎「自分の胸に聞いてみろよ」ドカッ 和「きゃっ」 優希「のどちゃん!おい、京太郎!のどちゃんは関係無いだろ!」 京太郎「黙れ……!これ以上、俺を……!」バタッ 京太郎(クソッ、身体が、動かねぇ……) 優希「京太郎!やっぱりモブ友を呼んでくるじぇ!」 咲「うん!じゃあ、私達はここで京ちゃんを見ているね!」 和「とりあえず、保健室に運んでからじっくり話を聞かないといけませんね」 京太郎(やめ、ろ……また、俺を痛めつけんのかよ) 京太郎「ち、くしょう」 ―――――――――――――――――― 【帰り道】 京太郎「……がっ」 京太郎(結局、モブ友はニヤついた顔で来やがった。それも、仲間を連れて) 京太郎(咲達はそいつらに連れられて先に保健室に行ってしまった。 何か困惑してたけどきっとそれも演技なんだろう) 京太郎(そうして、またボコられて……数えるのも馬鹿らしくなるくらいに) ??「きょ、京太郎!?どうしたっすか!」 京太郎(こんな姿で帰ると、母さんに心配されちまうな。ごめん) ??「酷い……早く病院へ行かないと」 京太郎(家に帰ったらまずは消毒しねーとな) ??「京太郎、聞いているっすか!」 京太郎(クソッ、歩くだけでも辛い。誰かの肩を借りたいけど今は『一人』だし) 京太郎「一人は、辛いな」 桃子「ここにいるっすよ!私が!」 京太郎「ははっ、まあいいか。一人は気楽だし」 桃子「どうして……!今までは見えていたのに! 私はここにいるっすよ!」 京太郎「痛いけど、我慢しないとな」 桃子「ねぇ、答えてよぉ……!京太郎!」 京太郎「間違っていたんだろうな、きっと」 桃子「私の頭を撫でてよ!私の声を聞いてよ!」 京太郎「こんな時に、モモがいてくれたらな……ははっ、ないものねだりをしてもしゃーないか」 桃子「いるっすよ!私は京太郎の傍に!」 京太郎「辛いことがあったらちゃんと言うって約束、破っちまったな」 桃子「ちゃんと聞くっすから!だから!お願いだから!」 『私のことを、見つけてよぉ……!』 京太郎「まあ、いないもんはしゃーないよな」 桃子「……っ!」 京太郎(こんな有様を見せて心配させたくないしな) 桃子「きょう、たろうっ」 桃子「ねぇ、覚えてるっすか。私達が最初にあった時のこと」 京太郎(最初に会った時はあんなに刺々しかったのに) 桃子「私は先輩を取られるんじゃないかってムキになったっすよね」 京太郎(加治木さんがモモの友だちになってくれって言ったのが始まりだった) 桃子「最初はどうせ、メールもなしに放っておくんだと思ってたっすよ」 京太郎(あの後、夜にメールをしたらすごい速さで返ってきたんだよな) 桃子「でも、京太郎はすぐにメールしてくれた。あれ、すごく嬉しかったんすよ?」 京太郎(それから夜中までメールするとは思わなかった。楽しかったからいいけどさ) 桃子「素直に言えなかったっす。私、こういうのが初めてだったから」 京太郎(それからさ。俺が体調崩して寝込んでた時、お前すっげえ心配してくれたよな) 桃子「京太郎は一人で無理をし過ぎっすよ!でも、風邪の時にメールをしてくれたのは……えへへ。 ああ、私を頼ってくれてるんだなって感じでニヤついたんスよ、もう!」 京太郎(冗談だと思ってたんだぜ、看病とかも。本当に来るとは思ってなかった) 桃子「看病に行った時も京太郎は私に気を使ってくれて……これじゃあ看病の意味がないじゃないっすか! 夫婦みたいで恥ずかしかったっすよ!」 京太郎(夫婦みたいだーってからかったモモはすっげー可愛かったし) 桃子「京太郎は本当に意地悪っすよ!私をいつもからかって!」 京太郎(で、俺があの変なサイトの時、言ったんだっけ。 大事な友達だから絶対に護るって) 桃子「でも、私のことを護るって言ってくれたりして……もう! 本当に京太郎は甘やかしっすよ!そういうことを言われたら……!」 桃子「好きになっちゃうに決まってるじゃないっすか!!!」 桃子「京太郎の家に泊まった時とか、すっごい緊張してたんすよ!? それに比べて京太郎はいつも通りで!私のことをどうとも思っていないし! というか、京太郎のベッドにわざと入っても何もしなかったし! は、恥ずかしすぎて私があわあわして逃げたのも悪いんすけど!」 京太郎「モモに、会いたいな」 桃子「私はここにいるっすよ!お願い、京太郎……っ」 京太郎「まあ、もう無理かもしれねーけど」 桃子「見つけてよぉ!!!私を……っ!答えてよっ……」 京太郎「ホント、『一人』は辛いな……なあ、モモ」 桃子「ああっ、ああ!」 桃子「あああああああああああああああああああああああああああっっ!!!」 巴「随分と奇抜な状態ですね、きょーちん」 京太郎「……巴さん。俺に何か用ですか」 巴「前にあった時よりも辛辣ですね」 京太郎「色々あったんで」 巴「そうですか。さてと、その前に……君は『一人』ですか?」 京太郎「何を当たり前のことを。『一人』に決まってるじゃないですか」 桃子「……っ」 京太郎「それとも何ですか、俺の後ろにお化けでも憑いてるとでも? 確か、巴さんは巫女でしたっけ。そういう関係で祓ったりとかしてくれるんですか?」 巴「これは重症かもしれないですね……」 京太郎「??変なことを言いますね。誰も居ないでしょうに」 巴「わかりました。こんな所で立ち話もなんですから場所を変えましょう」 巴(やはり、見えなくなっていますか……) 京太郎「いや、ここでいいです。誰に聞かれる訳でもないですし」 桃子「うっ……ひっく……」 京太郎「ここには俺と巴さんしかいないですよね。なら、構うことはないじゃないですか?」 京太郎「それとも、本当にお化けでもいるんですか?だったら祓ってくれませんか。気分が悪いんで」 桃子「っ……ぁぁっ!」 巴「……本当に聞こえないし見えないの?」 京太郎「だから、何がですか!はっきり言って下さいよ!後ろに悪霊でも立っているっていうんですか!」 桃子「……悪霊っ、うぅ」 京太郎「……すいません、用件については今度にしてくれませんか?正直……立っているだけでも辛いんで」 京太郎「何か、さっきからざわざわするというか……見えない圧迫感があって嫌なんですよ」 桃子「そ、ん……な」 ポツポツポツ 京太郎「それに、雨も降って来ましたし」 桃子「きょう、たろうっ」 京太郎「ともかく、俺には何も聞こえませんし見えもしません。用件はそれだけですか?」 桃子「い、や……もう、いやっ!」ダッダッダッ 巴「……用件はそのことについてではありません」 京太郎「じゃあ、何ですか!」 巴「記憶は戻りましたか?関節は治りましたか?」 京太郎「どうして、それを……」 巴「その様子だとまだみたいですね。言ったはずですよ、早く取り戻せ、と」 京太郎「それじゃあ、アンタが……!」 巴「ええ、あれを送ったのは私です。何か刺激を与えれば戻るのかと思えば……一向に戻りませんね」 京太郎「何が、目的だ?」 京太郎「言いたいことがあるなら俺に直接言えばいいだろうが!」 巴「言えたら苦労はしませんよ!言えないから……直接伝えても、忘れてしまうから!」 京太郎「そんな……」 巴「……失礼、取り乱しました。ともかく、時間切れなんです。見つかってしまったから」 巴「神様の手による修正ですよ」 京太郎「修正、って……」 巴「書き換えられるんですよ、記憶を。イレギュラーを」 京太郎「そんな、アホなことが……ぁ」グラリ 巴「神様は賽なんて投げない。投げても目は決まりきっているから」 京太郎「と……もえ、さん」 巴「もしも、私の言葉を覚えているのならば。須賀の字が何に繋がるのかを思い出して下さい」 京太郎「ま、って」 巴「……できれば、私のことも思い出してくれると嬉しいです」 「どうか姫様を。助けて下さい。須佐之男命よ」 京太郎「――あれ、俺は何をしていたんだっけ」 京太郎「……そうか、ボコられて咲達も信じられなくて逃げたんだ」 京太郎「その後……何かあったような」 京太郎(まあ、いいか。思い出せないレベルの記憶なんて大したことないか) 京太郎(さてと、どうしようか) ザーザーザー 京太郎(どうしようもない、か。家に帰っても、こんな有様心配されちまう) 京太郎(それに、学校になんてもう行けない。いや、行きたくない) 京太郎(迷惑、かけてしまうな……母さんに) 京太郎(ああ、でも迷惑をかけるぐらいなら、いっそ――) 京太郎(このまま、どっかの道路に出て轢かれて死んでしまえば)フラリ 京太郎(何も考えなくてもいんだ。楽に、なれるんだ) ???「……」 京太郎(死ねば、助かる) 京太郎(あ、はは。もう俺、結構限界だったじゃん) 京太郎「これで、いいんだよな」 ???「……それを決めるのは貴方なの?」 京太郎「……誰ですか」 ???「――宮永照」 【断章終わってしまった話End】
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注意 安価、コンマスレのまとめなので話が途中でわからなくなることがあります 詳しくは下記の元スレを参照 本まとめはセリフのあるレスのみを抜粋しました(だいたい) 変なところで区切れていますがご了承ください(時間があれば、また修正します) この物語はループものです | | は 安価です、修正がめんどくさいので…時間があれば修正します だいたい1時間で適当にまとめました、ミス多々あります 始めに 京太郎「ヤンデレ……?」0 本編 京太郎「ヤンデレ……?」1 京太郎「ヤンデレ……?」2 京太郎「ヤンデレ……?」3 京太郎「ヤンデレ……?」4 京太郎「ヤンデレ……?」5 京太郎「ヤンデレ……?」6 京太郎「ヤンデレ……?」7 京太郎「ヤンデレ……?」8 京太郎「ヤンデレ……?」9 京太郎「ヤンデレ……?」10 京太郎「ヤンデレ……?」11 京太郎「ヤンデレ……?」12 京太郎「ヤンデレ……?」13 京太郎「ヤンデレ……?」14 京太郎「ヤンデレ……?」15 京太郎「ヤンデレ……?」16 京太郎「ヤンデレ……?」17 京太郎「ヤンデレ……?」18 京太郎「ヤンデレ……?」19 京太郎「ヤンデレ……?」20 京太郎「ヤンデレ……?」21 京太郎「ヤンデレ……?」22 京太郎「ヤンデレ……?」23 京太郎「ヤンデレ……?」24(終) 京太郎「ヤンデレ……?」座談会 元スレ -京太郎「ヤンデレ……?」【安価】 京太郎「ヤンデレ……?」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1398960866/ 京太郎「ヤンデレ……?」照「その2……」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1399179751/ 京太郎「ヤンデレ……?」霞「その3ね」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1399656717/ 京太郎「ヤンデレ……?」白望「その4……だるっ」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1400606625/ 京太郎「ヤンデレ……?」ゆみ「その5だな」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1401001615/ 京太郎「ヤンデレ……?」洋榎「その6やでー」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1401377079/ 京太郎「ヤンデレ……?」煌「その7……すばらな数字です」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1402751995/ 京太郎「ヤンデレ……?」怜「その8や」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1403445335/ 京太郎「ヤンデレ……?」衣「その9だ!」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1404540082/ 京太郎「ヤンデレ……?」小蒔「その11……復讐……ですか?」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1406217308/(10スレ目) 京太郎「ヤンデレ……?」淡「その130……なんてねっ」【安価】 http //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1407660402/(11スレ目)
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あの日の俺には居場所があった。 あの時の俺は確かに心の底から笑えてた。 あの時の俺は……きっと幸せだった。 もし今からあの時に戻れたら俺は回避できたのか……あの悪夢を、何もかも壊れたあの日々を ――いや、きっと無理だろうな、しょせん力のない俺には…… あぁ、また思いだしちまう……捨てたがってるくせに捨てられないあの日の事を…… 【断章終わってしまった話Start】 【須賀家】 京太郎(……眠い) 京太郎(早起きは三文の得って言うけど、絶対に違うだろ。こんなにも辛いのに得とか頭おかしいっての) 京太郎(とりあえず、起きちまったもんは仕方がないし……さっさと起きるか) 京太郎(あー、朝食食べて学校かー。かったるい……) 京太郎母「京太郎、最近どうよ?」 京太郎「どうって、何が?」 京太郎母「どうって学校生活に決まってるでしょう。まだ、寝ぼけてる訳?」 京太郎「まあまあだって。別に、さしたることはないよ」 京太郎母「それならいいんだけどねー」 京太郎「ったく、それよりも母さん朝食ー」 京太郎母「咲ちゃんと約束してたでしょう?」 京太郎「あ、そうだった。早く食べていかねーと」 京太郎母「女の子を待たせるもんじゃないわよ?ほら、できたできたー」 京太郎「サンキュー母さん、じゃあぱっと食べて行ってくるわ」 京太郎母「おう、いい青春を送れよ……我が息子」 京太郎「ということがあったんだよ」 咲「相変わらず、京ちゃんのお母さんは豪快だねえ」 京太郎「まあな……女手一つで俺を育ててくれたんだ、強くもなるさ」 咲「うん……」 京太郎「馬鹿、別に変に気を使わなくてもいいんだよ。ダチなんだからさ、俺達」 咲「そうだよね……京ちゃんと私は友達だもんね」 京太郎「何を当たり前のことを言ってるんだよ、ったく……寝ぼけてるんじゃねーのか」 咲「寝ぼけてなんかいないよっ!京ちゃんの方こそ頭ボサボサだしひどいじゃん!」 京太郎「おっ、咲のくせに生意気な-!」ワシャワシャ 咲「ひゃあっ!もう、京ちゃんと同じになっちゃったじゃん!髪がボサボサになっちゃったよぅ」 京太郎「尊い犠牲だったな……」 咲「誰のせいだと思ってるの、誰の!」 京太郎「はいはい、ごめんなさーい。反省してまーす」 咲「全然反省してないよね、それっ!?」 京太郎「まあ、冗談はこれぐらいにして……そろそろ急がないと遅刻しちまうぞ」 咲「うん……じゃあ、ちょっとだけ早足で急ごうか」 京太郎「ちーっす」 友1「おっす。はよー」 友2「今日は珍しく遅刻しなかったのなー」 京太郎「うっせー。つうか、いつも遅刻してねーだろ」 友1「そうだけどさ。そういえば、京太郎って麻雀部入ってたっけ?」 友2「あーそうだったな。最近どうよ?」 京太郎「どうよって言われても……麻雀より雑用をしている気がするなぁ」 友1「麻雀部なのに?」 京太郎「なぜか、頼られるんだよなあ」 友1「ふーん……」 友2「そういうもんなのか?」 京太郎「そういうもんなんじゃねえのかな」 友1「それってさ、体の良いパシリとしか思われてないんじゃね?」 友1「お前の話を聞いてるとなー、そういうイメージがあるんだけど」 京太郎「まさか、そんなことねーって」 友2「確かにな、雑用とかって皆でやるもんだと思うけどな」 京太郎「そういう不安にさせるようなことを言うなって」 友1「悪い悪い。なんかふと思っただけだから気にすんなよ」 キーンコーンカーンコーン 京太郎「おっ、チャイムか。HRが始まるから戻れ戻れー」 友「「ういーっす」」 京太郎(体のいい雑用か……あの人達が、咲がそんな事考えてる訳ねーだろ) 【昼休み】 京太郎(よっし、やっと昼飯だ……確か、誰と約束していたんだっけ?) 京太郎(そうだ、咲と一緒にレディースランチを食べる約束をしていたな) 友1「おう、また嫁のとこに行くのか?」 友2「やはり、咲京が鉄板か……」 京太郎「嫁じゃねえから……ただの腐れ縁だって。あいつとはそういう関係じゃねーし」 友1「とか、言ってるけどどうよ?」 友2「これは駄目だね、咲ちゃん報われないね……」 京太郎「お前らは何を言ってるんだ。これからも変わらねえよ、ずっとダチでいてやるって約束したしな」 京太郎「じゃ、咲のクラスに行ってくるわー。後は頼むなー」ダッダッダッ 京太郎「おーい、咲ー。いるかー」 咲「もうっ、そんな大きな声を出さなくても聞こえるってば!」 京太郎「だってなー、お前って麻雀やってる時とか集中して声をかけても気づかねーじゃん」 咲「今は麻雀やってないじゃん……」 京太郎「まあ、細かいことは気にすんなって」 咲「むーっ!京ちゃんは私の扱いをもっとよくするべきだよ!」 京太郎「よくするって言ってもなぁ……例えば、どういう感じだよ?」 咲「それは……」 京太郎「よくするって言ってもいろいろあるだろ?」 咲「いつも、一緒に帰るとか!」 京太郎「いつもって言っても……和や優希とお前が先に帰ってるからなぁ」 咲「うっ」 京太郎「さすがに、夜遅くまでお前を遺せねーよ。親父さんに心配かけるしな」 咲「それはそうだけど……」 京太郎「だから、その提案はキツイ。第一、こうやって朝会ったり、一緒に飯を食ってるだけでも十分だろ?」 咲「……だって、もっと京ちゃんといたいんだもん」ボソッ 京太郎「つーか、いい加減俺以外の奴等に人見知りするのはやめとけって」 咲「そ、そんな!」 京太郎「そんなも何もない。全国に行くと、すげー注目されるんだぜ?」 京太郎「今の内に慣れておけって。なっ」ナデナデ 咲「う、うん……京ちゃんがそう言うなら」 京太郎「あのなあ。俺が言うからじゃなくて、自分の意志でやれって」 京太郎「俺だってお前の傍にいつまでもいるんじゃねえんだからさ」 咲「やだよー、京ちゃんとずっと一緒にいたいよー」 京太郎「はいはい、冗談でも嬉しいですよっと」 咲「いっつもそうやってはぐらかす……」 京太郎「うっせ。お互い様だ。それよりも、レディースランチをはよ!」 咲「京ちゃんらしいよ……もう」 京太郎「飯だ、めーしー!」 咲(でも、そんな京ちゃんだから……私は――) 京太郎「ほら、早く行こうぜ!」 咲「はいはい、今行くよー!」 京太郎「ということで、昼飯を食べて放課後!」 咲「誰に言ってるの、京ちゃん?」 京太郎「まあ、ノリと勢いってやつだ。気にすんな」 咲「もう……」 京太郎「さてと、部活だ部活ー」 咲「あはは……全国大会も近いし頑張らないとね」 京太郎「何を他人事のように言ってるんだ、主役はお前なんだ……気張ってやれって」 咲「うん、ありがとう京ちゃん」 京太郎(俺は……裏方だから違うけどな) 京太郎(さて、今日も雑用きちんとやっとかねーと) 京太郎(確か、備品が不足していたから買い出しに行くんだったよな) 買い物の途中 ???「ワハハ、君は……」 京太郎「貴方は……確か、鶴賀学園の!」 智美「蒲原智美だー。三年だからって敬語を使うこともないぞー」 京太郎「とは言っても、先輩ですし。ここは敬語で。どうも、清澄一年の須賀京太郎です」 智美「そうか?いやー照れるなぁ。あんまり、そういうのには慣れてないから」ワハハ 京太郎「そうですか……ところで、どうしてここに?」 智美「気晴らしの散歩さー。受験生にも息抜きが必要なのだよ、須賀ちん」 京太郎「す、須賀ちん?」 智美「どうだ、可愛いあだ名だろー。こう見えても、私はあだ名を付けることが得意なのさー」ワハハ 京太郎「…………」 智美「そ、その目はなんだー!まるで私がバカみたいじゃないかー!」 京太郎「バカジャナイデスヨ」 智美「まるで、受験勉強をしないで部室に入り浸ってるアホ先輩を見る目だろー」 京太郎「実際、そうなんじゃないですか?」 智美「うん、そうだが」 京太郎「肯定したよ、この人!」 智美「受験勉強よりも今を楽しむことに情熱を向けるべきだと思うんだなー」ワハハ 京太郎「さようですか……」 智美「なあ、須賀ちん。君は、今を楽しんでいるかー」 智美「難しいことを考えるよりもさ……楽しいことを考えた方が幸せだよー」 京太郎「そう、ですね……」 智美「まあ、須賀ちんは若いんだ、大いに悩めー」 京太郎「そんな歳の差なんてあってないようなものじゃないですか」 智美「それでも、私はおねーさんだからなー。こうやって気を使うのも役目なのだよー」 京太郎「ははは……有りがたく受け取っておきます」 智美「そうだ、ここで会ったのも何かの縁だ。メルアドとケー番交換しようー」 京太郎「俺は別に構わないんですけど、いいんですか?こんなほぼ初対面の野郎に教えても?」 智美「ワハハー、須賀ちんと私はもう友達さー。友達ならオーケーさー」 京太郎「そうですか、ならちゃっちゃっと交換しちゃいましょう」 智美「そういえば、買い出し途中だったなー。ゴメンなー、呼び止めたりして-」 京太郎「いえ、いいですよ。また期会があればこうして話してみたいですし」 智美「ワハハー、ナンパかー。悪いが、私は軽い女じゃないんだぞー」 京太郎「何をアホなこと言ってるんですか」 智美「アホなこととは失礼だぞー」 京太郎「はいはい。それじゃ、いきますよー」 【清澄麻雀部部室・夜】 京太郎「ふー。とりあえず、今日の雑用は終わった終わった」 京太郎(また、最後まで一人かー。外も暗くなってるし早く帰らないとな) 京太郎(深夜の学校って怖いんだよなぁ……余計なことを考えないで帰らなきゃ) 京太郎(ふんふっふふーん、脳内鼻歌でもして怖さを紛らわそう) 京太郎(旧校舎は古いから何か出そうで……) 京太郎(…………しかし、こんな時間まで雑用なんて何やってるんだろうな、俺は) 京太郎(雑用をすることで、俺の存在価値を無理矢理にでも認めさせているみたいで……) 京太郎(どうも、ダチに言われた言葉が残ってるみたいだな。体の良いパシリか……) 京太郎(俺って、一体何だろうな……) 【京太郎の部屋】 京太郎(眠い……けど。何か微妙に眠れない気分) 京太郎(わっかんねー、何もかもがわっかんねー) 京太郎(どうすっかなー、メールでも送るか) 京太郎(そもそも、夜だから寝てる可能性もあるんだよな) 京太郎(んー、どうしようか) 京太郎(そうだ、染谷先輩が確か言っていたな……辛くなったらいつでも相談しろって) 京太郎(ひょっとしたらこの胸のもやもやを解決してくれるかもしれない)ピッピッポ 京太郎(一番、冷静で場を見てるのは染谷先輩だしなぁ……) 京太郎(きっと、何か良いアドバイスをくれるかもしれない) 『すいません、夜分遅くに。ちょっと相談に乗ってもらってもいいですか?』 京太郎(うん、掴みは大丈夫だ。後は送信して返信を待つだけだ) ヒカルカーゼヲオイーコシタラー 京太郎(来た来た) 『なんじゃ、藪から棒に。しかし、京太郎が相談なんて珍しいのぅ?どうせなら、昼でも一緒に御飯でも食べながら聞いてやるぞ?』 京太郎(染谷先輩は優しいなあ……それじゃあお言葉に甘えるとしますか) 『染谷先輩の都合が良ければお願いします。明日の昼にどこかで待ち合わせましょう』 京太郎(これで、いいか) ヒカルカーゼヲオイーコシタラー 『おう、可愛い後輩の頼みじゃ。どんと来んさい』 京太郎(ははっ。本当に、頼りになり過ぎだよ……染谷先輩は) 京太郎(この人がいる限り、俺も頑張っていけるかもな……) 『わかりました。では、明日お願いします。おやすみなさい』 京太郎(ふぁ~あ……もう十二時も過ぎたし、たまには早く寝るかー) ――――歯車が、ずれ始める。 京太郎(……やっぱり、眠い) 京太郎(いい加減、自転車登校とかに手を出すべきなのかもしれないな) 京太郎(そしたら、もっと布団で寝ていられるし) 京太郎(学校、行きたくないなあ……) 京太郎(でも、染谷先輩との約束があるしサボれねえ) 京太郎(頑張っていこう……今日の朝はきっついなあ) 京太郎「おー、咲かー」 咲「相変わらずのボサボサ頭だね、京ちゃん」 京太郎「仕方ないだろ、眠くて頭整えるのも面倒くさかったんだから」 咲「あはは、京ちゃんらしいや」 京太郎「うっせー。方向音痴で俺がいなかったら満足に学校に辿り着く事ができないお前に言われたくはねー」 咲「そういえば、京ちゃん……今日のお昼はどうするの?実はね……今日おべ」 京太郎「悪い。今日はお前と一緒に飯は食べれねえわ」 咲「えっ……」 京太郎「大事な先約があるんだ。こればっかりは譲れないんだ」 咲「それは、私も一緒にいちゃ駄目なの?」 京太郎「ああ。ごめんな、今度何かで埋め合わせをするからさ」 咲「うん、わかった……約束だよ?」 京太郎「おう、約束だ」 咲「えへへ……楽しみだなあ」 京太郎「ったく、俺の財布の心配もしてくれなきゃ困るぞ」 咲「わかってるってば。別にそこまで高価な要求はしないから」 京太郎「マジ、頼むぜ。今月はただでさえ厳しいってのに」 【清澄高校・玄関】 京太郎「とーちゃくっと。やっぱ、歩きって辛いな……」 咲「仕方ないね。割と家からここまでって遠いし」 京太郎「自転車でも買おうかな。そしたら、ここまで楽に来れるだろう」 咲「そしたら、私も自転車を買わないといけないじゃん」 京太郎「なんでさ。お前まで俺に付き合わなくてもいいよ」 咲「……だって、京ちゃんと一緒に登校したいんだもん」ボソッ 京太郎「はいはい、まずは一人で学校来れることから始めましょうねー」 咲「うーっ!いいもーんだ、私には原村さんがいるもーん」 京太郎「そうやって、逃げていたらいつか痛い目にあうぞ…………あ?」クツイレガバッ 咲「どうしたの、京ちゃん?そんな鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしちゃって」 京太郎「いや、それがだな……」 「ラブレターが入ってたんだ……」 京太郎(さあ、どうすっかな。このラブレターについては) 京太郎(咲は何だか不機嫌になっちまって話にならねーし) 京太郎(この手紙には夕方、体育館裏で待ってますといういかにもな文字があったけど) 京太郎(ただの悪戯だと思うんだけどなー……わっかんねー) 京太郎(まあ、もし本当だったとしたら無視はできないし行くしかないんだけど) 京太郎(返答がなぁ……こういうのはあんま経験はないしどうしたものか) 京太郎「ということで、どうしたらいいでしょうか、染谷先輩」 まこ「いきなりなんじゃい。もっと具体的に喋らんかい」 京太郎「ラブレターを貰った、返事どうしよう」 まこ「簡素すぎるわ!?」 京太郎「実際、悩みの種はそれなんですから仕方ないじゃないですか」 京太郎「俺は、どうすべきなんでしょうかね……」 京太郎「もし、本当だったら嬉しいですし」 京太郎「ちゃんとこういうのには応えたいんですけど」 まこ「ふむ……」 まこ「まあ、わしもなぁ……そういう経験はゼロじゃからなあ」 まこ「的確なアドバイスを送ることはできんのう」 まこ「じゃが」 まこ「京太郎、お前さんはもっと我儘になるべきじゃよ」 まこ「今まで、部活の雑用をずっと一人でこなしてきて大変じゃったろう」 まこ「もう、いい。お前さんは好きなように行動すべきじゃ」 京太郎「でも」 まこ「ええい、わしが許可する。遠慮なんてするな」 まこ「好きなようにやれ。お前さん自身が我慢して壊れちゃ意味が無いんだからな」 京太郎「……ありがとうございます。染谷先輩に相談してよかったです」 まこ「よせい。わしは自分の持論を言ったまでじゃ。そこまで感謝される筋はない」 京太郎「それでもですよ。俺にとっては安心して相談できる唯一の人なんですから」 まこ「そう言われると照れるのう……」 京太郎「染谷先輩と話すと心が落ち着くんですよ。何というか、話してて穏やかになるというか」 京太郎「こんな時間がいつまでも続けばいいのにって思うぐらいに、ね」ニコッ まこ「アホっ!何を言っておるんじゃ!」 京太郎「すいません、ちょっとからかってみたくて」 まこ「全く、年上をからかうもんじゃない」 京太郎「ははっ……」 京太郎(すきなように、する) 京太郎(俺が今、やりたいことは……) 【体育館裏】 京太郎(さて、素直に来た訳だけど) 京太郎「誰もいねー」 京太郎(まあ、告白かどうかもわかんねーしな) 京太郎(悪戯みたいなもんかもしれないからあんまり期待していないし) 京太郎(そもそも俺を好きになる酔狂な女の子がいるのかよ) ??「あ、あの……」 京太郎「ん?」 モブ女「す、須賀京太郎さんですよね?」 京太郎「うん、俺が須賀京太郎だけど?君が手紙を渡してくれた人?」 モブ女「はい!その、早速なんですけど!」 モブ女「好きです!私と付き合って下さい!」 京太郎「…………マ、マジで?」 モブ女「マジです。私をよければ彼女にして欲しいなー、なんて」 京太郎「お、おう」 和「えっ……」 和(須賀君の姿を見かけたから何の気なしに追いかけてみましたけど) 和(まさか、告白なんて場面に遭遇するなんて) 和(べ、別に須賀君が告白されようとも私には関係ありませんし) 和(だから、告白に承諾しても……気にしませんよ) 京太郎「あ、あのさ」 和(此処から先はプライベートですし、私は聞かない方がいいかもしれません) 和(で、でも。ちょっとだけなら) 京太郎「ごめん。まだ、君とは会ったばかりでいきなり彼女っていうのはちょっと厳しい」 京太郎「だから君の要望には応えられない。ごめん」ペコリッ モブ女「い、いえ……当然ですよね」 京太郎「それでも」 京太郎「友達からなら始められると思うんだ」 京太郎「これも何かの縁だし仲良くなれたらいいなって。それで、だめかな?」 モブ女「は、はい!お願いします!」 京太郎「いや、そこまで気合を入れられても……」 和(…………) 和(須賀君は、告白を受けませんでした) 和(それは、私には関係ないこと) 和(彼がどう返答しようと彼の自由。私が何かを口出しすべきではありません) 和(でも……どうしてか) 和(ホッとしている自分がいるのは、何故でしょうか) 和(須賀君とは何でもないのに) 和(いつも、私に軟派な態度をとる須賀君が他の娘になびくのを) 和(嫌だって思ってしまうなんて) 京太郎「さてと、部活の買い出しをしないと」 京太郎(この前は蒲原さんと会ったけど今回は誰かと会うのかな) 京太郎(うーんと、今回の買い出しは紅茶か……) 京太郎(紅茶の葉っぱを取り扱ってる店なんて知らないんだけどなあ) 京太郎(スーパーのパック紅茶でいいかな)ドンッ 衣「ぐはあっ!」 京太郎「あ、すいません!大丈夫ですか!」 衣「いひゃい……」 京太郎「俺が前を見ていなかったばっかりに……とりあえず立てますか?」 衣「だ、大丈夫だ!衣は一人で立てる!」ズイッ 京太郎(あれ?この人って確か……) 衣「全く、ちゃんと前を見て歩かないと駄目なんだぞ!」 京太郎(咲と戦った、天江衣さん?) 衣「衣は大人だから許す!次から注意していれば良い」 京太郎「そうですか、ありがとうございます」 京太郎「でも、俺の不注意だったのは確かなので……」ペコリ 衣「そ、そこまで深々と頭を下げなくてもいいんだぞ?」アセアセ 衣「これだったら、衣が悪いみたいではないか!」 京太郎「そんなことはないですよ。天江さんみたいな人に怪我をさせたらそれこそ目も当てられません」 衣「むー……。あれ?そういえば、衣は名前を名乗っていないのになぜお前は知っているんだ?」 京太郎「ああ、それはですね。かくかくじかじか」 衣「ほう、つまりあの大会を見ていたということか」 京太郎「そういうことになりますね」 衣「そうか。それで、お前の名前は?」 京太郎「はあ……別に名乗る程ではないと思いますけど。どうせ、会うのはこれっきりだと思いますし」 衣「そんなことないぞ!縁というのはわからん、お前と衣が再び相まみえることがある可能性だってある」 京太郎「そこまで言うなら……清澄一年の須賀京太郎です」 衣「清澄?ということは咲とノノカのいる所か!」 京太郎「そうですね、アイツらなら全国に向けて練習してますよ」 衣「それならば、よい。衣を負かしたのだ、全国では大暴れしてもらわないとな」 衣「衣は負けたけど、すごく楽しかったからな」 京太郎「負けたのに、楽しい?」 衣「そうだ!衣にとって、麻雀は勝つことしかなくてつまらなかった」 衣「どうやっても、勝利しか見えない。予定調和の闘いなど衣にとっては価値がなかった」 衣「咲は衣を負かすことで麻雀とは自分で打つことこそ楽しいものだと教えてくれた」 衣「勝つことしか知らなかった衣に教えてくれたんだ!」 衣「麻雀とは楽しいものだとな!」 衣「そのお陰で友達もできた!」 京太郎(そうか。天江さんにとって麻雀は勝利しかなくて、負けとは無縁でつまらないものだった) 京太郎(そして、咲に負けたことでやっと自分の麻雀を打てる。それが嬉しいのか) 京太郎(勝つことに価値はなくて、負けることにこそ価値があった) 京太郎(何だ、ソレ?) 京太郎(俺は……いくら練習しても、勝てないのに) 京太郎(笑っちまいそうだ、俺とのあまりの違いに) 京太郎(そういう才能ってやつを持ってるのは違うってことか?) 京太郎(麻雀に負けても笑えるし、楽しむことが出来るってのかよ) 京太郎(ああ、そうだな。王道だよ、天江さんの話は) 京太郎(負けたけど、友達ができて。自分の打ち方を見つけて) 京太郎(ああ、あの決勝戦で風越を飛ばさなかったのも……舐めたプレイングってやつ?) 京太郎(何でだよ……) 京太郎(才能があるだけで、ここまで違うのか?勝ち負けすら操れるのか?) 京太郎(麻雀なんて運だ、それぐらい俺にもわかる。努力が実を結ぶなんて珍しい話だ) 京太郎(だけど、だけど!) 京太郎(勝ちたいと思う気持ちが負けることよりも下なもんか!) 京太郎(勝てなきゃ、面白くねぇだろうが!) 京太郎(誰も、認めてくれないだろうが!) 衣「それで、衣はな!」 京太郎「すいません、天江さん。ちょっと用事があるんで失礼します」 衣「ふぇ?」 京太郎「では。俺はこれで」スタスタ 衣「……むぅ」 衣「衣は、悪いことを言ったのかな?」 衣「想定外のことがあるから麻雀は楽しいと言っただけなのだが……」 京太郎(あの場にいたら……反論しそうだった) 京太郎(勝てない身からすると、贅沢過ぎるんだよ) 京太郎(勝ち過ぎて、つまらないだなんて) 京太郎(勝つことが一番だって思っている俺は、間違っているのか?今のままでいいのか?) 京太郎(分かんねーよ、誰か教えてくれよ……何が正しいんだよ) 京太郎(凡人は才能に踊らされるだけなのか?畜生……畜生っ!)グスッ 【清澄麻雀部部室・夜】 京太郎(ずっと、頭からはなれない) 京太郎(何が正しいか、正しくないか) 京太郎(俺は、どうする?影で麻雀の本を呼んで自分なりに頑張ってきた) 京太郎(だけど、それじゃあ足りない。何時まで経っても、アイツらに追いつけない) 京太郎(全国大会出場を決めた女子と、一回戦負けの男子) 京太郎(同じ舞台に立てないのは当然だ) 京太郎(俺と咲達じゃあ立っている場所が違いすぎる) 京太郎(何か、しないと。強くなって見返すんだ) 京太郎(俺でも天才に太刀打ちできるんだって) 京太郎(思考を止めるな、クールになれ……須賀京太郎。何かがあるはずだ) 京太郎(一応、咲達の牌譜は取って研究する用意はできた) 京太郎(とりあえず、考えとかなくちゃな……色々と) 【京太郎の部屋】 京太郎(昨日と違って眠れない……) 京太郎(メールでも送って気晴らしでもするか) 京太郎(ずっと考えてちゃ頭も痛くなるしな) 京太郎(んー、誰にメールしよう?) 京太郎「そういえば、蒲原さんにアドレス教えてもらったけどメールしてなかったな」 京太郎(いい機会だから、送ってみるか) 京太郎「そういえば、思い出したぞ!」 京太郎「あの決勝戦で上手く立ちまわって咲達に食らいついていた人を!」 京太郎「確か、鶴賀学園の加治木ゆみっていう人だったかな」 京太郎「それだったら、蒲原さんを頼りに会えるかもしれないぞ」 『いきなりのメールで悪いのですが、ゆみさんとお話しできないでしょうか? 身勝手ですが急を要することなんです。 お願いします』 京太郎「送信っと」 京太郎「返信が来たぞ」 『ワハハ、何やら切羽が詰まっているようだなー。須賀ちんのピンチを見過ごす私ではない。 私から話を通しておこう。ゆみちんならたぶん快く引き受けてくれると思うぞー。』 京太郎「よっしゃ!さてと、どう返信しようか?」 『ありがとうございます。もしかしたら蒲原さんにも何かしら相談することがあるかも知れません。 そうなったときはまたよろしくお願いします』 京太郎「まあ、こんなもんかな。あんまりにも丁寧すぎるのもどうかと思うし」ピロリンッ サイダーイキューノムーナサーワーギーカンジテイターイ 京太郎「おっ、きたきた」 『きにするなよー、私達は友達だからなー。困った時はいくらでも頼ってくれていいんだぞー。 ゆみちんと会う時は私もいるだろうからなー。だから、遠慮なんてしなくていいんだからなー』 京太郎「いい人だな、蒲原さんは……」 京太郎(加治木さんと話すことで何か糸口が見つかればいいんだけど……) 京太郎(諦めないぞ、俺は!強くなって見返すんだ!) 京太郎(……気持ちわりー) 京太郎(昨日はいろいろと考えて頭を使ったからかな?) 京太郎(ともかく、今日の放課後は鶴賀学園に行く事になったし) 京太郎(何か強さへの手がかりがあるといいんだけどな……) 京太郎(早く強くなるんだ、誰よりも) 京太郎(最強になって……その先の光を掴むんだ) 京太郎「……はぁ」 京太郎(なんつーか、イマイチ気分が上がんねー) 京太郎「前みたいに何も考えずに打てていればよかったのに」 京太郎(強くなりたい。そう思ってしまったらもう止まらねえ) 京太郎(楽しく打つよりも、俺は勝ちたいんだ) 京太郎(だからこそ……)ドカッ 池田「にゃーーーーっ!ちゃんと前を見て歩くし!」 京太郎「うわあっ!すいません!」 池田「全く、そんな辛気くさい顔をしているとツキが逃げていくぞ~」 京太郎「そういうもんですかね」 池田「そういうもんだっ。だから笑顔でいっつもいるんだっ」 京太郎「笑顔でいる、か」 京太郎(今の俺には程遠いな。百点満点の笑顔なんて到底作れはしない) 池田「何事もそうやって前を向いて笑うんだ。どんなことも楽しめばそれでオッケー!」 京太郎「ははっ、参考にしておきますよ」 池田「うむっ。おわーっ!もうこんな時間、急がないと学校に遅れちゃう!じゃあな、金髪少年っ!」ダッダッダッ 京太郎「ああ、ちょっと!」 池田「また縁があったらなー」 京太郎「……行ってしまった」 京太郎(負け続けだとそれもキツイんですよ……) 京太郎(アイツらの背中が、遠いよ) 【清澄高校・玄関】 モブ女「須賀さん、おはようございます!」 京太郎「ああ、モブ女か。おはよ」 モブ女「はい!えっと、何かあったんですか、顔色が悪そうですけど」 京太郎「ちょっと寝不足なだけだって。心配無用さ」 モブ女「そうですか……体調が悪かったらいつでも言ってくださいね、私保健委員なんで」 京太郎「ああ。頼りにする時は遠慮なく」 モブ女「こちらこそ!」 キャッキャウフフ 咲「……」ズズズ 咲(京ちゃん……) 咲(どうしてだろう、あの人と仲良くしている京ちゃんを見ていると……) 咲(何か、嫌な気分だ) 京太郎「昼になったけど……」 京太郎(相変わらず、気分が上向きにならねーな) 京太郎(こんな風にしょげてる場合じゃねえのに) 京太郎(飯でも食って英気を養うべきなんだけど) 京太郎(動く気力がわかねー) 京太郎(あー、かったるい) サイダーイキューノムーナサーワーギーカンジテイターイ 京太郎(ん、メールか。誰だろ?) 京太郎「部長からか……」 『たまには、部員全員で御飯でも食べましょう。屋上集合ね!』 京太郎(うーん、どうすっかな……今の状態で会いたくないし) 京太郎(正直断りたいけどなぁ。だからといって、せっかくの誘いを無駄にしたくない) 京太郎(何が正しいんだろう?) 【清澄高校・屋上】 京太郎「失礼しまーす」 久「あら、遅かったわね。待ちくたびれたわよ」 京太郎「すいません、購買でパンを買ってたらこんな時間になってしまいまして」 まこ「ということは元々弁当を持って来なかったのか?」 京太郎「それ以前に、今日は食欲があんまなかったんで机でぐだってました」 京太郎「一応、こういう場なんでパン一つでもかじっておこうかなって」 優希「犬のくせにいい心意気だじぇ!」 京太郎「そりゃどーも」 和「とりあえず、全員揃ったことですしいただきましょう」 咲「そうだね、じゃあいっせいので」 「「「「「「いただきます」」」」」」 京太郎「あ、そう言えば部長」 久「ん、何かしら?」 京太郎「俺、今日は部活出れないんで」 優希「なにいい!そうしたら誰がタコスを買いに行くんだじぇ!」 京太郎「それぐらい自分で買ってこい」 和「そうですか、では今日はひたすらに特訓ですね」 咲「うん。京ちゃん、何の用事なの?」 京太郎「別に、話すほど大したもんじゃねーよ」 咲「むっ。そんな言い方ってないんじゃないかな?」 京太郎「何がだよ。別にいつもべったりって訳じゃねーんだ。ある程度は話したくないことだってあるだろ?」 優希「なんだってー!隠し事だなんてよくないじぇー」」 京太郎「ったく。俺にだってプライベートってもんがあるんだぜ?」 京太郎「悪いけど、いつも雑用やってる程暇じゃないんだよ」ギロッ 咲「…………やっぱり、あの女の子とデートなの?」ボソッ まこ「はいはい、そこまでじゃ。京太郎にだって色々ある。わしらにつきっきりなんてことは無理じゃ」 まこ「こうして、雑用をやってくれているだけでもありがたいんじゃからな」 京太郎(染谷先輩……) まこ「だからぶーたれるな。わしらは京太郎に頼りすぎなんじゃから」 和「まあ、確かにそうですね……」 和(やっぱり、デートなのでしょうか……) 咲「うう……」 咲(麻雀よりも、女の子とのデートを取るのかな……) まこ「京太郎も無理して話さなくてもいい。こっちはこっちで適当にやるからのぅ」ニカッ 京太郎「ありがとうございます、助かります」 久「まあ、一日ぐらいはいいんじゃないかしら?」 京太郎(せっかく染谷先輩が気を使ってくれたんだ。少しでも何かを得ないとな) 【鶴賀学園】 京太郎「さて、着いたぞ」 京太郎(校門前で待っていろと言われたけど……誰もいねーな) 京太郎(まあ、蒲原さんのことだし遅れそうだな。のんびりと待つか) 京太郎(……加治木さんに話を聞くことで少しでも強くなれればいいんだけど) 智美「ワハハ、ごめんなー。授業が長引いてー」 京太郎「あ、蒲原さん」 智美「よう、須賀ちん。こんな遠くまで、わざわざご足労ありがとなー」 京太郎「いえ、頼んだのはこっちの方なので」 智美「謙虚だなー。まあ、挨拶はこれぐらいにして本題に移ろうか」 ゆみ「君が、私に話を聞きたいという少年かい?」 京太郎「はい、清住高校一年の須賀京太郎です。今日はよろしくお願いします」 ゆみ「うむ、では須賀君と呼ばせてもらおう。一応、自己紹介しておくと私が加治木ゆみだ。君の力になれたらいいんだがな」 ゆみ「さて、立ち話もなんだし近くのファストフード店にいる訳だが」 京太郎「ありがとうございます、わざわざ時間を取っていただいて」 智美「ワハハー、須賀ちんは気にしすぎだー。どうせ暇だったしいいんだよー」 ゆみ「私はともかく、お前は勉強をサボりたいだけじゃないか?」 智美「そんなことはないぞー」 京太郎(本当に大丈夫かなあ……) ゆみ「さてと、質問があるなら聞こう。遠慮無くこい」 京太郎「えっとですね……」 京太郎「加治木さんは普通の人でありながら、どうしてあそこまで強くなれたんですか?」 ゆみ「ふむ、私が強いか……それは買いかぶりが過ぎる。実質、あの決勝戦で私は最下位だった」 ゆみ「風腰の池田が一位を狙っていなければな。私程度の凡人、腐る程いるよ」 京太郎「それでも、俺にとっては十分な強者です」 京太郎「力が欲しいんです、アイツらに届く力が」 京太郎「今のままなら俺は、ずっと勝てない負け犬のままで」 ゆみ「……一応、アドバイスといえるかはわからないが一つ」 ゆみ「考えろ。天江衣、宮永咲のような化物と対峙しても思考を止めるな」 ゆみ「止まったらそこで終わりだ。底なし沼に沈むような感覚と似ている」 京太郎「常に考えろ……ですか」 ゆみ「そうだ、オカルトなんて持っていない私達の武器はそれだ」 ゆみ「相手をよく見て、本質を見抜き撃ちぬく。そうすることで何とかってところだ」 ゆみ「だから、君も考えて彼女達をよく観察してみるといい。そうすれば道は見えるかもしれない」 ゆみ「さてと、他には質問はあるかな?何でもいいぞ」 京太郎「弟子にしてください!あと横にいるすばらなおもちをお持ちの方はどなたでしょうか」 ゆみ「!?」 智美「ワハハー、まさかモモが見える人がいるとはー」 桃子「な、しっかりと気配を消していたのに!貴方、どうして気づいたっすか!」 京太郎「んー、何となくというか……」 ゆみ「何となくでモモを見つけることは出来ないんだがな……」 桃子「そんなことよりも!先輩の弟子は私だけっす!」ムキーッ 京太郎(この人、確か鶴賀学園の消える一年生か。オカルト持ち、あっち側の人間か) ゆみ「がなるな、モモ。それよりも、私に弟子入りか……正直、もっと適任がいると思うぞ?」 京太郎「そうかもしれません。ですが、咲達には師事できません。アイツらは、オカルトだから」 京太郎「貴方から、教わりたいんです。前へと進む手段を、勝つための方法を」 ゆみ「……ふう。そこまで言われたら断りにくいじゃないか」 桃子「先輩~」 智美「まあまあ。同じ一年生なんだから仲良くしとけって-」 京太郎「俺は別にどっちでも……」 ゆみ「ふむ、弟子について、一つ条件をつけるか。とはいっても、特別に辛いものではない」 京太郎「その条件とは……」 ゆみ「モモと仲良くしてやってくれ」 桃子「えっ」 ゆみ「こいつは今まで私にベッタリだった。だが、私も三年生、卒業が待っている」 ゆみ「我が麻雀部には一年生はモモ一人だ。遅かれ早かれいずれは一人になる」 ゆみ「だから、その時に君が友人として支えてやってはくれないだろうか。頼む」ペコリッ 桃子「私は大丈夫っすよ!一人でもやっていけるっす!」 ゆみ「意地を張るな、須賀君みたいな青年はあまりいないぞ?」 桃子「むー!!!先輩がそこまで言うなら仲良くなることもやぶさかではないっすよ……?」チラッ 京太郎「構わないです。まあ、それなりに仲良くやっていきます」 ゆみ「そうか、助かるよ。弟子については私が教えられることなんてあまりないんだがな……」 智美「とりあえず、鶴賀に来たら歓迎するぞー」 ゆみ「とまあ、こんな風に言っているからな。モモと私のアドレスを渡しておく。常識の範囲内であったらいつでも連絡してくれ」 京太郎「ありがとうございます、今後聞きたいことがあったら連絡しますね」 ゆみ「ああ、大船とは言えないが頼りにしてくれ」 【京太郎の部屋】 京太郎(ふう、今日は鶴賀学園まで出向いたから疲れたな……) 京太郎(疲れたけど、進展はあった。アイツらに届く道の手がかりができた) 京太郎「加治木さんにアドバイスを聞いたし明日の麻雀では上手くできるかな」 京太郎「強く、なるんだ。誰よりも、どんな奴等がいても倒せるくらい」 京太郎「オカルトがあれば、もっと強くなれるけどないものねだりか」 京太郎(それでも、諦めない。思考の停止は負けだ、加治木さんも言っていたじゃないか) カガヤイテーココイチバーン 京太郎「メールか……うわっ。色々来てる」 京太郎(咲、和、優希、部長、染谷先輩……全員じゃねえか) 京太郎(それと、見慣れないアドレスから一通……悪戯メールか、これ?) 京太郎(どうすっかね、全員に返信なんて面倒だし。それとも、鶴賀の人にメールするかな) 京太郎「とりあえず、咲のメールから見るか……」 『京ちゃん、今日はどこに行ってたの?』 京太郎「……そこまで気になるのかよ。お前にとって大したことじゃねーって」 京太郎(説明するのもめんどくさいしなあ、どう返信しよう) 京太郎(やっぱやめとこう。何でもかんでもアイツに教えるのもどうかと思うし) 京太郎(それに、最近気まずいんだよな……話してても楽しくねーっていうか) 京太郎(どうしたんだろうな、俺……) 京太郎「とりあえず、加治木さんにも頼まれたし東横さんにメールするか」 『はじめまして、東横さん。今大丈夫ですか』 京太郎(初めて送るんだし、こんなのでいいか) カガヤイテーココイチバーン 京太郎「うわ、返信はやっ!」 『べ、別に待っていた訳じゃないっすからね!こうやって友達とメールしてみたかったなんて思ってないっすから!』 京太郎(……こういうメールをしたかったんだなあ)ホロリ 京太郎(どうすっかな。まだ十二時過ぎてないしメールを続けるか……) 『もしかして、迷惑だった?ならごめん』 カガヤイテーココイチバーン 『そんなこと一言も言ってないっすよ!今は暇だから大丈夫っす、いいから黙ってメールするっすよ!』 カガヤイテーry 『よかった、迷惑だったらいつでも言ってくれればやめるから』 カガry 『とりあえず、今日は寝るまでメールっすよ!まずはっすね、今日起こったことなんすけど』 京太郎(これ、いつまで続くんだろう……?) 一件メールが届いています。 From######### 『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね 死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね』 ――――死んじゃえばいいのに、須賀京太郎。
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ENDを迎えたので「菫さんの安価より一つ前の安価までロードします」 【廊下】 京太郎「……ふぅ、朝から大変な目にあったぜ」 京太郎(一瞬、俺が幸せになるイメージが浮かんだけど気のせいだろう) 霞「あら、何のことかしら?」ヒョイッ 京太郎「うわああっ!?」 霞「どうしたの、そんなに驚いて?」 京太郎「後ろから声をかけられたら驚きもしますって……」 霞「そんなものかしらね……あ、それよりも京君」 京太郎「はい、何でしょう?」 霞「ちょっと倉庫の片付けがしたいから京くん手伝って?」ムネオシツケ 京太郎「……霞さん」 霞「何かしら?」 京太郎「当たってるんですけど」 霞「当ててるのよ、うふふ」 京太郎「うふふじゃないですよ!この家にいる女の人はもっと慎みを持つべきですよ!」 京太郎「いいですか、女性というものは慎みが大事です」 京太郎「そ、そういうアプローチは良くないですよ!」 京太郎「もっと、お淑やかに!」 霞「でもね、京くん」 京太郎「はい?」 霞「裸で私を襲った人がいう言葉ではないわ」 京太郎「」 京太郎「……というわけで倉庫です」 霞「ええ」 京太郎「ところで、霞さん」 霞「今度は何かしら?」 京太郎「俺達はなぜ、自然に手をつないでるんでしょうか?」 霞「んー……何となく?」テヘペロ 京太郎「……」 霞「ちょっと、苦虫を噛み潰したかのような顔はやめてくれないかしら」ギュギュッ 京太郎「ぎゃーーースっっ!手が、手が痛いっ!」 霞「全くもう……私は乙女なんだからね?」 京太郎「あっ、はい」 霞「……」 京太郎「霞さん、プリティーー!」 霞「ありがとう、京君」ニッコリ 京太郎(……そういうことにしておこう) 京太郎(そういえば、いい機会だし俺の過去についてでも話すかな?) 京太郎「そういえば……」 京太郎「まだ、話してなかったですね」 京太郎「俺の過去について」 霞「ふんふむ……それが、京君の過去」 京太郎「ええ、情けないったらありゃしないですよ」 霞「そうね。どうして、全部一人で抱え込もうとしたのかしらね」 京太郎「その、なんていうか……」 霞「遠慮、でしょう?迷惑を掛けたくないって類の」 京太郎「はい」 霞「いい?そういうことは一人で考えちゃだめ」 霞「ちゃんと、話して楽になること。君一人が背負うことじゃないのよ?」 京太郎「わかってますけど……」 霞「まったくもう……あれ、これは何かしら?」 京太郎「あっ……!」 京太郎(な、なぜ、こんなところに!) 京太郎(笹倉さなちゃん!正統派のロリオナホール!) 京太郎(や、やばい……!何か知らないけどやばい!) 霞「~~~~~~~~~~~!!!」ボンッ 京太郎「か、霞さん?」 霞「こ、ここここ」 京太郎「ちょ、落ち着いてくださいって!」 霞「だ、だって……!} 霞(え、これがここにあるってことは何?京君の下の……は、恥ずかしいわ……! そういうのは段階を踏んでからよ!) 霞(まだ、付き合ってもいないのに速すぎるわ!そ、そりゃあ私は京君のことが好きだけど) 京太郎「えーっと、霞さん?」 霞「ひゃい!」 京太郎「と、とりあえず、それ……おろしましょう」 霞「そ、そうね……」コトッ 京太郎(それにしても、何であったんだろう、笹倉さなちゃん) 京太郎(まあ、犯人は多分あの人だろうけど) 霞「えっと、京君?」 霞「その、こういうのに興味があるの?」 京太郎「……っ」 京太郎(秘技!これぞ年上を落とす赤面顔!) 京太郎(ハギヨシさんが覚えておくと便利ですよ、って教えてくれたんだよなぁ) 京太郎(まあ、効くわけな……) 霞「……」キュン 京太郎(あるぇー?) 京太郎(おかしい……何かがおかしい!) 霞「うふふ……」ジリジリ 京太郎「えっと、霞さん?」 霞「その、ね。京君の赤面顔が可愛くて思わず抱きつこうだなんて思ってないわよ?」 京太郎「じゃあ何で近寄ってくるんですか?ハアハア荒い息を吐きながら!」 霞「な、何もしないから!ちょっとだけだから!」 京太郎「それはちょっとだけの人が言うセリフじゃないですよ!」 霞「……まあ、多少はね?」ダキツキー 京太郎「ちょ、力が強すぎますって!」 京太郎(つーか胸があたって気持ちいいっていうか!)ヨンダ? 京太郎(呼んでないよ!あーもう!霞さんは初なのにスキンシップが激しすぎるんだよ) 霞「ん~、いい抱き心地ねぇ」 京太郎(だ、誰かたすけてーーー!) 【霞の部屋】 京太郎「それでなんですけど」 霞「ん?」 京太郎「俺はどうして霞さんの部屋にいるんですかねぇ」 霞「お持ち帰りしたかったから?」 京太郎「俺は物ですか!?」 霞「まあまあまあ。とりあえず、お茶でも入れてくるからちょっと待っててね」 京太郎「仕事はいいんですか……?」 霞「大丈夫よ、一応、倉庫の整理という仕事は終わったのだし」 霞「それじゃ、ちょっと行ってくるわね」ガラッピシャッ 京太郎「行ってしまった……」 京太郎(とりあえず、待っていよう) 京太郎(だけど、暇だしなあ。どうすっかな?) 京太郎「な、何だ、これは?」 京太郎(厳重に鎖で縛られてるけど……こ、怖いぞ) 京太郎(でも、読みたい。読んでみたい……)ウズウズ 霞「お待たせ、アイスティーしかなかったけどそれでいいかしら?」 京太郎「ひゃあっ!」 霞「どうかしたの?」 京太郎「いえ、なんでも!」 京太郎(とっさに懐に隠しちまった!だ、出せねぇぞ!) 京太郎(……で、でも内容は気になるしなぁ。うん、仕方ない!) 霞「あ、砂糖入れたけど大丈夫だったかしら」サー 京太郎「あ、はい。大丈夫です」 霞「うふふ……それじゃあ召し上がれ♪」 京太郎「……」ゾクッ 京太郎(何だか寒気がしたけど大丈夫か?) ※寒気がしたので飲みませんでした。 京太郎(……さてと、この日記帳を持ってきちまった) 京太郎(今は昼休みだから読めるけど) 京太郎(なんだろう、これを読んだらもう戻れない気がする……) 京太郎(気づかない方がいいっていうか。これを知ったら前みたいにいられない) 京太郎(それだけ、ヤバいものだと思うんだ) 京太郎(どうすっかな……) 京太郎「……読もう」 京太郎(俺は知らなくちゃいけない) 京太郎(これを読むことで、何かが掴めるなら――!) 京太郎(鎖は……ハギヨシさんからもらったよく切れる忍者刀でっと!)カチャン 京太郎(よし、むりくりだけどほどけた!) 京太郎(さて、読むぞ!) 京太郎「なん、だよ……!」 京太郎「ふざけるなよ、嘘だ……そんな……!」 京太郎(そうだったのかよ!おかしいと思ってたんだよ) 京太郎(それなりにここにいるのに『使用人とほとんど会わない』なんて、おかしいだろ!) 京太郎(逃げないと……!早く、ここから!) 京太郎(まさか、まさか――!) ざしゅり。 (小蒔さんが、あぶな、い…………にえ、は……神に、代わる…………) 【DEADEND】 ――――――。 クエスチョン、これは黄昏の世界。 神々の終焉をも越えた。 今なお紡がれるお伽噺の一ページ。 人は、変革の薇螺子を挿し込もうと足掻くのか 人は、仮に宿る記憶を取り戻すのか 人は、天児の凶気を取り除くことで明日を掴むのか ―――――。 変革の薇螺子を挿し込もうと足掻く 京太郎「……うあああああああああああああああっっ!!!!」 ???「ひゃっ!!!」 京太郎「お、お、おおおお」 京太郎「俺が死んだぁぁあああああ!?」 ???「ふぇ……死んじゃいやです京太郎さん!」ギュッ 京太郎「あ、あ……あれ?」 ???「嫌ですよぉ……死んだら駄目ですよ……」グスン 京太郎「小蒔、さん?」 小蒔「はい……っ。京太郎さん、突然、倒れて……それで、部屋に運んで……」グスングスン 小蒔「とっても!とっても、心配したんですよ?」 京太郎「そう、だったんですか」 小蒔「もう、死ぬなんて言わないでください!縁起でもないですから!」メッ 京太郎「あ、はい……」 京太郎(さっきの夢は、何だったんだろう?) 京太郎(うーん、俺が死ぬってのは覚えてるんだけど) 京太郎(大事なことを、忘れてるような……) 京太郎「……小蒔さん」 小蒔「はい?」 京太郎「少しだけ。ほんの少しだけでいいんで」 京太郎「手を握っててもらえますか?」 小蒔「……もちろんです」 小蒔「京太郎さんが落ち着くまで、そばにいますから」 京太郎「ありがとうございます……」 小蒔「いえいえ。困った時はお互い様ですから」 京太郎(小蒔さんの手、柔らかくて、温かい) 京太郎(この手は絶対、離さないようにしないとな) 京太郎(……畜生。あったけぇ) 京太郎「……うーん、眩しい」 京太郎(日差しからして昼かなあ) 京太郎(つーことは、倒れたのは朝だったのか……) 京太郎「よいしょっと」 京太郎(そうだ、テレビでもつけるか)ピッ 『長野県……少女……交通事故……意識不明……』 京太郎「…………ニュースを見てもしゃーないか。他の番組でもいれるか」 霞「調子はどうかしら?」」ガラッ 京太郎「霞さん。どうも、迷惑かけてマジすんませんです」ペッコリン 霞「何言ってるの。困った時はこうやって助け合うの」 霞「だから、遠慮なんてしちゃ駄目。いい?」 京太郎「は、はい……」 霞「それじゃあ、おかゆ持ってきたから……その、ね?」 京太郎「自分で食べま」 霞「だーめ。手が震えてる。火傷したらどうするのかしら?大人しくお姉さんに甘えなさい」 京太郎「なら、お言葉に甘えて」 霞「はい、あーん」 京太郎「んぐんぐ……うまいっすけど。なんか、恥ずかしいっすね」 霞「慣れよ、慣れ。それに今更私達の間で恥ずかしいなんてないでしょう?」 京太郎(さなちゃんの時は恥ずかしがっていたのに……) 霞「それにこうしていると……私達……」チラッ 霞「その、わかるでしょう?」チラッ 京太郎「いえ、全くわからないんですけど」 霞「……やっぱりね。京君に期待した私が馬鹿だったわ」 京太郎「???」 霞(夫婦みたいね……なんて。全然意識されてもいないのに言える訳……) 京太郎「それにしても、何か、暖かくていいですね。こういうのって」 京太郎「なんて言うか、家族っていうか。……夫婦っていうか」ボソッ 霞「……その言葉が出るのが遅いのよ、もう」 京太郎「いや、恥ずかしいじゃないですか」 霞「あら。そんなことないわよ?」ギュッ 京太郎「!?」 霞「こうして、つながっているだけで暖かい。それはとても素晴らしいことだと思うけれど」 京太郎「幸せスパイラルですね!」ババーン 霞「……」 京太郎「いや、そんなしらけた顔しないでくださいよー!!!」 霞「い、いいと思うわ。うん、素敵ね」ニガワライ 京太郎「いや違うんですって!これはとある女の子の素敵な理論なんですって!」 京太郎「……今日はおとなしくしろって言われたぞ」 京太郎「だけど、ずっと寝てるって暇なんだよなぁ」 京太郎「やっぱりじっとしていられないな」 京太郎(居候させてもらってる身だし……よっしゃ、取りあえず動くか) 京太郎(断られたら断られたでしゃーない、拝み倒してしまおう) ブーブー 京太郎「ったく、うるさいなあ。そういえば、最近携帯いじってないなぁ」 京太郎「っと。それよりも、仕事仕事っと」 着信。 ――加治木ゆみ。 【廊下】 京太郎「という訳で手伝いに来ました☆」 初美「駄目ですよー☆」 京太郎「……やっぱり?」 初美「はい!病人はおとなしく寝ているのですよー」 京太郎「いや、何だか落ち着いていられなくて」 京太郎(別の世界線の俺が地雷を踏みまくってるような……) 京太郎(気にしたら負けだよな、うん) 京太郎「オナシャス!何でもしますから!」 初美「ん?今なんでもするっていいましたよねー」 京太郎「はい!」 初美「じゃあ、寝てくださいよー。また倒れたらどうするんですかー」 京太郎「その時はその時です」 初美「えー……」 京太郎「という訳で行きましょう」 初美「はぁ……ちょっとだけですよー。後で怒られるのは私なんですからー」 京太郎「はっちゃんはっちゃん」 初美「どうしましたかー」 京太郎「どうして、はっちゃんはそんな服装なんですか?」 初美「京太郎を悩殺するためですよー」 京太郎「全然そそらないですよー」 初美「……」ガシッドスッ 京太郎「痛い!痛いですって!ちょ、洒落にならない!」 初美「乙女の心は繊細なのですよー?ちょっとでも変なことを言ったらヤンデレレーですよー」 京太郎「えー……」 初美「だから、失礼なことはめっですよー!」 京太郎「やっぱりそそらないのですよー」 初美「……」ガシッドスッガシッドスッ 京太郎「ジョークですって!ちょっとしたジョーク!」 初美「……ひどいですよー、好きでこんな身体になったわけじゃないのにー」 京太郎「それはそれで、どこかの愛好家達が好むんじゃないんですか?」 初美「ノーセンキューですよー!」ダキツキーッ 京太郎「……まな板」 初美「むうううううう!!」 初美「そこまで言うんならいいです!私の身体を全部見てからそそるそそらないを決めてくださいよー!」バッ 京太郎「ちょ、ここ廊下ですから!!!」 初美「うがーーーーーー!!!」 京太郎「結局、騒いでたら霞さん達に見つかって戻された」 京太郎「……いかんだろ」 京太郎(とりあえず、大人しく寝よう。これ以上、怒られたくはないし) 京太郎(…………ぐぅ) 京太郎「……ここは、」 桃子「久しぶり、っすかね」 京太郎「モモ……?」 桃子「ええ、いつでもどこでも。貴方のいる所に私あり。東横桃子っす」 京太郎「いや、いつでもは怖いだろ……」 桃子「あはは、冗談っすよ、冗談」 京太郎「わーってるよ。それにしても、何だよここ。夢にしちゃあはっきりしすぎじゃないか?」 桃子「フフーフ。それはなんと驚きの!私達は夢で話せるぐらいに深くつながってるんすよ!」ババーン 京太郎「……何いってんの?」 桃子「冷たっ!」 京太郎「そんなオカルトありえません!」 京太郎「なーんて、前までは言ってたんだろうけど」 桃子「それじゃあ……」 京太郎「信じるよ。ダチだろ、俺達」ニコッ 桃子「……変わってないっすね」 京太郎「そりゃな。あ、そういえば最近」 桃子「ストップっす。それ以上はなしっす」 京太郎「はぁ?」 桃子「全部、知ってるっすよ。京太郎が私の姿が見えなくなったことも」 桃子「……全部、知ってるんすよ」 京太郎「……そっか」 桃子「それで、今日は――お別れを言いにきたっすよ」 桃子「……京太郎は、先輩達以外で初めて出来た友達だったんすよ」 桃子「最初は何だこいつって思ってたっす」 京太郎「そりゃあ態度でわかる」 桃子「そんな私にも京太郎は丁寧にメールを送ってきて……すっごく嬉しかったっすよ」 京太郎「お前、あの時は寝不足になったからな!」 桃子「へへへ、ついつい楽しくなっちゃって……」 京太郎「ったくよ……それよりもお別れって」 桃子「せっかちな男は嫌われるんすよ?黙って聞いて欲しいっす」 京太郎「はいはい……」 桃子「……それから、京太郎が風邪を引いて、私がお見舞いして」 京太郎「俺がお前を護る、はー、今考えるときざったらしい」 桃子「いいじゃないっすか、私は……すごく嬉しかったし」 京太郎「言ってる俺が恥ずかしいんだよ!」 桃子「でも、私には響いた。誰にも見えない、聴こえない、私を護るって言ってくれて」 桃子「……京太郎は私のこと、友達だとおもってくれてるんすよね?」 京太郎「ああ!」 桃子「でも、私は違うんすよ」 桃子「私は――京太郎のこと、友人じゃなくて……」 桃子「一人の男性として、好き……なんだ」 桃子「……でも、京太郎は違うんすよね?」 京太郎「…………ああ」 桃子「~~~~~!!!わかってたっす、ええわかってたっすよ!!!」 桃子「でも、言わなくちゃ!言わなくちゃいけなかった!」 桃子「知って欲しかった、私が好きだってことを!迎えに来て欲しいって思ってたことを!」 桃子「……伝えたかったんすよ。大好きだって」 桃子「だけど!無理、なんだよね?」 京太郎「……俺は」 桃子「そういう所で気遣いはいらないっす。惨めになるだけっすよ」 京太郎「だけど、それとさよならがどう関係してるんだよ!」 桃子「……いずれ、わかるっすよ」クルッ 桃子「何で、私が京太郎と話せるのか。全部が不確かで意味わかんねーって感じだけど」 桃子「クルクルと回るコイントス。裏表を知らずに別れるのは嫌だって思った。 届くのなら、結果を見れるのなら。諦めない」 桃子「その結果が、これっす。見事、玉砕!でしたけど」 京太郎「モモ……」 桃子「行ってください、最後ぐらい、笑って、お別れしたいんすよ」 桃子「起きたら、わかると思うっす。きっと、色々と大変だろうけど」 桃子「がんばっ!っすよー」 京太郎(……俺は) 京太郎(俺は――――!) 京太郎(……やることは、簡単だよな) 京太郎「ヤダ」 桃子「へ?」 京太郎「何がお別れだよ、ふざけんな」 京太郎「そんなの知ったことかってーの。最後?縁起でもねーこと言うなよ」 京太郎「確かに、俺はモモの好意を受け取ることは出来ないけど」 京太郎「こんな形で別れるのは嫌だ」 京太郎「な?」 抱きしめる。彼女の華奢な体をぎゅっと、強く。 離さないように、最後なんて嘘にするかのように。 桃子「……無理っすよ」 京太郎「無理じゃねーって。どこまでも強く願えば必ずできる」 想いを貫けばきっと――また、笑える。 どんな形であろうとも、生きてさえいれば。 京太郎「……だから、お別れじゃねーよ。こういう時はな。 『またな』って言うもんだ」 桃子「……っ、うん」 涙でぐしゃぐしゃにしながらも、笑う。 最後ではないけれど。笑って、言いたいのだ。 桃子「また、ね……!」 京太郎「ああ、またな」 ――だって、そうじゃん? 彼は心の中でそっと、呟いた。 京太郎(女の子は笑っている方が可愛いし、見てて嬉しいもんだ) 京太郎「……ふぁ」 京太郎(懐かしい、夢だったな……モモ) 京太郎「さてと、よく寝た寝たーっと」 ブルルルル 京太郎「……もしもし」 ゆみ「須賀君か?加治木だ」 京太郎「あ、これはどうも。そういえば、履歴にもあったんすけど」 ゆみ「……そのことだが。落ち着いて聞いて欲しい」 京太郎「はぁ」 ゆみ「簡潔に言おうか。モモが事故にあった」 京太郎「ええっ!それで、大丈夫なんですか!!!」 ゆみ「身体には別状はない。ただ……」 ゆみ「記憶を失ってるんだ。君との記憶をすっぽりとね」 京太郎「……そうっすか」 ゆみ「あまり、驚かないね」 京太郎「なぜなんでしょうかね……」 京太郎(あの夢……があるからかな) 京太郎「でも、よかったですよ。身体に怪我がなくて」 ゆみ「……そうだな。そういえば、今は鹿児島にいるのかい?」 京太郎「ええ」 ゆみ「そうか。それならこっちにでも帰ってきた時、うちによるといい。 一緒にお見舞いに行こう」 京太郎「わかりました」 ゆみ「……大丈夫か?いや、この質問は失礼だったな。忘れてくれ」 京太郎「……そんなに気にしないでくださいよ。俺は、大丈夫っすから」 京太郎「それに、約束しましたから」 京太郎「『またな』って」 ―――― 京太郎「…………」 京太郎(はぁ、口では強がりを言っておきながら結構くるな……) 京太郎「外の風にでも当たるか……」 【神代家・外】 初美「おややー、京太郎じゃないですかー」 京太郎「はっちゃん……」 初美「どうしたんです?しょぼくれた顔をして」 京太郎「そう見えますか」 初美「ええ、はっきりと。おねーさんでよければ話を聞きますよ?」 京太郎「それじゃあ、お願いしましょうか」 初美「……記憶がなくなったですかー」 京太郎「ええ。自分では大丈夫だって思ってたみたいなんすけど」 京太郎「……キツイ、ですね」 京太郎「情けない、また会えるって言ったのは俺なのに」 京太郎「俺が……俺が、こんな弱気でどうする!」 初美「いいじゃないですか、別に」 初美「弱気で何が悪いんです?というか、京太郎に言いましたよね? 何かあったら私に話してもいいって」 初美「愚痴でも何でもどんとこいなのですよー」 京太郎「……でも」 初美「いいですか」ズイッ 京太郎「ちょ、近いですって!」 初美「これぐらいはしないと、京太郎はわからないからいいのです。 全く、手がかかる人ですよー」 初美「泣きたい時は泣いていいんです」ダキッ 初美「というか、泣きたい時に泣かなくていつ泣くんですかー!」 初美「胸ならいつでも貸しますから、ね?」 京太郎「すいません、ちょっと借ります……!」 京太郎「……っ、ぁぁ……!」 初美「よしよし、私がいますから。京太郎は一人じゃないですからー」 京太郎「……すんません」 初美「えいっ」ペシッ 京太郎「あいたーーっ!」 初美「そういうのはいいっこなしです。謝られるためにやった訳じゃないんですよ?」 京太郎「それでも、めっちゃ泣いちまったんで服とか身体とか汚しちゃったんで……」 初美「服は洗えばいいです。身体はお風呂に入ればいいです。はい、論破ですよー」 京太郎「……はぁ、ほんと世話になりっぱなしっすよ」 初美「いいってことですよー。」ナデナデ 京太郎「ちょ、いつまでも撫でなくていいですって!」 初美「えー」 京太郎「恥ずかしいんすよ……こういうのって」 初美「木にしたら負けですよー。なでなで~」 京太郎「ああ、もう!勝手にしてください!」 京太郎「……とりあえず、働こう」 京太郎(つーか、いつまでここで働くんだ、俺……?) 小蒔父「や、京太郎君」 京太郎「あ、どうも」 小蒔父「ここでの生活も慣れてきたようで何よりだよ」 京太郎「ですね。そういえば、俺って……後どれくらいここで働くんですか?」 小蒔父「そうだな……後、10日間ぐらいかな?」 小蒔父「知っての通り、小蒔達は麻雀の全国大会に出場する」 京太郎「ええ、そうみたいですね」 小蒔父「その間は仕事も何もないし、ぶっちゃけると凄く暇な訳だ」 小蒔父「つまり、お役御免。働かなくてもいいってこと」 京太郎「そうっすか……」 小蒔父「まだ若いのに一日中働かせるなんて申し訳ないからね。小蒔達はともかく、君はやりたいことがあるだろうに」 京太郎「いえ、そんな!ここに来て俺は色々と勉強になりましたし!」 京太郎「楽しかったです……小蒔さん達とも仲良くなれましたし」 小蒔父「それはよかった……もし、気が合わないとかなったらどうしようかって私も考えていたんだが……」 小蒔父「……その必要はなさそうだ。ありがとう、京太郎君」 小蒔父「君のおかげだ。私達の閉鎖的な環境を、君が変えてくれたんだ」 小蒔父「本当に、ありがとう……っ」 京太郎「や、頭を上げてください!俺は大したことをしてないですよ!」 小蒔父「そんなことはないさ。これでもね、感謝してるんだよ」 小蒔父「……な?京太郎君。意中の女は見つかったかな?」 京太郎「え、ええっ!?」 小蒔父「……隠さずともいい。どーんと、私に言ってみなさい」 京太郎「え、ええっと……」 京太郎(俺が好きな人……) 京太郎(誰、何だ?そもそもいるのか?) 京太郎(どうも自分自身についてはわっかんねーな……) 京太郎(いるかも、しれないな) 京太郎(ここに至るまで、恋なんてしたことなかったけど) 京太郎(なんつーか、心が暖かくなるっていうか) 京太郎(まだ、誰かまでは考えつかないとはいえ) 京太郎(好きな、人かぁ……) 小蒔父「その顔はいるかもしれない、でも断定はできないといった風だね」 京太郎「よくわかりますね」 小蒔父「これでも人をよく見ているからね。観察眼なら誰にも負けないさ」 京太郎「はははっ、なんすか……それ」 小蒔父「それはともかくだ……告白するんなら早くした方がいいんじゃないか?」 小蒔父「女の子を待たせちゃいけないよ、うん」 京太郎「はい。すぐには決められませんけど……」 小蒔父「それで、いいさ。とりあえず、じっくり考えてみなさい」タッタッタッ 京太郎「うーん、行ってしまった……珍しく、真面目だったな」 京太郎(好きな人なぁ……) 小蒔父「時間はあまり、残されていないぞ……」 小蒔父「特に、君にとっては――――」 京太郎(ぐぬぬ……好きな人、好きな人。考えても全くイメージが湧かない) 京太郎「がーーーーーー!誰なんだよおおおおおおおお!!!!!」 京太郎「考えてわかったら苦労しねーよ!ざっけんな!くっそ!」 霞「……どうしたのかしら」 京太郎「あ、どもっす」 霞「何があったかは知らないけれど、凄く変な人って思われるわよ?」 京太郎「今更ですよ」 霞「そうね」 京太郎「肯定しないでくださいよ!?」 霞「そうね」 京太郎「……投げやりになっていません?」 霞「そうね」 京太郎「霞さんは可愛いなあ!」 霞「!?!?!?!?!?!?!?!?!」 霞「か、かかか、かわ、かわ」 京太郎「何、あわあわしているんですか……」 霞「だって、仕方ないじゃない!そういうこと言われたら、その……」 霞(言えないわ……嬉しすぎて舞い上がってるなんて) 霞(京君よりもお姉さんなんだから!) 霞「……こほん。それで、どうしたのかしら?」 京太郎「修正が無理矢理過ぎません?」 霞「……ふふ」ニッコリ 京太郎「何でもないです、聞かなかったことにします」 霞「それで、さっきは何を騒いでたの?」 京太郎「ああ。それはですね……」 京太郎(どうせだから霞さんに相談しよう。霞さんなら一歩引いた所から見てくれると思うし) 京太郎(仲のいい先輩らしい冷静かつ、優しさのある提案をしてくれる!) 説明中です、しばらくお待ちください。 霞「そ、そう。好きな人ね」 京太郎「ええ、そうなんですよ。でも、恋ってよくわからなくて……」 京太郎「霞さんなら助けてくれるかなーって」 霞「…………」 霞(どうするの、私!ここで真面目に相談に乗るの!?) 霞(もしかすると、敵に塩を送ることになるのよ!) 霞(こ、恋は戦争……!ここは、誘導しないと……) 京太郎がキラキラとした視線で霞さんを見ています 霞(……無理、無理よぉ。そんな目で見ないで!) 京太郎「なるほど、一人で考えるのではなく皆のことをもっと見てみる、と」 京太郎「確かに一人で悩むよりはいいかもしれませんね」 京太郎「ありがとうございます!やっぱり霞さんは頼りになりますね」 霞「ええ……」ズーン 霞(結局、真面目に相談に乗ってしまった……あ、アプローチがたりなかったとでもいうの……) 霞(そうよね、一時期全くと言っていいほど話してなかったものね) 霞(そ、それを言ったら私だけじゃないはずよ!) 京太郎「ど、どうかしました!?何か、顔色が悪いような」 霞「そんなことないわよ……ええ、そんなことないわ!」 京太郎「なら。いいんですけど……」 霞(ま、まだ諦めないわよ!私達が全国大会に行くまで時間はあるわ!) 霞(絶対振り向かせるから……京君) 京太郎「皆のことをよく見てみるかぁ」 京太郎(いや、ね?一緒に暮らしていて見ているとこは見ているけどさ) 京太郎(今更はちょっと気恥ずかしいっていうか) 京太郎(それに、俺ってもう――)ズキン 京太郎(――何だっけ?今何かを考えようとしたけど……) 京太郎(ま、大したことじゃないだろ) 京太郎「げぇ、はっちゃん!」 初美「げぇっ、とはなんですかー」プンスカ 京太郎「だって、はっちゃんは俺のオカズとるじゃないですか だから、食卓を一緒に囲むと疲れるんですよ」 初美「オカズ……卑猥ですよ-!」 京太郎「そう考える頭の方が卑猥だと思うんですが」 初美「むむむ」 京太郎「むむむじゃないですよ、全く……」 初美「それはともかくとして!」 京太郎「全然ともかくじゃないですけどね」 初美「一緒に御飯を食べるのですよ-」 京太郎「……俺のオカズ、とらないでくださいよ?」 初美「取りませんよー、取ったら私を好きにしても構いませんよ!」 京太郎「いりません、もっと肉体的に育ってから出直してください」キッパリ 京太郎(そういえば、俺……はっちゃんに告白されたっけ) 京太郎(一回断った訳だが、どうなるんだ?) 京太郎(まだ、俺のことを好きでいるのか?) 京太郎(そのことを俺から――聞ける訳ねーーーだろ!!!) 京太郎(それはデリカシーってもんが無さすぎ!) 初美「ん??」 京太郎(この、無邪気な笑み……ロリコンだったら一撃必殺なんだけどなぁ) 京太郎(いかんいかん!) 京太郎(ロリコンじゃないんだぞ、俺!?何馬鹿なこと考えてるんだ!!) 初美「…………ヘタレ」ボソッ 京太郎「誰がヘタレですか、誰が!」グニグニグニー 初美「いひゃい、いひゃいですよーー!ほっぺが取れますーーー!」 京太郎「変なことを言うからです」 初美「年長者ですよー、私……」 京太郎「年長者の気分が……いえ、何でもないです」 初美「ううううう!!京太郎はいじわるばっかりですよーー!」 初美「私が成長した時に後悔しても遅いんですからねーーーっだ!」 京太郎「はいはい。いい子いい子」ナデナデ 初美「えへへ……って!ごまかさないでください!」 京太郎「ごまかしたつもりはないんですけどねぇ……」 初美「でも、そのナデナデは気持ちいいので継続してください」 京太郎「…………えー」 京太郎「そういえば、はっちゃん」 初美「はい?」 京太郎「なんて言いますか、最近どうも変な夢をみるんですよ」 初美「それは大変ですね-、私が添い寝を」 京太郎「いらないです」 初美「……」ションボリ 京太郎「はいはい、俺のオカズ一個あげるんで泣かないでくださいね~」 初美「わーーーい!さすが京太郎ですよー!」 京太郎(単純だなあ……) 初美「それで、夢見が悪い京太郎は何を聞きたいんですかー」 京太郎「……うーん」 京太郎「何か、小蒔さん達が死ぬ夢をですね」 初美「縁起が悪いにも程がありますよーーー!?」 京太郎「夢にしてははっきりしすぎて……それで、相談した訳です」 初美「悪趣味ですねー……それで、死に方はどうなんです?」 京太郎「その辺りはぼんやりとしていて……ともかく、正夢になったらどうしようかって」 初美「ふんふむー。ぶっちゃけ、そういうことは私より巴や霞、姫様のお父上の方が詳しいですよー」 初美「私はなんちゃって巫女みたいなものですからー」 京太郎「服装からして、そうですもんね…あ、はいすいません、謝るんで服を脱ぐのはやめてください」 初美「人を露出癖があるみたいに言わないでください……ともかく、私達から目を離さなければいいと思いますよ?」 京太郎「それしか、ありませんか……」 初美「放ってたら、消えているかもしれませんよー、怖いです-」 京太郎「抱きつかないでください!もう、はっちゃんは真面目な時は真面目なのに……」 京太郎(消えてしまう、か……怖いな、それって) 京太郎「そういえば、はっちゃん」 初美「はい?」 京太郎「はっちゃんってはっちゃんなのか?」 初美「……頭がおかしくなったんですかー」 京太郎「…………あれ?いや、なんつーか」 京太郎「ふと、思ったっていうか……自分でもよくわかんないっす」 初美「良くもわからないのに尋ねないでくださいー。それよりも」 初美「午後は誰と一緒にお仕事なんですかー」 初美「それとも用事があったりってやつなんです?」 京太郎「小蒔さんと夕飯の買い物に行く予定です」 初美「へー、ほー」 京太郎「なんですか、その目は……」 初美「べっつになんでもありませんよー」 初美「デートなんですかー、羨ましい身分ですね-」プックリ 京太郎「そんな、ふくれっ面にならないでくださいよ」 初美「だっておかしいじゃないですかー、こんなにも可愛い私をデートに誘わないなんて!」 京太郎「腹パン」 初美「ひっ!」 京太郎「……冗談です」 初美「冗談にしては笑えませんよ-!?」 京太郎「いやいや、俺が女性に暴力を振るうなんてありえませんよ」 初美「そうですねー(棒)」 京太郎「俺って純情少年でキャラが通ってますから」 初美「……へー」 京太郎「なんですか、その意味ありげな視線は!」 初美「……鈍感ですー」ボソッ 京太郎「は?」 初美「いいですよー!勝手に姫様とイチャイチャしてきてくださいー!」 初美「京太郎のお菓子は全部食べちゃいますからね-だっ!」 京太郎「…………何なんだ、一体」